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遠い道のり コソボ紛争から約20年 スイスの復興支援

若者たち

コソボでは若者の雇用が大きな問題となっている

(Daniel Rihs / 13 Photo)

コソボ紛争が終結して20年経った今も、この若い共和国は深刻な経済的、政治的困難に直面している。しかし、前進の兆しも多く見られる。

世界銀行他のサイトへによるとコソボは過去10年間で「堅調な」経済成長を遂げたが、失業問題に与えた影響は小さく、国民の大規模な国外流出の傾向も覆されていない。約200万人の人口の半数が25歳以下で、その6割が失業中と推定されている。2015年から首都プリシュティナにあるスイス協力局他のサイトへの局長を務めるパトリック・エティエンヌ氏は、スイスインフォにこう語った。「給与が安すぎるために若者の3割以上が定職に就かず、『非公式な』仕事をしている。また、外国にいる親戚から送金を受ける人も多い。社会保障は限定的だ」。スイスインフォは以前、スイスによる雇用創出プロジェクトについて報じた。

雇用の希望 スイス、コソボの労働市場改善に協力

1999年の紛争の後、回復途上にあるコソボ。しかし失業率の高さと貧困の蔓延で多くの人がコソボを去っている。そこで、この国の労働市場の改善にスイスなどの国々が力を貸そうとしている。果たしてうまくいくだろうか?

経済は今も海外移民からの送金に大きく依存している。スイスにも約26万人のアルバニア系住民がいる。またコソボの国内総生産(GDP)の約1割が、外国からの無償資金協力だ。援助を行っているのは主に欧州連合(EU)、米国、ドイツ、スイス、そして世界銀行や欧州復興開発銀行(EBRD)のような開発銀行だ。

主要援助国スイス

スイスは2008年にコソボのセルビアからの独立を承認した116カ国のうちの1つで、今もコソボの主要パートナー国・援助国だ。スイスは08年にコソボとの外交関係を樹立し、主に技術・財政協力に関し多くの二国間協定を締結した。17〜20年の経済発展と雇用強化に対するスイスの支援額は総額8千万フラン(約86億円)に上る。 

インフォボックス終わり

2019年5月に新しいコソボ・スイス商工会議所が公式にオープンし、コソボでのビジネスに弾みがついた。ただコソボへの直接投資に対する関心は低く、道のりは容易ではない。インフラが整っておらず、汚職や官僚主義がはびこっているため企業に敬遠されている。セルビアとロシアはコソボの独立を認めておらず、そうしたコソボの主権をめぐる政治的混乱も投資家にとってはリスクだ。欧州議会他のサイトへは最近コソボのビザ自由化を支持した。これはビジネスにとってプラスになるが、変更はまだ実施されていない。

汚職との戦い

パトリック・エティエンヌ局長は、コソボと最近締結した多くの二国間協定の舵取りを手助けしてきた。この4年間を振り返り、コソボはゆっくりと市場本位のシステムに移行していると話す。しかし、国際NGO「トランスペアレンシー・インターナショナル」の腐敗指数他のサイトへでは、調査対象国180カ国中93位と成績は振るわない。エティエンヌ局長は「法制度が不安定なため、多くの海外移民や投資家に敬遠されている」と話す。 

スイスは地方自治体における説明責任強化と透明性向上を支援してきた。エティエンヌ局長は「地方の方が政府レベルよりもガバナンスがよく機能している」と付け加える。また、スイス開発協力機構(SDC)は公務員やジャーナリストを対象に金融犯罪の調査方法に関する研修を行い、汚職との戦いをバックアップしている。

コソボの若者に仕事を

過去10年間で、数十万人のコソボ人が欧州の別の国での職を求めて国を去ったと言われ、この流出は今も続いている。開発団体ヘルヴェタス他のサイトへで働くニクラウス・ヴァルドフォーゲルさんは、経済移民を止めることは不可能だが、この流れを覆す助けはできると考えている。「スイスの例に倣い、教育部門と民間部門の制度的協力を促進することで、状況を改善できる。これによって将来の世代をコソボに引き止めることができるだろう」 

