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もぐもぐスイス味 第2弾 その4 ― モモヨ隊員と「すし、食いねぇ」 ―

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今スイスは、第2のすしブームにある。第1ブームは1990年代。チューリヒ市交通局が、すしを車内で食べさせる路面電車を走らせるイヴェントを通し、エキゾチックな食べ物として注目された。

純和食レストランが正当なすしを広める一方で、機械で握った」すしを食べさせるといったカジュアルな店も出現。日本にはあまり見られない「創作すし」への評価もまんざらではない。

 すし屋には長居をしないのが鉄則というポリシーのもと、今回はバーゼルですし屋のはしごを試みた。「海のないスイスでもっとも海に近い街といえばバーゼル市である」街を流れるライン川は、オランダのロッテルダム港から北海につながる。大型船が行き交い、貿易の街として栄える。ほかのスイスの国際都市より、歴史的にも地理的にも、より外に開かれているバーゼルにこそ、すしの極意が凝縮されているというのが隊長の持論である。

3軒をはしごで比べる

 スイスイフォが確認しただけで、バーゼルにはすしを食べさせる店が連邦鉄道駅付近と市内の中心部に集中して6軒もある。
 
 手始めに入ったのは、バーゼル連邦鉄道駅から徒歩で5分の回転ずし「ヨーコスシ ( Yoko’ Sushi ) 」。オーナーのラルフ・ブフラーさんは、東京すしアカデミーで1カ月間勉強したという。ちょうど昼時。地元のサラリーマン、サラリーウーマンで店内はほぼ満席になった。シャリは多めで硬く、羊かんをイメージさせられたが、裏巻きを中に、安価で、たらふく食べるには適している。

 ヨーコスシから旧市街地方面へさらに4、5分歩くと、「ねぎしすしバー ( Negishi Sushi Bar ) 」が見えてくる。店の外に並べられたテーブルでは、若者たちが箸さばきよろしくすしをほおばっている。店内はカウンターのみの1階と一般席の2階で、日本人の職人さんが握っている。「フクオカ」、「オカヤマ」といったメニューの中から一番量の少ない「キョウト」を注文する。シャリも日本で食べるものに近い。

 最後の1軒は、中央郵便局の真向かいにある「コミノ ( Comino )」。一見、スイスのごく一般的なカフェ・レストラン風なのだが、「天ぷら」ののぼりと奥にあるすしのカウンターがユニーク。エスニック料理も出す店で、タイ料理を食べている人の横ですしをつまんだ。

・・・でモモヨ隊員は

 ぐるぐるまわるあのお店で、旧市街の石畳の上で、タイカレーとタバコの煙のイタリアンカフェで、普通の人がお昼ご飯にパクパクとスシ。普通すぎる光景。グルメ、オタク、日本人は皆無。

 3軒目でちょっと変化球。「2人で6個だけなんですけど」と隊長が注文。
もちろんOK、分かってますよ。カフェのオバサマのなんとフレンドリーなこと。
埃かぶったワインボトルを横目にジャスミンティーの移り香のするお茶と頂きながら考える。

 「すし」っていえば感じる白木や青竹の潔さは無いけど、いいのいいの。ここはバーゼル。それよりエライぢゃあないの、地元に愛されてる。

 すしは日本を出、新天地で「スゥシィ」になったの。サーモンをメインに据えて ( 多分 )、新しい人生を生きはじめたんだわ。名乗る肩書きは・・・そう、スナックかしら。スナックなスゥシィ、ひきつづき愛されつづける貴女でありますように。
そのための更なる進化と発展を祈る。

 ところで、モモヨが今考えた欧州風スゥシィは「トマトとモッツァレラのタタキの軍艦巻」。上にはバジルの芽モヤシ ( そんなものがあったら ) を忘れずに。
いかがん?

swissinfo、佐藤夕美 ( さとう ゆうみ ) & モモヨ

ヨーコスシ ( Yoko’ Sushi )
住所 : Steinentorstrasse 35, 4051 Basel
電話 : +41 61 273 1919
営業時間 月~金曜日 11時半~23時、土曜日12時から23時半。日曜日閉店
メニュー : お皿の色で値段が分かる。白の4.50フラン ( 約450円 ) から青の7.50フラン ( 750円 )まで。
予算 :  2人で5皿取り、お茶を飲んで37.50フラン ( 約3800円 )
行き方 :  路面電車停留所ホイヴェーゲ ( Heuwege ) 停留所の向かい。

ねぎしすしバー ( Negishi Sushi Bar )
住所 : Gerbergasse 80 (Barfüsserplatz) , 4001 Basel
電話 : +41 61 263 26 36
営業時間 : 月~木曜日 11~23時 ( すしは11時半~22時15分 ) 、金・土曜日 11~24時 ( 同11時半~23時 ) 、日曜日16~22時 ( 同16時半から21時半 )
メニュー : すし各種盛り合わせ、ベジタリアンすし盛り合わせ15.50フラン ( 約1550円 ) から「ジャパンオンライン」45フラン ( 約4500円 ) まで各種。単品では巻きずし2.80フラン ( 約280円 ) から。
予算 :  2人で盛り合わせの「キョウト」をそれぞれ注文し、お茶を飲んで49フラン ( 約5000円 )
行き方 :  路面電車停留所バールフース広場 ( Barfüsserplatz ) 下車1分

コミノ
Freiestrasse 35, 6051 Basel
電話+41 61 261 24 40
月~土曜日 6時半~24時 すしは火~金曜日が11~14時と18~22時。土曜日は11~22時。
メニュー : すし各種、単品は8~12フラン ( 約800~1200円 ) 。そのほか鮭照り焼き、海老天ぷら、タイカレーなどもある。
予算 :  2人で3種類取り、お茶を飲んで45フラン ( 約4500円 )
行き方 :  路面電車マルクト広場 ( Marktplatz ) 下車。 中央郵便局の向かい

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