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スイスのシベリアの温かいおもてなし ( スイスめぐり-12- )

ブレビィンヌ谷は27キロメートル続いている

(swissinfo.ch)

ジュラ山脈の中でひっそりと村人が暮らしているラ・ブレビィンヌ村 ( La Brevine )。「スイスのシベリア」の異名を取る寒い地域だ。スイスの他の地域では寒くても零下15度程度だが、ここでは零下25度まで下がる。

あまりの寒さに怖じ気づかないでほしい。ここを訪れた勇気ある観光客には、温かいもてなしが待っている。

 年金生活のマルセル・ブロンドーさんは、彼のアパートで、テーブルに一枚の紙を広げて見せてくれた。最低気温の記録が書き付けられている。ここにあるのはほんの一部だそうだ。「私自身は零下41度を経験しています。1987年1月2日、朝8時ですね」と指で示し、誇らし気だ。

静かな美

 ラ・ブレビィンヌ村は峡谷を27キロメートル下りていった所にある。クリスタルのように澄み渡る青い空の下、背の高いもみの木に囲まれて、このかわいい村は姿を現した。

 ここの厳しい寒さは、地形と密接な関係がある。しかし、ここに住む人々は反対にとても温かい。

 ジュラ山脈を越えて行われるクロス・カントリー・スキー競技では、この村も通過する。丘陵を越えていく姿は、スイスというよりシベリアの風景に近いかもしれない。

 ここには典型的なスイス・アルプスのダイナミックな風景は望めないが、代わりにラ・ブレビィンヌとその丘陵には、他では見ることのできない静かな美しさと哀愁の雰囲気がある。

 特に冬、ここは一年で最も静かな時を迎えている。村はまるで眠っているようだ。

過疎の村

 この村の多くの人は、過去何十年の間に村を出て行ってしまった。近くにあるヌーシャテルの町は、時計産業で有名で、働き口はいくらでもあったのだ。このため、村の過疎化は深刻だ。

 昔は2000人もいた村人も、今はおよそ600人に減ってしまった。

 村の広場には、いくつかのレストランが入ったホテルだけが生き残り、他にはわずかなクロス・カントリーの客を相手にする小さなスポーツ店が開いているだけだ。その名も「シベリア・スポーツ」。

 「ここは単に観光に来るには寒すぎますのでね」と店のオーナー、ジャクリーン・シュナイダーさんは諦め顔だ。「最近では、新聞が何かラ・ブレビィンヌについて記事を書いてくれた時だけ、ちらほらと訪れる人がいるくらいですかね」

1日も休めない

 シベリア・スポーツを例外として、ラ・ブレビィンヌはこの普通ではない気候を売り物にはしていないようだ。国の最低気温を記録した気温観測所に行こうと思っても、それを示すような表示は全く見られない。

 そこでスイスインフォ取材班は、マルセル・ブロンドーさんを探し当て、村の広場の裏のくぼみに、隠れるように立っている機械がある場所にやっと案内してもらったというわけだ。

 ブロンドーさんもここに来ることは、今ではほとんどないそうだ。1997年、スイス気象協会は、人間が測るやり方の代わりに、自動的に気温を測るこの機械を採用したからだ。

 「それまでは毎日3回、気温を測らなくてはいけませんでした」とブロンドーさんは言う。「朝7時と、午後1時、そしてまた夕方1回」

 「また、雲を読んだり雪の深さを調べたり、新しい雪の多さや湿気を測ったりね。これを1日もかかさず、日に3回ですよ!」

30秒ごと

 測定機器が、静かにぶーんと動き出した。ブロンドーさんによると、これが気温を測定するとただちにチューリヒの本部に情報が送られるのだという。「30秒ごとにですよ」、と彼は繰り返した。「30秒ごと!」

 今週の最低気温は零下25度。スイス全土で最も低い気温レベルだ。ユングフラウヨッホの頂上の方が2倍も暖かい。ちなみにユングフラウヨッホは、ラ・ブレビィンヌより2500メートルも高い所にある。

 さて、やっと我々は一息ついて、ホテル・デゥ・ビルで熱いコーヒーを飲むことにした。ここでの歓待は信じられないほどだった。レストランにいた3人の従業員がそれぞれ我々のテーブルにやってきて握手をし、これがこの地域では普通のことなのだという。

 料金も心惹かれるものだった。一杯2.80フラン ( 約250円 )。スイスの他の地域や町、リゾートと比べて1フラン ( 約80円 ) 安い。

 隣のホテル「オーベルジュ・オ・ル ( 白い狼の宿 )」のオーナー、ジャン・ダニエル・オプリンガールさんにも話を聞いた。 

とろーりとろける期間限定チーズ

 彼は素朴な雰囲気を失わないようにしながら、ホテルの改装に踏み切った。角にしつらえた暖炉は、音を立てて燃えていはいなかったが、ちろちろとした火が暖かい雰囲気を保っており、その火の近くにダニエルさんが自ら作った料理を置いてくれる。

 「ヴァシュラン・モンドール・チーズは、ジュラ山脈の特産ですからね」と暖炉に薪をくべながら、ダニエルさんは言う。

 「これは冬の期間限定のチーズなんです」と、とろーりとろけるチーズをすくって、茹でたジャガイモの上にかけてくれた。

 寒い冬にも、魅力はあるようだ。こんなスイスのシベリアでさえも。

swissinfo、 デイル・ベヒテル ラ・ブレビィンヌにて、遊佐弘美 ( ゆさ ひろみ ) 意訳

キーワード

ヌーシャテル ( Neuchael ) 州ラ・ブレビィンヌはジュラ山脈の中にある。海抜は最低でも1000メートル。
スイスで人が住んでいる最も寒い地域とされている。最低温度の記録は、零下42度。
南極以外で最も寒い気温を記録したのはロシアのシベリアで零下68度。

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マルセル・ブロンドーさんによる、ラ・ブレビィンヌの冬についての説明は以下のとおり

-谷は大きな盆地の形をしており、寒い空気がたまりやすい。
-零下30度から零下40度まで気温が下がるには、50センチ以上の積雪が必要。
-夜の間に気温は下がり続け、朝の太陽が出て温かくなると、周りの冷気が一気に谷に流れ込んできてさらに寒くなる。
-1985年には、気温が零下39度から零下41度の間を上下した1週間があった。

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