スイスの視点を10言語で

スイス大統領、核のない世界に向け協調行動を呼びかけ

核不拡散条約(NPT)再検討会議
ニューヨークで開催中の再検討会議は、核兵器の拡散を防ぎ原子力エネルギーの安全促進を目的として1970年に発効した核不拡散条約(NPT)の見直しを目指す Keystone/Justin Lane

スイスのイグナツィオ・カシス大統領は2日、米ニューヨークの国連本部で開かれた核不拡散条約(NPT)再検討会議で、世界中で核のリスクを減らし、人道的・環境的災害を防ぐための協調行動を呼びかけた。

カシス氏は一般討論演説外部リンクで「冷戦の終結以来、核のリスクはかつてないほど高まっている。有事のレジリエンス(復元力)を強化する対策について合意しなければならない」と述べた。ロシアのウクライナ侵攻は、米ソ間の緊張が高まった60年前のキューバ危機を想起させると語った。

「この会議は、緊急に必要とされる変革への変化の道筋をつけるものでなければならない。核兵器の役割を減らし、誤解のために原発事故が起きたり核が使われる可能性を減らすために」

スイスなど約 30カ国は、世界的な軍縮・核不拡散に向けた一連の措置を盛り込んだワーキングペーパーを提出した。

カシス氏は演説で、民生用原子力施設の安全とセキュリティーを確保するための対策が必要だとも強調した。スイスは対話を促進し架け橋となることで、平和と安全の促進に取り組んでいると述べた。

だがスイスは1977年にNPTに批准したが、昨年発効した核兵器禁止条約(TPNW)には核保有国の不参加を理由に署名しておらず、オブザーバーの地位しかない。

おすすめの記事
1966年にフランスが実施したムルロア環礁の核実験

おすすめの記事

スイスが(まだ)核兵器禁止条約に署名しない理由

このコンテンツが公開されたのは、 スイスは、昨夏国連で採択された核兵器禁止条約にまだ署名も批准もしていない。条約支持へのプレッシャーが高まるなか連邦政府の批准手続きがもたつく背景には、スイスの置かれた立場の難しさがある。

もっと読む スイスが(まだ)核兵器禁止条約に署名しない理由

英語からの翻訳:ムートゥ朋子

ニュース

EPFL

おすすめの記事

スイス、国立大留学生の学費を3倍に引き上げへ 下院委員会が可決

このコンテンツが公開されたのは、 スイス下院委員会は連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)と同ローザンヌ校(EPFL)の留学生の学費をスイス人学生の3倍に引き上げる案を可決した。27日に始まる夏期本会議で審議する。

もっと読む スイス、国立大留学生の学費を3倍に引き上げへ 下院委員会が可決
チューリヒにある国際サッカー連盟(FIFA)の本部

おすすめの記事

FIFA、脱スイスに向け定款改正

このコンテンツが公開されたのは、 国際サッカー連盟(FIFA)は17日、本部をスイス・チューリヒ以外に移せるよう定款を改正した。

もっと読む FIFA、脱スイスに向け定款改正
眼下に広がる町と湖

おすすめの記事

ウクライナ平和サミットの舞台スイス・ビュルゲンシュトック 地元住民は離心

このコンテンツが公開されたのは、 6月15~16日に開催されるウクライナ平和サミットの舞台として、ルツェルン湖を望むホテル「ビュルゲンシュトック・リゾート」が注目を浴びている。かつては庶民も受け入れられる高級リゾートして地元に愛されていたが、近年は事情が違うようだ。

もっと読む ウクライナ平和サミットの舞台スイス・ビュルゲンシュトック 地元住民は離心
英語でスイスと書かれたステージでパフォーマンスをするノンバイナリー男性

おすすめの記事

ユーロビジョン、「ノンバイナリー」自認のスイス代表優勝 イスラエル参加に抗議も

このコンテンツが公開されたのは、 欧州国別対抗の音楽祭「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」の決勝が11日、スウェーデン南部マルメで行われ、「ノンバイナリー」を自認するスイス代表のNemo(24)が優勝した。会場周辺ではイスラエル参加に対する大規模な抗議活動も行われた。

もっと読む ユーロビジョン、「ノンバイナリー」自認のスイス代表優勝 イスラエル参加に抗議も
ビクトリノックスのアーミーナイフ製造現場

おすすめの記事

ビクトリノックス、刃のないアーミーナイフを開発

このコンテンツが公開されたのは、 スイスアーミーナイフの製造で知られるビクトリノックス社は、世界で広まるナイフ規制強化の波に対応するため、刃のないモデルの開発に取り組んでいる。カール・エルズナー最高経営責任者(CEO)がスイス紙のインタビューで明かした。

もっと読む ビクトリノックス、刃のないアーミーナイフを開発
管制室

おすすめの記事

スイス飛行機事故、24%増 紛争地上空ではGPS妨害も

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦運輸省民間航空局(BAZL/OFAC)が3日発表した2023年の航空安全報告書によると、民間・小型航空機の事故件数は9995件と、前年から24%増加した。

もっと読む スイス飛行機事故、24%増 紛争地上空ではGPS妨害も
裁判所のドア

おすすめの記事

「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦裁判所(最高裁)は先月26日、チューリヒ地方裁判所の判事の1人に対し、気候活動家に関する裁判への関与を禁じる判決を下した。この判事が過去の裁判で活動家への団結心を見せたとして、考え方に偏りがあると結論付けた。

もっと読む 「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁
財布からお金を取り出す人

おすすめの記事

スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦統計局は25日、2023年の名目賃金は1.7%上昇したと発表した。インフレ(年平均2.1%)に相殺され、実質賃金は0.4%低下した。

もっと読む スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部