スイスの製薬大手ノバルティスが特許を不正に使用した疑いがあるとして当局の調査を受けている。スイス・カルテル法に基づく支配的地位の乱用に当たる可能性があるという
© Keystone / Georgios Kefalas
スイス連邦競争委員会(COMCO)は、製薬大手ノバルティス(本社・バーゼル)が競争を防止する目的で特許を不正に使用した疑いがあるとして調査を始めた。
このコンテンツが公開されたのは、
欧州委員会との合同調査で、自社の皮膚疾患治療薬を巡り、競合を追い払うために違法な手段を用いた疑いがあるとしている。COMCOは13日早朝、同社のバーゼル本社を家宅捜索した。
COMCOは声明で、ノバルティスの社名は言明しなかったが「会社は自社の持つ特許の1つを使用して訴訟手続きを開始し、競合製品から皮膚疾患治療薬を保護しようとした疑いがある」とした。
当局は、これがいわゆるブロッキング特許の使用に当たるかどうかを調べる。ブロッキング特許とは、特許権を持つ側が、競争相手の市場参入を阻止することなどを目的として、自らの発明を保護するために研究開発する特許のこと。スイスのカルテル及び他の競争制限に関する連邦法の、支配的地位の乱用に当たる可能性があるという。
ノバルティスは声明で、当局が同社を「訪問」したことを認めた上で、「調査の開始が、いかなる不正行為の認定、あるいは金銭的影響を意味するものではない。同社は当局の調査に全面的に協力し、立場の正当性を明らかにすることに自信を持っている」とした。
同社は金融ニュースサイトAWPに対し、捜索はバーゼル本社のみだと回答した。
英語からの翻訳・宇田薫
おすすめの記事
スイス・ニトヴァルデン準州の小学校、スマホ禁止へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス中部ニトヴァルデン準州は5日、スマートフォンをはじめとするIT機器の小学校での使用禁止を発表した。授業目的や緊急時などを除き、全面的に学校でスマホが使えなくなる。
もっと読む スイス・ニトヴァルデン準州の小学校、スマホ禁止へ
おすすめの記事
ジュネーブ国連職員約500人が予算削減に反対するデモ
このコンテンツが公開されたのは、
メーデーの1日、ジュネーブで国連欧州本部職員500人近くが国連の緊縮財政に反対する異例のデモ活動を実施した。
もっと読む ジュネーブ国連職員約500人が予算削減に反対するデモ
おすすめの記事
バーゼルで「カラオケ路面電車」走行 欧州歌合戦に合わせ
このコンテンツが公開されたのは、
5月11~17日の欧州国別対抗の音楽祭「ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト(ESC)」開催中、バーゼルでは「カラオケ・トラム(路面電車)」が運行する。ビンテージ車両で90分間かけて街を走る間、乗客は無料で歌い踊ることができる。
もっと読む バーゼルで「カラオケ路面電車」走行 欧州歌合戦に合わせ
おすすめの記事
ジャッキー・チェンさんに名誉豹賞 ロカルノ映画祭
このコンテンツが公開されたのは、
第78回ロカルノ国際映画祭で、香港出身の俳優ジャッキー・チェンさん(71)に生涯功労賞である「名誉豹賞」が贈られることが決まった。
もっと読む ジャッキー・チェンさんに名誉豹賞 ロカルノ映画祭
おすすめの記事
グミベアが躍る「ロボケーキ」大阪・関西万博スイス館で展示
このコンテンツが公開されたのは、
動くクマのグミ、チョコレート味の電池――大阪・関西万博のスイス館では、ロボット工学者とパティシエ、ホテリエが合作した「ロボケーキ」が展示されている。
もっと読む グミベアが躍る「ロボケーキ」大阪・関西万博スイス館で展示
おすすめの記事
スイス外相、大阪・関西万博で結束と対話をアピール
このコンテンツが公開されたのは、
日本を公式訪問中のスイスのイグナツィオ・カシス外相は22日、2025年大阪・関西万博のスイス・ナショナルデーのオープニングセレモニーに出席し、結束と対話を呼びかけた。
もっと読む スイス外相、大阪・関西万博で結束と対話をアピール
おすすめの記事
フランシスコ教皇死去、スイス大統領が哀悼
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのカリン・ケラー・ズッター連邦大統領は、21日死去したローマ教皇フランシスコに哀悼の意を表した。
もっと読む フランシスコ教皇死去、スイス大統領が哀悼
おすすめの記事
WEFのクラウス・シュワブ会長が辞任
このコンテンツが公開されたのは、
世界経済フォーラム(WEF)は21日、創設者で会長のクラウス・シュワブ氏が同日付で辞任したと発表した。
もっと読む WEFのクラウス・シュワブ会長が辞任
おすすめの記事
スイス外相、日本と中国を訪問
このコンテンツが公開されたのは、
イグナツィオ・カシス外相は日本と中国を公式訪問する。
もっと読む スイス外相、日本と中国を訪問
おすすめの記事
TIME誌、スイス人弁護士を「最も影響力のある100人」に選出
このコンテンツが公開されたのは、
米誌タイムズの「2025年最も影響力のある100人」に、弁護士コーデリア・ベール氏がスイス人女性では唯一ランクインした。ベール氏は気候訴訟で異例の勝訴判決を勝ち取った人物だ。
もっと読む TIME誌、スイス人弁護士を「最も影響力のある100人」に選出
続きを読む
おすすめの記事
ノバルティスの大量解雇、最大5割は管理職
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの製薬大手ノバルティスは22日、かねて予定されている1400人規模のリストラでは最大5割を管理職が占めることになると発表した。
もっと読む ノバルティスの大量解雇、最大5割は管理職
おすすめの記事
ノバルティスの大量解雇 背後に何が?
このコンテンツが公開されたのは、
リストラを発表するのは簡単ではない。ノバルティスが先月末に発表したようなマグニチュードの大きいものであればなおさらだ。同社は今後3年で、スイス国内社員の10%に当たる1400人を削減し、グローバルでは10万8千人のうち8…
もっと読む ノバルティスの大量解雇 背後に何が?
おすすめの記事
ノバルティス、白血病治療薬の特許を放棄
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの大手製薬会社ノバルティスは、1回約3349万円かかる高額な白血病治療薬キムリアに関する特許の1つを放棄した。スイスのNGOが欧州特許庁に異議を申し立てていた。
もっと読む ノバルティス、白血病治療薬の特許を放棄
おすすめの記事
製薬大国スイス、AIスタートアップの中心地になれるか
このコンテンツが公開されたのは、
人工知能(AI)は医療現場の救世主になるかもしれない。AIの導入で診断の精度が上がり、管理業務は削減され、医師が患者と向き合う時間が増えるとされる。製薬大国のスイスはAI医療の中心地となる条件がそろっているが、複雑な問題も抱えている。
もっと読む 製薬大国スイス、AIスタートアップの中心地になれるか
おすすめの記事
WHO総会、製薬会社の「薬価の秘密」開示は踏み込めず
このコンテンツが公開されたのは、
ジュネーブで開かれていた世界保健機関(WHO)の年次総会で、3週間の激しい交渉の末、加盟国が医薬品価格の透明性改善を目指す決議を採択した。ただ当初の目的の1つだった、製薬会社に費用の詳細を開示させることは実現できなかった。
もっと読む WHO総会、製薬会社の「薬価の秘密」開示は踏み込めず
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。