自殺ほう助を規制する新たな試みは否決 スイス上院
スイス上院(全州議会)は11日、自殺ほう助の枠組み規制を設けるよう求める法務委員会の動議を否決した。ただし、自殺ほう助の件数を統計、監視することを求めたもう1本の動議は可決した。
スイスの自殺ほう助をめぐる法的枠組みは他国に比べ非常にリベラルだ。自殺ほう助は刑法の「利己的な理由による自殺ほう助は罪に問われる」という条項が唯一の法的根拠だ。自殺ほう助に関するルールを定めたスイス医師会のガイドラインはあるが、法的拘束力はない。
昨年、医師の関与がほぼ不要な自殺カプセル「サルコ」がスイスで初めて使用されたことを受け、政界では自殺ほう助を厳しく規制すべきだとの声が上がった。
上院法務委員会は2件の動議を提出した。1つ目は、連邦内閣に対し自殺ほう助の枠組み規制を提案するよう求める内容。中央党のハイディ・ツグラッゲン上院議員は委員会を代表し、今年4月に開かれた公聴会では、現行のシステムでは法的確実性、透明性、脆弱な立場にある人々の保護に不備があることが明らかになったと説明した。
しかし、この動議は反対多数で否決された。エリザベット・ボーム・シュナイダー内務相は刑法以上の法的枠組みは必要ないと述べた。
2件目の動議は自殺ほう助の統計・監視に関するもの。連邦内閣に対し、スイスで行われている自殺ほう助の件数と状況を記録し、必要に応じて法的根拠を適宜調整するよう求める内容で、こちらは賛成24票、反対7票、棄権3票で可決した。上院は数値を記録することは重要だと判断した。
英語からの翻訳編集:宇田薫
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