The Swiss voice in the world since 1935
トップ・ストーリー
スイスの民主主義
ニュースレターへの登録

「中国への警戒十分でない」米国務長官がスイスにくぎ 5Gで

ファーウェイのロゴ
スイス国内ではファーウェイの技術を使った5Gネットワークの構築が進む Keystone

スイスを訪問したマイク・ポンペオ米国務長官はドイツ語圏の日刊紙NZZのインタビュー外部リンクで、スイス企業が中国・華為技術(ファーウェイ)の次世代通信規格5G技術を活用していることなどに触れ「中国に対する警戒心が十分でないおそれがある」とくぎを刺した。

ポンペオ長官は、スイスが国内インフラ構築にファーウェイの5G技術を使い続ければ、自国のプライバシーが侵害されると警告。「スイスはプライバシー保護に非常に重きを置いており、長い間それが保たれてきた。しかし中国の技術を使えば、自国の情報を中国共産党に提供することになる。そこにプライバシーはない」と語った。

スイスの3大通信会社サンライズ、スイスコム、ソルトはいずれもファーウェイのスマートフォンを販売。ファーウェイと関係を断つ方針もない。サンライズはファーウェイの技術を使い、国内に5Gネットワークを構築する計画を進めている。

米トランプ政権は5月中旬、ファーウェイを安全保障上懸念がある企業リストに加え、米企業が同社から通信機器を調達するのを禁じた。3月に在ベルン米国大使館で行われたスイス側との会合では、米政府関係者から「友好国・同盟国には5G技術の安全性を確保するよう要請する」という発言が出たが、ポンペオ長官の今回の発言はそれよりも一歩踏み込んだ格好だ。

米政府はファーウェイの次世代モバイルテクノロジー機器の使用に関し、他国にも同様の警告を出している。中国がこうした機器を介して機密情報やデータを入手しかねない、というのが米国側の主張だ。ファーウェイは、自身は中国の諜報機関の回し者ではないとコメントしている。

ポンペオ長官はNZZに「中国への警戒心が十分でないおそれがある。いつか中国が世界経済の構造的要素―しかも西側の価値観を反映しない要素を持つ危険がある」とくぎを刺した。

別の道

ウエリ・マウラー連邦大統領は先月の米国訪問時、スイスは対中国に関し、米国とは別の道を選択したと述べた。マウラー大統領は、中国と対話しながらその価値を提唱していきたいとした。

おすすめの記事
trump and maurer

おすすめの記事

スイス大統領、トランプ大統領とホワイトハウスで会談

このコンテンツが公開されたのは、 スイスのウエリ・マウラー連邦大統領は16日、トランプ米大統領とホワイトハウスで会談。両国の自由貿易協定交渉のほか、米国の対イラン、ベネズエラ関係について協議した。米トランプ大統領側から招待を受けたもので、スイスの大統領がホワイトハウスを訪問するのは初めて。

もっと読む スイス大統領、トランプ大統領とホワイトハウスで会談

ロイター通信によると、マウラー大統領は、スイスはすでに自国の重要なインフラに対する外国企業のサービス・ハードウェアの提供を禁じたが、民間商業市場では既にファーウェイの存在感が大きいと述べた。

ファーウェイは5月末、多額を投じてスイス国内に研究開発拠点を設立し、約1千人の雇用を創出すると発表した。

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

詐欺を警告するPC画面

おすすめの記事

スイス銀行の顧客を騙した英国人留学生に有罪判決

このコンテンツが公開されたのは、 スイス銀行を狙った口座乗っ取り事件で、英国で刑事告訴されていた英国人学生(21)に禁固7年の有罪判決が言い渡された。スイス連邦検察庁によると、学生はスイスの銀行顧客から約240万フラン(約4億4000万円)を騙し取った。

もっと読む スイス銀行の顧客を騙した英国人留学生に有罪判決
オリーブの木

おすすめの記事

温暖化でスイスがオリーブの名産地に?

このコンテンツが公開されたのは、 スイス西部のフランス語圏は温暖化によりオリーブの木を育てやすくなっている。生産者らは2026年には栽培本数が2万本に倍増し、南部のイタリア語圏ティチーノ州を追い抜くと見込む。

もっと読む 温暖化でスイスがオリーブの名産地に?
山肌に描かれた巨大な絵

おすすめの記事

アルプスに新しい巨大地上絵が登場

このコンテンツが公開されたのは、 世界各地で巨大な地上絵を描くアーティストのSAYPE(セイプ)さんが、スイス南部ヴォー州のアルプス山頂に新作を完成させた。

もっと読む アルプスに新しい巨大地上絵が登場
原発

おすすめの記事

スイス・ゲスゲン原発、定期検査後に稼働再開できず

このコンテンツが公開されたのは、 スイス北部デニケン(ソロトゥルン州)のゲスゲン原子力発電所が2カ月近く、発電を停止している。給水配管システムに過負荷がかかっている可能性があり、安全性が証明されるまで発電を再開できていない。

もっと読む スイス・ゲスゲン原発、定期検査後に稼働再開できず
セメンヤ

おすすめの記事

欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」

このコンテンツが公開されたのは、 欧州人権裁判所(ECHR)大法廷は10日、スイスが女子陸上五輪金メダリストのキャスター・セメンヤさん(南アフリカ)の権利を侵害したとする2023年の判決を支持した。

もっと読む 欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」
スイス公共放送協会

おすすめの記事

スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も

このコンテンツが公開されたのは、 スイス放送協会(SRG SSR)は政府の予算削減を踏まえた組織再編計画を発表した。4言語圏の放送局のスポーツ、ドラマ、制作、配給、人事、財務、ITサービスなど各部門を縦割りで再編成する。

もっと読む スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
財布

おすすめの記事

スイスでは現金のチップが主流

このコンテンツが公開されたのは、 スイスのレストランでクレジットカードやスマホ決済が普及しているが、チップは今も現金で払うのが主流だ。消費者の多くは、チップが確実にスタッフの手元に入るようことを重視している。

もっと読む スイスでは現金のチップが主流
プラタナス

おすすめの記事

プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの研究所が新たな研究結果を発表し、プラタナスは猛暑でも冷却効果を発揮することが分かった。樹木の冷却効果は30~35℃で限界に達するという既存の仮説を覆す結果が出た。

もっと読む プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部