アフターコロナもテレワーク?


スイス・フランス語圏の教師。彼のように、コロナ危機に初めてテレワークを経験したスイス人は多い Keystone / Jean-Christophe Bott

新型コロナ危機を受け、スイスでは多くの労働者が在宅勤務(テレワーク)に切り替え、生産性や生活の質を上げている。だが危機の収束後もこうした働き方がそのまま定着するとはいえなさそうだ。

新型コロナ危機は労働の世界を大きく揺さぶった。スイスでは3月16日に感染症法上の非常事態が宣言されたのを受け、多くの労働者が在宅勤務を増やしたり、初めて導入したりした。

在宅勤務にかかる費用は誰が負担?

スイスの最高裁判所が4月、従業員に在宅勤務の必要性が生じた場合、雇用主は家賃を一部補助しなければならないとの判決を下したと報じられた。2016年に提訴された事案で、専門家はコロナ危機による在宅勤務に同じルールは適用されないと主張している。

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スイスでは近年、在宅勤務が広がっている。2019年の統計では、労働者の4人に1人が少なくとも不定期に在宅で働いていた。コンサルティング会社デロイト・スイスは、コロナ危機でさらに倍に増えたと試算している。

当局が段階的にロックダウン(都市封鎖)を解除するのに伴い、企業や労働者は今後テレワークをどうしていくかという問題に直面している。一つはっきりしているのは、多くの労働者は在宅勤務の間、仕事の効率が上がり、下がることはなかったことだ。


生産性の向上

デロイトの調査では、回答者の過半数がテレワークで生産性が損なわれなかったと答えた。4割以上はより効率的に仕事ができたと感じている。

危機管理コンサルタントのエレーナ・デボー氏によると、テレワークが生産性に与える影響は一律ではない。業務管理や小売りなど、物理的に現場にいることが重要な職種もあるからだ。

だが一定の職業では「生産性の向上が明らか」で、特に情報や通信技術は最も向上した分野だとデボー氏は指摘する。「テレワークにより作業がむやみに中断されることがなくなり、在席することや『そこにいること』の社会的プレッシャーがなくなった。結果だけが評価される」

世界労働機関(ILO)と欧州生活労働条件改善財団(Eurofound)は2017年の報告書で、同じような結論を導き在宅勤務の普及を推奨した。

報告書はワークライフバランス(仕事と生活の調和)をより良く達成でき、通勤の必要性を減らせる利点を強調。テレワークは従業員のモチベーションを上げ、オフィス面積を減らすことで経費削減にもつながると指摘した。

残る障壁

この2カ月、多くの労働者がこの利点に気づく機会を得た。デロイトはテレワークをする労働者が危機前の水準に戻る可能性は低いとみる。在宅勤務はスイスに定着するのだろうか?

デボー氏は懐疑的だ。「コロナ危機後、18~24カ月は革命的なことは起きない」。多くの障害があるからだ。

一つは文化的な障壁だ。コロナ危機でさまざまなことが変わったとしても、抵抗は残るとデボー氏は指摘する。

情報技術(IT)やサイバーセキュリティー、保険などの投資も必要になる。

「1カ所だけではなく複数の場所で安全を確保しなければならなくなる。在宅勤務は企業のオフィスよりも高くつき、リスクも大きい。労働者からはこの点が見えない」(デボー氏)

今のところ、法律的にも明確でない部分がある。

「労働法もテレワークを念頭に置いた改正が必要だ。それには何年もかかる」

今後の展望

だが世界的に見れば、トレンドとしてはやはり在宅勤務が広がりそうだ。長期的には、スイスでも複数のシナリオが考えられる。デボー氏は、現行の枠組み内で在宅勤務が広がっていく可能性が高いとみる。ケース・バイ・ケースで在宅勤務が許容されるが、大勢にはならないということだ。

最も望ましいのは、労働者がスイス国内に留まり、テレワーク普及によって経済の中心地での賃料の高騰や、インフラ密集の圧力が減るシナリオだ。最悪なのは政策が悪用され、企業が業務コストの一部をテレワーカーに転嫁したり、スイス国外の労働者を雇ったりする「テレワークのウーバー化」が起こることだ。

テレワークで後れを取るスイス

スイス統計局はごくたまにしか在宅勤務しない労働者も統計に含めた。在宅勤務する人は25%近いが、労働時間の半分以上リモートで働くのは3%しかない。swissinfo.chが取材した専門家は、スイス企業の多くは主に文化的な理由で後れを取っていると指摘した。

他の欧米諸国では普及率はさまざまだ。欧州連合(EU)の直近の調査は2015年のものだが、平均で約17%が在宅勤務。イタリアでは8%、デンマークで38%と開きがあった。ブルッキングス研究所によると、米国では危機前に100%在宅勤務していた人は3%強に過ぎなかったが、この4月は倍以上に増えた。

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