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インドのパレード チャップリンの熱狂ファン、喜劇王のパレード主催 インドで30年以上

アスワニさんは1980年からインドの故郷でチャップリン・パレードを主催。運営費は自費だ

アスワニさんは1980年からインドの故郷でチャップリン・パレードを主催。運営費は自費で出している

(Hari Adivarekar)

チャーリー・チャップリンの最も熱狂的なファンは、インド人のアショク・アスワニさん(67)かもしれない。インドの小さな町でチャップリンを称えるためのパレードを年に1回、かれこれ30年以上も続けている。そんな彼に、チャップリンが晩年を過ごしたスイスの家を訪れるという夢の機会が巡ってきた。

2017年のチャップリン・パレードには約100人が参加

2017年のチャップリン・パレードには約100人が参加

(Hari Adivarekar)

 アスワニさんは1966年、通勤途中にチャップリンの映画「黄金狂時代」のポスターを目にした。すぐさまチケットを購入し、映画を鑑賞。この映画をいたく気に入り、仕事を忘れてもう一度この映画を見た。その結果、仕事を失った。

アスワニさんの診療所にある神棚。チャップリンとガンジーだけが実存した人物として祭られる。

アスワニさんの診療所にある神棚に祭られているものの中では、チャップリンとガンジーだけが実存した人物だ

(Hari Adivarekar)

 それから7年後、4月16日のチャップリンの誕生日にはケーキを用意して親戚と一緒にささやかなお祝いをすることにした。インド西部グジャラート州にある無名の町アディプールで行われたこのお祝いは月日とともに規模が大きくなり、今では約100人もの参加者が集まるパレードに発展した。

 「当時ですらほとんどの人が彼のことを知らなかった。大抵の人は彼の名前をチャーリー・チャンピオンだと思っていたかもしれない」とアスワニさんは話す。

往年のファンで通称チャーリーことアシシュ・パトロさんは、パレードに参加するために遠い町からはるばるやってきた

通称チャーリーことアシシュ・パトロさんはチャップリンの往年のファン。パレードに参加するために遠い町からはるばるやってきた

(Hari Adivarekar)

 このパレードを機にアディプールが地図に記載されるようになり、パレードは毎年、メディアにも取り上げられるようになった。

パレードが最高潮を迎えるケーキカットのセレモニーでは、チャップリンのそっくりさんで、カナダ人のジェイソン・アリンさんが特別ゲストで参加

パレードが最高潮を迎えるケーキカットのセレモニーでは、チャップリンのそっくりさんで、カナダ人のジェイソン・アリンさんが特別ゲストで参加

(Hari Adivarekar)

 運営資金はほとんどないが、パレードは様々な困難を乗り越えながら毎年開催されている。アスワニさんは運営費約10万ルピー(約17万円)を自分で負担しているほか、町外からやってくる観光客をもてなすために同額を自費で払っている。

パレードを特徴は、チャップリンの仮装以外にも伝統的なガルバのダンサーや曲芸師、ラクダの馬車、ダンス音楽を鳴り響かせる大型のトラックがある

パレードを特徴づけるものとしては、チャップリンの仮装以外にも、伝統的なガルバのダンサーや曲芸師、ラクダの馬車、ダンス音楽を鳴り響かせる大型のトラックがある

(Hari Adivarekar)

 そしてアスワニさんは4年前、パレードの資金を集めるためにチャーリー・チャップリン財団を公式に発足させた。

 「しかし、財団を作ったものの、1ルピーすら寄付する人が現れない。ホールの使用料以外にも、水、食べ物、DJ、照明、衣装、帽子、ステッキ代にお金がかかる。毎年、帽子や衣装の多くは返却されないか、またはダメージを受けた状態で戻ってくる」とアスワニさんは言う。

参加者はパレードが終わると、学生や支援者たちによる一連のパフォーマンスを見にホールへと向かう

参加者はパレードが終わると、学生や支援者たちによる一連のパフォーマンスを見にホールへと向かう

(Hari Adivarekar)

 こうした支出の全ては、アスワニさんがアユールベーダの施術者として稼ぐお金から支払われている。

町の中心部にあるアスワニさん経営のインド伝統医療クリニック、アショク診療所は患者や来客でいつもにぎわっている

町の中心部にあるアスワニさん経営のインド伝統医療クリニック「アショク診療所」は患者や来客でいつもにぎわっている

(Hari Adivarekar)

 このように多額の費用がかかっても、アスワニさんはパレードの開催を止めない。アスワニさんはチャップリンのおかげで苦悩を克服できたと考えているからだ。

 「神とチャーリーの共通点は、凡人に生き方を教えてくれるところだ」とアスワニさん。「彼らは凡人に笑い方や、意志の力を高めることを教え、苦悩を耐えて先に進む方法を伝えてくれる。私がチャーリーを心から信頼している理由はそれだ」

スイス・ドリーム

ヴヴェイで昨年行われた写真祭「Festival Images」に展示された自身の写真の横でポーズをとるアスワニさん

ヴヴェイで昨年行われた写真祭「Festival Images」に展示された自身の写真の横でポーズをとるアスワニさん

(Celine Michel)

  スペイン出身の芸術家クリスティナ・デ・ミッデルさん(2016年にアスワニさん主催のパレードを見物)がクラウドファンディングで資金を調達してくれたおかげで、アスワニさんはチャップリンが晩年を過ごしたスイスのレマン湖畔の町ヴヴェイに行けることになった。デ・ミッデルさんはチャップリンをモチーフにした作品で、ヴヴェイで昨年9月に行われた写真祭「Festival Images」に招待されている。

 アスワニさんはヴヴェイのチャップリン博物館で、憧れの人がスイスに残した足跡を追ったり、大勢の来場者と交流したりして楽しんだ。

 「スイスに行けると考えたら、後ろ髪が逆立った」とアスワニさん。「頭が真っ白になったということ以外、あの時の気持ちをどう言い表せばよいのか分からない」

チャップリンの銅像の傍らで喜びに浸るアスワニさん。この銅像はチャップリンが晩年を過ごしたヴヴェイに置かれている

(Delphine Schacher )

 アスワニさんはチャップリンのコスチュームでチャップリン博物館を訪れたが、周囲からの反応は温かく、嬉しかった。彼にとって「夢の国」にいることは感動的な体験だった。チャップリンの家にあったすべての物に触れ、その物とチャップリンとのつながりを想像した。特にチャップリンのベッドの上に座った時には感動がこみ上げ、涙がこぼれ落ちた。

 「目は涙で一杯になり、感極まった私を見て来場者の女性2人もつられて泣いていた」とアスワニさんは振り返る。

 チャップリン博物館を見学できたことで、この博物館よりも小規模な博物館「チャーリー・ブハヴァン」をアディプールに建てる意欲に火がついたというアスワニさん。博物館のある建物には舞台、研修スペース、さらにはファンやアーティストのための宿泊施設を併設する予定で、すでに一画の土地を購入済みだ。財政面でのハードルはあるが、アディプールにチャップリンのファンが集まる建物が建つ日を夢見ている。

 「人を笑顔にするのはとても難しいが、挑戦し続ければいつか必ず報われる」(アスワニさん)



(英語からの翻訳・鹿島田芙美), swissinfo.ch

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