2011年にチューリヒ小児病院で行われた心臓移植手術
Keystone
スイスで臓器提供・移植を進める財団「スイストランスプラント」は、ドナー(臓器提供者)登録のオンラインシステム外部リンクを立ち上げた。
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これまでドナー登録者はその意思を記載したカードを携行していた。スイストランスプラントは1日の記者会見で、オンライン化によって、亡くなった家族が本当に臓器を提供したいと考えていたかどうかを家族が確実に分かるようになると説明した。
病院で死亡した患者の約半数は、健康な臓器の提供を希望するかどうかを家族に知らせないまま命を終える。提供意思を記したドナーカードを携行するのは死亡者の5%にとどまる。そして、死亡者の家族の6割は「本人に提供意思があったかどうか分からない」ことを理由に臓器提供を拒否する。
スイストランスプラントのフランツ・イマー理事は「登録は安全性が確保されているが、義務でなく、いつでも登録解除できる」と解説した。自筆サインをスキャンすることで、登録は全てオンラインで完結する。スイスまたはリヒテンシュタイン在住の16歳以上が対象だ。
≫スイスでなお不足するドナー
≫本人の事前同意なしに臓器提供?
欧州諸国ではドナーの数は徐々に増加しているが、その中ではスイスの歩みは遅い。昨年末時点で臓器移植の待機リストに載っていたのは1478人に上る。
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臓器提供をする意志を明確に表示している場合のみ臓器摘出が行われる「オプトイン」方式が採用されているスイスでは、医師が患者の合意を得るのが難しい。一方、他のヨーロッパ諸国では、本人がはっきり拒否していた場合を除き、原則的にすべての人を潜在的ドナーとみなす方針が主流だ。しかし、倫理学者はこの方針に反対している。医療現場の意思決定という厳しい現実は倫理的見解と折り合いをつけられるのだろうか?
スイスは世界屈指の富裕国で、医療資源も他の多くの国に比べてかなり潤沢だ。とは言え、スイスにおける臓器の需要はこれまでになく高い。臓器提供に賛成する非営利団体スイストランスプラント(Swisstransplant)によると、スイスの移植待機リストに載っている人の平均2人に1人が、臓器を待ったまま毎週亡くなっているという。
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臓器提供が経費の削減に
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「臓器提供は命を救うだけではなく、経費の削減にもなる」。これが臓器提供の推進を図るスイス臓器移植財団の最近の主張だ。同財団の臓器移植の待機リストには現在、約1400人が登録している。(SRF/swissinfo.ch)
ある人にとっては、臓器移植は生き残るための唯一の手段だ。しかしスイスのドナー登録数(臓器提供者)は、人口100万人に対してわずか14.2人。その割合は他のヨーロッパ諸国と比べかなり低く、近隣諸国では唯一、ドイツがスイスより下に位置している。
2年前、スイス政府と臓器移植の推進を図るスイストランスプラント(Swisstransplant)は、医療従事者のトレーニングと臓器提供情報をさらに広める計画をスタートさせた。
3月の腎臓移植待機患者は1000人以上。腎臓移植が受けられない患者は、血液を浄化し、それをまた体内に戻すという人工透析を行わなければならない。1回の人工透析に掛かる時間は4時間で、患者はこの治療を週3回必要とする。スイスには現在、80を越える人工透析施設がある。
腎臓移植と人工透析に掛かる費用を比較すると、移植の方が約100万スイスフラン(約1億3千万円)節約できるという。しかし移植件数を増やすためには、更に多くのドナーが必要だ。ドナーを希望する場合はドナーカードに記入をし、そのカードを常に携帯しなければならない。
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