チューリヒ州銀行(ZKB)はスイス経済にとってリスクではなくなった
KEYSTONE
スイスの金融当局は26日、国内最大の地域銀行チューリヒ州立銀行(ZKB)が経営危機に備えて策定した再建・破綻処理計画(RRP)を承認したと発表した。同行の計画が実現可能と判断されるのは初めて。
このコンテンツが公開されたのは、
※SWI swissinfo.chでは配信した記事を定期的にメールでお届けするニュースレターを発行しています。政治・経済・文化などの分野別や、「今週のトップ記事」のまとめなど、ご関心に応じてご購読いただけます。登録(無料)はこちらから。
スイス連邦金融市場監督機構(FINMA)は声明外部リンクで、ZKBの再建・破綻処理計画に満足していると宣言した。同行は2023年9月に社債発行外部リンクにより必要な損失引当金を積み増した。他の要件はすでに満たされていた。
スイスの金融メディアfinews.ch外部リンクによると、ZKBが発行したのはバーゼルIII適格Tier2債(新型劣後債)と呼ばれる債券。UBSによるクレディ・スイス買収時に全額償却されたAT1債と異なり、銀行法に基づく正式な再編プロセスでのみ全額または一部を償却できる。
スイス郵便傘下の金融機関ポストファイナンスは、損失引当金の積み増し要件を満たさなかったため、「実現不能」と判断された。ただ、既に拘束力のある積み増し計画を策定済みだ。
国内第2の銀行ライファイゼンの破綻処理計画については、実現可能だとした昨年の評価から変更はなかった。
クレディ・スイスを買収したUBSの計画はまだ審査されていない。UBSは買収後、危機に対する備えを見直す方針を示した。UBSは見直し後に再編・清算計画、安定・緊急計画をFINMAに提出する予定だ。FINMAはこれらの計画を審査し、それぞれについて評価を下す。
スイスに4行ある「システム上重要な銀行」は毎年、再建・破綻処理計画をFINMAに提出する義務がある。計画には、破産のリスクが生じた場合に「システム上重要な機能」をどう継続させるかを盛り込む。
ライファイゼンとZKBでは短期融資が「システム上重要な機能」に指定されている。同2行とポストファイナンスでは預金業務と決済業務も対象だ。
英語からの翻訳:ムートゥ朋子
おすすめの記事
トランプ政権、スイスに39%の相互関税を発表
このコンテンツが公開されたのは、
米国はスイスに課す相互関税率を39%と発表。スイス政府は「大変遺憾に思う」と表明した。
もっと読む トランプ政権、スイスに39%の相互関税を発表
おすすめの記事
スイス銀行の顧客を騙した英国人留学生に有罪判決
このコンテンツが公開されたのは、
スイス銀行を狙った口座乗っ取り事件で、英国で刑事告訴されていた英国人学生(21)に禁固7年の有罪判決が言い渡された。スイス連邦検察庁によると、学生はスイスの銀行顧客から約240万フラン(約4億4000万円)を騙し取った。
もっと読む スイス銀行の顧客を騙した英国人留学生に有罪判決
おすすめの記事
温暖化でスイスがオリーブの名産地に?
このコンテンツが公開されたのは、
スイス西部のフランス語圏は温暖化によりオリーブの木を育てやすくなっている。生産者らは2026年には栽培本数が2万本に倍増し、南部のイタリア語圏ティチーノ州を追い抜くと見込む。
もっと読む 温暖化でスイスがオリーブの名産地に?
おすすめの記事
アルプスに新しい巨大地上絵が登場
このコンテンツが公開されたのは、
世界各地で巨大な地上絵を描くアーティストのSAYPE(セイプ)さんが、スイス南部ヴォー州のアルプス山頂に新作を完成させた。
もっと読む アルプスに新しい巨大地上絵が登場
おすすめの記事
スイス・ゲスゲン原発、定期検査後に稼働再開できず
このコンテンツが公開されたのは、
スイス北部デニケン(ソロトゥルン州)のゲスゲン原子力発電所が2カ月近く、発電を停止している。給水配管システムに過負荷がかかっている可能性があり、安全性が証明されるまで発電を再開できていない。
もっと読む スイス・ゲスゲン原発、定期検査後に稼働再開できず
おすすめの記事
欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」
このコンテンツが公開されたのは、
欧州人権裁判所(ECHR)大法廷は10日、スイスが女子陸上五輪金メダリストのキャスター・セメンヤさん(南アフリカ)の権利を侵害したとする2023年の判決を支持した。
もっと読む 欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」
おすすめの記事
スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
このコンテンツが公開されたのは、
抗生物質の開発に特化するスイスの新興バイオ企業ビオヴェルシス(BioVersys)は2日、日本の塩野義製薬と共同研究・独占ライセンス契約を結んだと発表した。
もっと読む スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
おすすめの記事
スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
このコンテンツが公開されたのは、
スイス放送協会(SRG SSR)は政府の予算削減を踏まえた組織再編計画を発表した。4言語圏の放送局のスポーツ、ドラマ、制作、配給、人事、財務、ITサービスなど各部門を縦割りで再編成する。
もっと読む スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
おすすめの記事
スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
このコンテンツが公開されたのは、
米宇宙企業SpaceX(スペースX)が運営する通信衛星「Starlink(スターリンク)」のアンテナ40基をスイス南部の村に設置する計画に対し、反対する声が上がっている。
もっと読む スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
おすすめの記事
スイスでは現金のチップが主流
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのレストランでクレジットカードやスマホ決済が普及しているが、チップは今も現金で払うのが主流だ。消費者の多くは、チップが確実にスタッフの手元に入るようことを重視している。
もっと読む スイスでは現金のチップが主流
続きを読む
おすすめの記事
スイス行政裁、ポストファイナンスへの増資命令を支持
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦行政裁判所は13日、スイス金融市場監督機構(FINMA)によるポストファイナンスへの資本増強命令を支持する判決を下した。
もっと読む スイス行政裁、ポストファイナンスへの増資命令を支持
おすすめの記事
クレディ・スイスの崩壊が各国市場に与えた影響は
このコンテンツが公開されたのは、
クレディ・スイス(CS)は世界約50カ国に支店を持ち、約30ある「大きすぎてつぶせない」グローバル銀行の1つだ。swissinfo.chはCS崩壊が世界各地に与える影響を分析した。
もっと読む クレディ・スイスの崩壊が各国市場に与えた影響は
おすすめの記事
クレディ・スイス危機は「カジノ化した金融システムの破綻」
このコンテンツが公開されたのは、
チューリヒ大学教授で経済学者のマーク・シェネー氏は、UBSのクレディ・スイス(CS)買収劇で、巨大銀行を破綻から守るはずだったシステムの欠陥が露呈したと指摘する。
もっと読む クレディ・スイス危機は「カジノ化した金融システムの破綻」
おすすめの記事
【ポイント解説】クレディ・スイスのAT1債訴訟
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの大手銀行UBSによる買収に際し無価値化されたクレディ・スイス(CS)の社債を巡り、スイスの金融規制当局が投資家による訴訟の矢面に立たされている。裁判所が投資家の訴えを認めれば、スイスの納税者は最大数十億フランの償いを迫られる可能性がある。
もっと読む 【ポイント解説】クレディ・スイスのAT1債訴訟
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。