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スイスのバー火災、刑事罰は重くならない?

スイスのバー火災に対し、責任者への重い刑罰を求めて更新する人々
スイスのバー火災に対し、責任者への重い刑罰を求めて更新する人々 Keystone / Valentin Flauraud

死者40人、100人以上の負傷者を出したスイスのバー火災は世界中で報じられ、その規模などから厳しい刑事罰を期待する声は大きい。しかし、その期待は打ち砕かれる可能性が高い。

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スイス南部ヴァレー州のスキーリゾート、クラン・モンタナのバー「ラ・コンステラシオン」で1日未明に起きた火災の衝撃と悲しみは計り知れない。死傷者の多さや火災発生の経緯から、責任者を「未必の故意による殺人罪」で起訴するよう求める声もある。

地元検察はすでに、バーの経営者夫婦、また建造物の防火検査に関する市の担当責任者に対し捜査を開始した。果たして、これらの責任者が何らかの刑事罰を受ける可能性はあるか。また罪に問われるとしたら、どのような罪状が当てはまるか。

この火災で思い起こされるのは、2000年にオーストリアのスキーリゾート、カプルンで起きたケーブルカー火災だ。

2000年11月、オーストリアのスキーリゾート、カプルンで、氷河スキー場に向かいトンネル内を走行中のケーブルカーで火災が発生。福島県の猪苗代中学校のスキー部員ら日本人10人を含む155人が死亡した。

いわゆる「煙突効果」で炎と有毒ガスがトンネル内を上昇。その結果、トンネルを歩いて下りてきた乗客12人だけが生き残った。出火元は列車に設置されていた家庭用電気ファンヒーターだった。これはあくまでも個人使用目的に限られ、ケーブルカーには設置されるべきではないものだった。しかし、2004年、ケーブルカーの従業員、製造会社の代表者、技術者、役人、技術検査官など、被告人全員が無罪判決を受けた。

しかし、捜査当局は殺人や故意の殺人ではなく、過失致死、傷害、そして放火容疑を視野に入れている。火災の結末がどれほど悲惨で、どれほど多くの命が失われ、責任者の一部にどれほど過失があったとしても、法的にはあくまでも事故として扱われる。

スイスでは比較的軽い判決

ザンクト・ガレン大学の法社会学者ルーカス・グシュヴェント氏は「今回の火災で出されうる判決は、多くの人を失望させるかもしれない」と予測する。一部の判決は執行猶予、あるいは部分執行猶予となる可能性がある。「これほど多くの死者が出ているのに、そんな判決はおかしいと言う人も多いだろう」

これらの罰則は刑法に規定されている。スイスでは、過失致死は最長3年の禁固または罰金が科せられる。死者数が多い場合は、最長4年半の禁固刑が科せられる可能性がある。

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カプルンの火災後も、有罪判決が下されなかったことに多くの人が深く失望した。155人の命を奪ったこの悲劇は、本来はそこに設置すべきでなかったファンヒーターから出た火災が原因だった。その点はクラン・モンタナのバー火災とも類似点がある。クラン・モンタナの火災では、店内にいた人が新年を祝うために持っていた筒形の花火が天井の防音マットに引火し、火災が起きたとされる。その防音マットは、消防当局の検査に合格していなかった。

ある人が他者の死の可能性を認識し、たとえそれを直接的に望んでいなかったとしても、それを起こり得る結果として容認している場合は、「未必の故意による殺人」を犯したことになる。

これに対し、「何も起こらないだろう」と心から信じていていた場合は、単なる「過失」として扱われる。

連邦最高裁判所は、特に悪質な暴走事故において、定期的に「故意による殺人」を認める決定を出している。

その論拠は、加害者が誰かを轢き殺してしまう可能性が高いと認識していながら、それでもレースに勝ちたいがためにそのリスクを受け入れたのであれば、裁判所の見解では、それは「未必の故意にあたる」というものだ。

しかし、この判例は法学界で批判されている。極めて危険な行動から「故意」を導き出すことは、体系として不適切であり、何よりも、より厳しい刑罰を正当化するための「刑事政策的な動機」に基づいているというのがその理由だ。

グシュヴェント氏は、これはよくあることだという。「何かひどいことが起きると、誰もが後からこう言う。『この電気ストーブや可燃性の高い吸音材が大火災を引き起こしかねないことは、誰だって予想できたはずだ!』と」。人々は不幸に対して理由を見つけ、誰かを罰したいという強い欲求を持っているのだという。

このような状況に置かれた多くの人々は、「私にこんなことをした人も苦しむべきだ」という願望を抱く。そのため、長い間、刑罰は国家が命じた復讐の代替手段と考えられてきた。その後、刑事司法はより人道的な理解へと発展した。

今日、自由刑は第一に社会復帰(更生)を目的としている。「しかし、社会心理学的な観点から見ると、報復という考え方にも正当性はある。それが刑事司法制度の信頼性を保証し、被害者に対して単なる金銭ではないある種の満足感を与えるからだ」

しかし、グシュヴェント氏が強調するように、スイスでは「責任主義」が原則だ。「例えば故意がなかったなど、行為の責任がそれほど重大でない場合、たとえ多数の死者が出たとしても、人々の気持ちを鎮めるためだけに誰かを終身刑に処することはできない」

グシュヴェント氏は、多くの人が「何かが起こらなければならない」と期待する気持ちは理解できるという。しかし、この「何か」は必ずしも厳しい罰である必要はない。「悲劇から学ぶことは良いことだ。例えば今後、不適切なヒーターや可燃性の防音マットを設置しないよう徹底し、それが確実に点検・管理冴える体制を整える、といったようなことだ」

独語からのDeepL翻訳:宇田薫

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