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いつかE.T.に出会えるか?マイヨール教授に聞く

限りない謎に満ちた宇宙。やむことなき探究心のマイヨール教授

(swissinfo.ch)

「ジュネーブ大学天文観測所」のミッシェル・マイヨール教授研究グループが、地球に似た惑星を発見してからおよそ1カ月。

温度も適当で、水があることから、なんらかの生命の存在が初めて予想された。この日から「いつか他の惑星の生物に出会えるのでは」という希望が頭をもたげてきている。本当のところはどうなのだろうか。

 この地球に似た惑星は、地球から20.5 光年の距離に位置する。しかし月より6億倍も遠い距離にあっては、行くことはまず不可能。だがE.T.の存在など我々の想像力をかきたてるこの発見の日から、マイヨール教授研究室の電話は鳴り止むことがないという。2300年も前にギリシャの哲学者エピキュールが言った「世界の複数性」はいつか現実となるのだろうか。マイヨール教授にインタビューした。

swissinfo : 子供の頃、SFがお好きで、プラネット・ハンター ( 惑星を探す天文物理学者 ) になられたというわけではないと思いますが。

マイヨール : もちろん違います。SF小説やSF映画は時々見ますが、大好きというわけではありません。

子供のころは自然科学全般が好きでした。地質学者、火山学者、海洋学者になってもなんら不思議はなかった。しかし当時は、自然応用物理が盛んな時代でした。

そして、ボーイスカウトに参加していたころ8歳で、星座の名前は全て覚えていました。その時すでに、天文学者だったかもしれません。その後アマチュア天文学者から望遠鏡で空を眺めることを教わりました。 

swissinfo : 現代の天体物理学者も望遠鏡を覗くのですか?

マイヨール : いいえ。大型天文台の典型的な操作室は、コンピューターの画面がずらりと並んだコントロールルームです。原子力発電所のコントロールルームなどと何ら変わりのない部屋です。

そこから、望遠鏡やその他の機械を操作し、データを分析します。我々の研究の場合、コンピューター画面から受け取る情報は曲線やグラフだけです。もちろん、他の仲間には他のタイプの機械で宇宙のイメージを見ている人もいますが。

swissinfo : そうした曲線の分析から分かるのは惑星の存在ですが、時に、惑星の存在だけでなく、そこに住む生物、特に人類のようなものを発見したいと思われませんか。

マイヨール : もちろん、そう思います。特に今回地球に似た惑星が発見されたわけで、条件さえ整えば、人類のようなものが住んでいる確率は高くなっているからです。

しかし科学者としての目からすると、そうした生物とコンタクトを取れる可能性は非常に限られていると思います。

ギリシャの哲学者エピキュールは、この世界と人類の複数性を考えていた。つまりどこかに地球に似たもの、人類に似たものが存在するということです。原子の組み合わせを見ると、地球だけにその存在を限定することは考えられない。「他にも地球に似た惑星があり、生物が存在するだろう」とエピキュールは友人ヘロドーテに言っている。しかも2300年前に言った。これは、すばらしいことです。

そして現在、科学的方法でこの問題に取り組める時が来ています。科学的方法で答えが返ってくるのです。

つまり、20年後には、新しい望遠鏡でこうした惑星の幾つかを観察でき、例えば、酸素の濃度が高いことが観察できたら、それは生物の存在を示していることになります。しかしそこでまたフラストレーションがたまる。なぜなら、いくら生命の存在が確認できても、どんな形の生物なのか、分からないからです。

ですから、私はわれわれが今持っている機械を改良することや、今の機械から最高のデータを引き出す努力をすることで満足するようにしています。それだけでも興奮する仕事ですから。

swissinfo : 今まで発見された220個の惑星は全て、高温だったり、ガスだけでできていたりして、改めて、われわれの地球の存在の稀有 ( けう ) さを感じました。この稀有な地球が温暖化の危機にさらされている。科学者としてこの温暖化をどう思われますか?

マイヨール : かなりの人が温暖化を大問題と考えていないのをみると、悲しくまたいら立ちを覚えます。

特に、子供や孫のいる人たちがこうであるのは考えられません。被害を被るのは、こうした次の世代だからです。また、今日すでに被害にあい弱体化しているバングラデシュのような国が、さらに追い討ちをかけるように被害を受けるのです。

「本当に温暖化が起こるのかどうか確かではない」などと言いながら、いつも問題を避けているのです。確かに不確定な要素は少しはある。しかし、このような大問題を前にこうした態度をとるのは無責任そのもの。問題を前に目をつぶる態度です。

1世紀以上も前から二酸化炭素の濃度は大気中で増加し、反論の余地のないデータが揃っているのです。あらゆる気候学モデルが、「二酸化炭素濃度増加は地球の気温を上げること」を示しています。

問題は、将来のために、今手にしている快適さを何であれ、多くの人が捨てたくないということです。温暖化のデータを否定する人たちは、自分の利益だけを考えているのです。

聞き手 swissinfo、マルク・アンドレ・ミゼレ 里信邦子 ( さとのぶ くにこ ) 意訳

ミッシェル・マイヨール教授

1942年、ローザンヌ生まれ。

1971年、ジュネーブ大学で「渦巻き星雲についての研究」で博士号取得。この研究のために、星の光の速さを測定する自分用のスペクトグラフ(分光器)を製作した。

1995年、同僚のディディエ・ケロズ氏と供に、世界で初めて太陽系外惑星第1号「51 Peg b」を発見した。

1995〜2007年、およそ220の惑星が次々と発見され、そのうち半数近くが、マイヨール教授研究室によって発見された。

2007年4月24日、初めて地球に似た惑星を発見した。

マイヨール教授グループはチリにあるESO ( European Southern Observatory ) の望遠鏡を使って研究を続けている。望遠鏡の中心には、数十光年の距離にある星を観測できる高精密放射分光器 ( HARPUS ) が取り付けてある。

マイヨール教授は何冊もの研究書を著し、数多くの賞を受賞。この夏、ジュネーブ大学を退官するが、ESOでの研究活動は続行する。

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