The Swiss voice in the world since 1935
トップ・ストーリー
スイスの民主主義
ニュースレターへの登録

後追い自殺ほう助した医師に有罪判決

Dr. Pierre Beck at Geneva courthouse
自殺ほう助団体「エグジット」のピエール・ベック副支部長は、自殺した女性が「深く苦しんでいると確信した」と訴えた Keystone

ジュネーブの裁判所は17日、健康な高齢女性が夫の後を追って自殺するのを手助けしたとして、フランス語圏の自殺ほう助団体の副代表で医師のピエール・ベック氏(74)に執行猶予付きの有罪判決を下した。

ベック氏は医療製品法外部リンク(連邦法)違反で有罪となり、120日の執行猶予付き禁固刑を言い渡された。

仏語圏のエグジット外部リンク・スイス・ロマンド副代表を務めるベック氏は、2017年4月に致死量の鎮静催眠薬ペントバルビタールを当時86歳の女性に処方した。女性は重病の夫と同時に死にたいと考えていた。催眠薬は女性本人が服用した。

連邦検察庁外部リンクの起訴に対し、弁護側はベック氏が「決定過程の全体を通じて熟慮を重ねた」うえで行動したとして無罪を主張。ベック氏は「エグジットの自殺ほう助基準を少し上回る」行為だったことを認めたが、後悔はしていないと述べた。「私はこの女性が深く苦しんでいたと確信している」と訴えた。

だが裁判官は、スイスの法律は実存的な理由で自殺をほう助することを認めていないと結論付けた。ベック氏の行為は利他主義ではなく個人的な信念で女性の要望に応えたもので、ベック氏は他の医師にも助言を求めるべきだったと指摘した。

ベック氏はフランス語圏のスイス公共放送(RTS)の取材に「単独で行動したことが非難の対象になった。同じことが起きたら、おそらく私は同じように行動すると思うが、誰かにアドバイスを求めるだろう」と述べた。「行き過ぎた行為だったとは思うが、異常な状況のもと、私は女性が苦しい手段で自殺するのをどうしても避けたかった」とも語った。

おすすめの記事

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

詐欺を警告するPC画面

おすすめの記事

スイス銀行の顧客を騙した英国人留学生に有罪判決

このコンテンツが公開されたのは、 スイス銀行を狙った口座乗っ取り事件で、英国で刑事告訴されていた英国人学生(21)に禁固7年の有罪判決が言い渡された。スイス連邦検察庁によると、学生はスイスの銀行顧客から約240万フラン(約4億4000万円)を騙し取った。

もっと読む スイス銀行の顧客を騙した英国人留学生に有罪判決
オリーブの木

おすすめの記事

温暖化でスイスがオリーブの名産地に?

このコンテンツが公開されたのは、 スイス西部のフランス語圏は温暖化によりオリーブの木を育てやすくなっている。生産者らは2026年には栽培本数が2万本に倍増し、南部のイタリア語圏ティチーノ州を追い抜くと見込む。

もっと読む 温暖化でスイスがオリーブの名産地に?
山肌に描かれた巨大な絵

おすすめの記事

アルプスに新しい巨大地上絵が登場

このコンテンツが公開されたのは、 世界各地で巨大な地上絵を描くアーティストのSAYPE(セイプ)さんが、スイス南部ヴォー州のアルプス山頂に新作を完成させた。

もっと読む アルプスに新しい巨大地上絵が登場
原発

おすすめの記事

スイス・ゲスゲン原発、定期検査後に稼働再開できず

このコンテンツが公開されたのは、 スイス北部デニケン(ソロトゥルン州)のゲスゲン原子力発電所が2カ月近く、発電を停止している。給水配管システムに過負荷がかかっている可能性があり、安全性が証明されるまで発電を再開できていない。

もっと読む スイス・ゲスゲン原発、定期検査後に稼働再開できず
セメンヤ

おすすめの記事

欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」

このコンテンツが公開されたのは、 欧州人権裁判所(ECHR)大法廷は10日、スイスが女子陸上五輪金メダリストのキャスター・セメンヤさん(南アフリカ)の権利を侵害したとする2023年の判決を支持した。

もっと読む 欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」
スイス公共放送協会

おすすめの記事

スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も

このコンテンツが公開されたのは、 スイス放送協会(SRG SSR)は政府の予算削減を踏まえた組織再編計画を発表した。4言語圏の放送局のスポーツ、ドラマ、制作、配給、人事、財務、ITサービスなど各部門を縦割りで再編成する。

もっと読む スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
財布

おすすめの記事

スイスでは現金のチップが主流

このコンテンツが公開されたのは、 スイスのレストランでクレジットカードやスマホ決済が普及しているが、チップは今も現金で払うのが主流だ。消費者の多くは、チップが確実にスタッフの手元に入るようことを重視している。

もっと読む スイスでは現金のチップが主流

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部