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スイスワイン、古代の栄養たっぷりと

「グラン・プリ・デ・ヴァン・スイス」の審査は、品種を含む、ミュラー・トゥールガウ、シャスラ、ガメなど、11のカテゴリー別に行われた。これらは各カテゴリーの最優秀ワイン

スイス各地でブドウがその色づいた葉を落とそうとしている。収穫されたブドウは、すでにジュースとして飲まれる時期を終え、今、発酵を始めている。

このコンテンツは 2007/11/12 15:25

スイスワインにとって2007年は記念すべき年になった。ブドウの一種であるシャスラ種を栽培するレマン湖絶景のブドウ畑、ラヴォー ( Lavaux )がユネスコ世界自然遺産に指定されたからである。

2007年は、スイスワインの名を高め、生産者を激励するためのコンクール「グラン・プリ・デ・ヴァン・スイス ( Grand Prix du Vin Suisse ) 」も2年目を迎えた。今年は11のワインのカテゴリーごとに最優秀を3本選び、さらに有機農業の賞なども加わった。25 年前、シャスラ種のワイン「デザレ ( Dezaléy ) 」を一旅行者として飲み、電撃的な衝撃を受けて以来、スイスワイン一筋に生きる井上貴子さんにスイスワインの魅力を聞いてみた。

世界中で一番たっぷりと養分を吸って育つ

スイスワインの一番の特徴は、「山が育てるワイン」という一語に尽きるという。標高の高い畑のブドウは日差しの強さのせいで、地下に深く、しっかりと根をはり色々な養分を吸い込むからだ。

また土壌そのものも豊かで、例えばユネスコ世界自然遺産のラヴォーは、ジュラ期の土壌が母体になっている。「恐竜をイメージするジュラシックパークのワインだとよく言うのです。世界中で一番たっぷりと、古代の養分を吸って育つワインといっても過言ではありません」と井上さん。

ほかの特徴は古いブドウの品種を大切にしている点。紀元前58年にシーザーが大軍を率いてスイスに入って来た頃伝えられた苗木が、ヴァレー州では何種類か残り、今でも育てられているという。その品種の1つを使った赤ワイン「ユマーニュ ( Humagne ) 」は妊婦に良いといわれ、医学論文などにも引用されている。

古いものを大切にする一方、品種改良に励んだり、技術研究など、とにかく研究熱心なのもスイスのワイン作りの特徴だという。「有機農業のワイン畑も増えていますから」

ミュラー・トゥールガウ種とシャスラ種

スイスワインの品種の中から特に2種選ぶとしたら、1つはなんと言っても、井上さんが電撃的出会いを果たしたシャスラ ( Chasselas ) を挙げるべきだという。スイスで独自に開発されたシャスラ種から作られるワインは、「スイスワインの王様」とも「スイスワインの名刺」ともいわれる。実が熟してはじけやすいので、収穫期に気をつけなくてはならないため、シャスラ種を中心に他のブドウの収穫時期が決まる。

「清らかな乙女のようなワイン」なのだそうだ。しかもミネラルをたっぷり含み、とにかくさわやかなのだという。だから日本料理に合い「ワインとお料理が邪魔し合わない」し、塩がきいたお寿司にとてもよく合うという。

シャスラ種がフランス語圏中心の品種とするなら、ドイツ語圏では品種改良の代表選手、ミュラー・トゥールガウ ( Müller-Thurgau ) 種を2つ目に選びたいという。世界的に有名なこの白ワイン種は、トゥールガウ州のヘルマン・ミュラー博士が開発したもの。「ドイツ語圏の三畳紀の地質にこの品種はピタリと合ったのです」

酸味と華やかさのあるリースリング種とやさしさ、穏やかさのあるシルバーナー種の掛け合わせから、「親のいい所だけを取って生まれた娘」のように華やかで、香りがあり、同時にナイフのようなシャープさを持つこのワインが生まれた。アンコウ鍋のような脂の乗った魚、特に肝を食べる魚に合い、ヨーロッパでは甘い味つけのイノシシ肉やフォア・グラがピッタリなのだそうだ。

ところで、10年間「アルコールと長寿の関係」を研究したドイツのボルム博士によると、ワインを飲む人が一番長生きをする。しかも暖かい所のワインより、寒いドイツやスイスのワインを飲む人が長生きで、中でもスイスワインは「免疫力を高める効果が証明された」と井上さんのスイスワイン礼賛は尽きることがない。

swissinfo、里信邦子 ( さとのぶ くにこ )

井上貴子さんのプロフィール

スイスワイン研究家。

25年前、初のスイス旅行でスイスワインと劇的な出会いをし、以後、スイス各地のワイン生産者を訪れ、旅とスイスのワインの情報を雑誌等に紹介する。

2000年ローザンヌで開催された利き酒コンクール「ジョン・ルイ ( Concours Jean-Louis ) 」で日本人初の受賞。

2007年2月、スイス大使館主催「Swiss Days @ Marunouchi」にて「スイス─ワインとチーズの楽しみ方 ( Discovering Swiss wines and Cheeses ) 」を担当。

現在、スイス各地のワインと旅、食の魅力を雑誌、講演、ラジオなどを通じて紹介する。著書に『霊峰に育まれたスイスのワイン』(産調出版刊)などがある。

在日本スイス商工会議所、関西日本スイス協会、「Pool of Experts、Swiss Society of the Kansai」、日本ソムリエ協会等に所属する。

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