コソボの多くの若者は高い教育を受けているが、雇用主たちは適切なスキルを身につけた働き手が見つからないと不満を述べている。ヘルヴェタスは職業教育、民間部門での雇用創出、仕事と人材のマッチングを支援するEYE他のサイトへプロジェクトを実施している。ヘルヴェタスは企業と職業学校を対象に学習モジュールを立案し、2020年までに2万人の若者を訓練することを目標としている。「これを私たちは体系的開発と呼んでいる。長期的に見てずっと持続可能だからだ」とヴァルドフォーゲルさんは説明する。

オペレーター

プリシュティナのバルティ社ではドイツ語を話せる若者が働く

(RTS )

ITこそ未来

若く頭の切れる労働力と比較的安価な人件費に惹かれて、多くの国際企業がITサービスの一部をバルカン諸国に外注している。中でもコソボは若者の外国語能力が高いため有利だとヴァルドフォーゲルさんは考えている。フランス語圏のスイス公共放送(RTS)は数年前、ドイツ語で業務を行うプリシュティナの市場調査企業バルティ社の共同設立者、ドレヌシャ・シャラさんについて報じた。400人の社員の多くはスイスまたはドイツに居住した経験がある。この部門の給与は比較的高い。

ヴァルドフォーゲルさんは、国の戦略がより明確になり投資が増えれば、ITベースのサービスは本当に軌道に乗るだろうと考える。「公共部門と民間部門は未来のIT労働力のスキルに資金投資する必要がある。コソボで若者の失業に焦点を当てた開発プロジェクトは多いが、研修にお金を出すだけでなく、革新的な協力体制を支援するべきだ。ゆくゆくはこの国も自立への道を模索しなければならない」

花開く観光業

経済成長は緩やかかもしれないが、文化生活は開花し、プリシュティナは活気あるナイトライフで評判を高めている。プリズレンは要塞や教会、カフェがひしめく旧市街で人気だ。北部のペヤでは、スイスのプロジェクトで観光客へのアピールが高まり、海外にもその名が広く知られるようになった。さらに観光業の労働者を訓練し、4年間で訪問者数が75%も急増した。スイスインフォは2017年にこれらの取り組みを詳しく報じた。

貧しい国コソボ コソボを人気の観光地に スイスが支援

コソボが人気の観光地になる日は来るのだろうか?スイスはコソボ西部に観光局を設立し、コソボの観光開発を支援。現地のようすを取材した。 (Julie Hunt、swissinfo.ch) ...

エティエンヌ局長は、まだやるべきことは多いと話す。「ペヤのプロジェクト他のサイトへは大成功だ。ここにはそれまで観光インフラは皆無だった。しかしさらなるインフラ整備が必要だし、国際基準を満たすホテルも不足している」

海外移民の秘めた可能性を活用

ドイツ、スイス、そしてとりわけ北欧諸国からの送金はGDPの約17%他のサイトへを占めると推測されている。スイス在住のコソボ人の多くは大金をはたいて生まれ故郷の村に大きな一軒家を建て、定期的に仕送りし、毎夏飛行機で帰郷する。 

スイスの労働組合ウニア他のサイトへ(UNIA)で働くヒルミ・ガシさんもその一人。夏が近づくと家族で帰郷する。ガシさんは、アルバニア系移民は大きな可能性を秘めているが、それが活用されていないと考えている。ガシさんが役員を務めるNGOのGermin他のサイトへは、知識と資金の移転によってコソボの開発により深く関わるようアルバニア系移民に働きかける組織で、さまざまな分野の専門家らによるグループが運営する。ガシさんは、市民社会の発展を促し、政治指導者や議会、国際機関への依存をなくすことにより、コソボはボトムアップの変化を通じて成長できるはずだと考えている。そして「プロジェクトが国外からの資金に頼っている場合、資金がなくなればプロジェクトも失敗する」と話す。

Germinの成功例の1つは、西バルカン諸国と移民出身の若手専門家が協働し、コソボの地域社会が直面する喫緊の課題に取り組んだ「海外移民の学校」だ。ガシさんは「自分の問題を政府に解決してもらうのをただ待っている必要はないということを、私たちが身をもって示さなければいけない」と考えている。

コソボの平和維持活動

今もコソボにはNATO主導の国際治安部隊(KFOR)が駐留し、全体的な安全の責任を負う。スイス軍の「スイスコイ(Swisscoy)」もKFORに参加しており、190人のスタッフを派遣している。

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(英語からの翻訳・西田英恵)

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