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スイス人折り紙アーティスト 折り紙で巨大アート「白いゾウ」

「白いゾウ」と折り紙アーティスト、シフォ・マボナさん

「白いゾウ」と折り紙アーティスト、シフォ・マボナさん

スイス人の折り紙アーティスト、シフォ・マボナさんの作った「白いゾウ」はアート空間KKLBで生まれ、「育て」られた。スイス国内のみならず世界中の人々を魅了したこの作品は、高さ3メートル20センチのゾウの実物大折り紙。この巨大折り紙アートが生まれた過程を辿った。

 ルツェルン郊外に位置する「ベロミュンスター放送局・芸術と文化センター(KKLB)」は、もとは有名な放送局だった。この場所をスイスで著名な芸術家ヴェッツが買い取り、芸術と文化の発信地として再出発させた。今では数多くの先鋭スイス人芸術家の作品が展示され、毎週日曜日にはKKLBスタッフによるガイドで、館内の作品を楽しむことができる。

(KKLB / Silas Kreienbühl)

KKLBは常に未完成

 KKLBはオープンした2010年当初の何も無い状態から、芸術家とスタッフの手によって少しずつ改修されてきた。しかし、現在もまだ完成していない部分が建物のあちこちにある、とKKLBディレクターのシラス・クライエンビュールさんは言う。

 「(スイス人は真面目なので)通常、美術館は完成した状態でしか公開しない」とクライエンビュールさんは微笑む。「しかしKKLBは改修過程を見せるのも芸術表現の一つだと思っている。例えば集会ホールの木の階段は初めは幅広く作られたが、舞台が必要だったため、その真ん中をくりぬいて舞台を設置した。そういう作業があちこちで起こり、ここに来る人は訪れる度に何か新しいものに出会うことになる」

「白いゾウ」の「あゆみ」

 「白いゾウ」の企画は、クライエンビュールさんと折り紙アーティストのマボナさんの、たわいない会話の中で生まれたもの。それは、建物のあゆみを来館者と共有するという、KKLBのコンセプトと共鳴している。

 「『白いゾウ』の折り紙制作期間は4週間だったが、この企画は随分前からスタートしていた」とクライエンビュールさんは経緯を説明する。

 マボナさんの「白いゾウ」が初めて12×15メートルのホールに展示されたのは、完成4カ月前、2013年秋のことだ。しかしそれはまだ高さ20センチ、幅30センチほどの小さな折り紙作品だった。そして日曜日の館内ツアーでは来館客にこう伝えた。

 「近々、ゾウの実物大サイズの折り紙作品を、ここで制作します」

 同時にインターネット上で資金を募るクラウドファンディングを始め、コンセプトビデオも制作。アメリカで特注した15×15メートルの紙が到着した際には、それをホールに展示し来館客にこう説明した。

 「この巨大な紙を使って、これから実物大のゾウの折り紙作品を制作します」

 「もともと1枚の紙から色々なものが造り出される『折り紙』が多くの人の興味を惹くことに注目していた。シンプルだが、そこから造り出されるものは限りない。更に、シフォの制作する作品は、ただの折り紙ではない。折り紙の技術に支えられてはいるが、常に彼の表現技法がプラスされている。そこに芸術性がある」とクライエンビュールさん。

 2014年2月、マボナさんはアシスタントをときには10人に増やし、4週間制作に励んだ。制作中も来館者に展示ホールを解放。来館できない人向けには、インターネット経由で生中継するライブストリーミングで制作過程を一般公開した。来館客は倍増。クラウドファンディングは最終的に、世界中の600人以上の有志から合計2万5000フラン(約290万円)の資金を調達することに成功した。

KKLBで息づく「白いゾウ」

 「本当に無事完成するのか、頭を悩ませることもあった」とクライエンビュールさんは制作当時を振り返る。「だが作品は無事完成した。制作過程を通して世界中から関心を得ることもできたし、折り紙アーティストとしてのシフォの知名度もあがった」

 KKLBの出入り口や窓は「白いゾウ」より小さいため、作品を外に運び出せない。だが、その問題がなくともこの「白いゾウ」はKKLBで今後もしばらく展示されることになるだろう、とクライエンビュールさんは言う。

 「もし他の場所にこの作品が展示されるとしたら、それはそこでの新たな制作過程による、その場所固有の『白いゾウ』が生み出されるべきだろう」

ベロミュンスター放送局・芸術と文化センター(KKLB/Kunst und Kultur im Landessender Beromünster)

2010年、芸術家ヴェッツが芸術と文化の発信地として再出発させた元放送局。スイス人芸術家の作品を展示のほか、太陽光発電に関するセミナー開催などの取り組みも行っている。

毎週日曜日14時よりKKLBスタッフによるガイドで館内見学可能(入場料:大人22フラン、小人12フラン、家族割引49フラン/子ども用特別プログラム有)。平日、土曜日入館は要予約(入場料:15フラン)。

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シフォ・マボナ(Sipho Mabona)さん略歴

1980年生まれ、ルツェルン在住のスイス人折り紙アーティスト。2008年から折り紙アーティストとして本格的に活動を開始。伝統的な折り紙技術をもとに、独自の作品を生み出す。イベントやテレビコマーシャルなどにも作品を提供。その芸術性が高く評価され、ニューヨーク、バンクーバー、東京をはじめとする世界中のアートギャラリーで展覧会を行っている。

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シラス・クライエンビュール(Silas Kreienbühl)さん略歴

1983年生まれ。ルツェルン在住のスイス人アーティストで、学芸員、グラフィックデザイナー。KKLBのディレクターとして数々の企画に携わる傍ら、個人事務所シラス・クライエンビュール・ビジュアルズ(silas kreienbuehl visuals)を設立し、芸術作品の展示や写真展示のコンサルタントを行っている。

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