The Swiss voice in the world since 1935
トップ・ストーリー
スイスの民主主義
ニュースレターへの登録

ウルフドッグの国内生存確認 射殺後の遺伝子検査で

ライン渓谷
連邦狩猟法では、交雑種と疑われる動物は州当局が射殺すると定められている © Keystone / Alexandra Wey

スイス東部のライン渓谷で3月に射殺された野生動物が、オオカミと犬が交配したウルフドッグであったことが遺伝子調査で分かった。オオカミの交雑種が確認されたのは、スイスでは初めて。当局は生態系への影響を注視している。

管轄するグラウビュンデン州狩猟・漁業局の13日の発表によると、遺伝子調査はローザンヌの保全生物学研究所およびドイツ・ゲルンハウゼンのゼンケンベルク野生動物遺伝学センターが行った。殺された個体は第2世代の戻し交配だったという。

同ウルフドッグは射殺前、明るい毛色が特徴的で注目を集めていた。北イタリアとスイス南部ティチーノ州を経由し、グラウビュンデン州に移動してきたと考えられている。親のオオカミはイタリア・アルプス山脈に生息していたとされるが、正確な場所は明らかになっていない。

おすすめの記事
オオカミは駆除されるべき存在か?

おすすめの記事

オオカミは駆除されるべき存在?

このコンテンツが公開されたのは、 スイスでは毎年4千~6千匹のヒツジが病気、転落、落雷などが原因で死亡している。それに比べ、オオカミに襲われて死亡するヒツジの数は少ない。しかし、スイス南西部のヴァレー州では多くの住民が捕食者駆除地域の開設を求めている。(SRF/swissinfo.ch) スイスで2016年に飼育されたヒツジの数は約34万匹。このうち389匹がオオカミに襲われて死亡した。 スイスには推定30~35匹のオオカミが生息しているが、現在ヴァレー州では、そのオオカミと並んでクマ、オオヤマネコなどの捕食者を駆除しようとする動きがある。しかし、これらの動物はベルンで締結された国際協定で保護動物に指定されている。オオカミの居場所はないのか?地元住民に話を聞いた。

もっと読む オオカミは駆除されるべき存在?

昨年末、グラウビュンデン州当局にイタリア・ドモドッソラ近辺でベージュの毛色をしたウルフドッグを目撃したとの通報があった。翌年1月にはドモドッソラとティチーノ州で、3月にはグラウビュンデン州クールのライン渓谷でも、ウルフドッグらしき動物の目撃情報が複数あった。

長期的な悪影響

同州狩猟・漁業局は、オオカミの個体数に長期的な悪影響を及ぼす可能性があるとの考えから、「生物種を保護するためには、雑種の動物が繁殖できないように射殺することが重要だ」との見解を示した。

連邦狩猟法では、交雑種と疑われる動物は州当局が射殺すると定められている。

3月に射殺された動物は、オオカミと犬の交雑種で、スイス国内で確認されたのは初めて。同州当局によると、他の交雑種は確認されていない。

スイス南部ヴァレー(ヴァリス)州でも1月末、毛色の濃さと大きさからオオカミの交配種と思われる動物が射殺されたが、遺伝子調査の結果、オオカミであることが判明した。

(英語からの翻訳・大野瑠衣子)

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

財布

おすすめの記事

スイスでは現金のチップが主流

このコンテンツが公開されたのは、 スイスのレストランでクレジットカードやスマホ決済が普及しているが、チップは今も現金で払うのが主流だ。消費者の多くは、チップが確実にスタッフの手元に入るようことを重視している。

もっと読む スイスでは現金のチップが主流
プラタナス

おすすめの記事

プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの研究所が新たな研究結果を発表し、プラタナスは猛暑でも冷却効果を発揮することが分かった。樹木の冷却効果は30~35℃で限界に達するという既存の仮説を覆す結果が出た。

もっと読む プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
ひまわり畑

おすすめの記事

見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦鉄道(SBB)は17 日、目に見えない障がいを持つ乗客を対象としたヘルプマークの配布を試験的に開始した。外見からは分からなくても支援・配慮を必要としている人への理解を深めることを目的としている。

もっと読む 見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道
UBS

おすすめの記事

スイス政府、金融規制改革の最終案を発表

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦内閣は6日、クレディ・スイス危機を踏まえた金融規制改革の最終案を発表した。自己資本規制を強化し、金融監督局の権限も強化する。

もっと読む スイス政府、金融規制改革の最終案を発表
ガザ

おすすめの記事

スイスの元外交官50人、ガザめぐる政府の「沈黙」を非難

このコンテンツが公開されたのは、 パレスチナ自治区ガザにおけるイスラエルの「戦争犯罪」に関して、スイスの元外交官55人がスイス外相に共同書簡を送り、スイスの「沈黙と消極性」を非難した。政府に対して直ちに措置を講じるよう求めた。

もっと読む スイスの元外交官50人、ガザめぐる政府の「沈黙」を非難
軍隊

おすすめの記事

スイスで放射能測定の合同演習 

このコンテンツが公開されたのは、 スイスでは2~6日、国際チームがヘリコプターで空中の放射能測定を行っている。緊急時に広い範囲の放射能を迅速にチェックする予行演習だ。

もっと読む スイスで放射能測定の合同演習 

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部