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ハイチ大地震から2年、復興はまだこれから



2年経過した今でも、50万人がテント生活を強いられている

2年経過した今でも、50万人がテント生活を強いられている

(Keystone)

マグニチュード7のハイチ大地震から明日1月12日で2年が経過する。しかし、支援する国際社会のリーダーシップの欠如、一向に衰えを見せないコレラの感染など、ハイチの復興には、まだ先が見えない。

25万人の犠牲者を出し、2年後の今も50万人が故郷に戻れないまま避難先で生活を送るハイチ。国連(UN)側は「人道援助は成功した」と話すが、現地の関係者は復興の困難さとプロセスの複雑さを強調する。

 「2011年11月の復興総括レポートで、10万軒の仮住居の建設が報告され、また2万1000軒の家屋が修復された。人道援助は成功したと言える」と、国連の人道援助コーディネーターのニィゲル・フィッシャー氏は、過去2年間の支援を高く評価する。

 しかし、ハイチの社会学者シャルル・リドレ氏は「過去2年間に飛躍的な復興がなされたとは思わない。コレラの蔓延(まんえん)を見れば分かる通りだ。国連は現地での視察が終わるや否や、すぐ引き上げた」と話す。さらにコレラに関しては、「コレラ菌がどういう経路でハイチにもたらされたのか、きちんと調査できる専門家を派遣する必要がある」と続ける。

 「国境なき医師団(MSF)」スイス支部の派遣団長のジュラール・ベドック医師もリドレ氏の考えに同意する。「状況はまったく改善されていない。人道援助が成功したと評価すれば、それは間違いになる。まだ、がれきを取り除かないといけない場所もあり、避難した人の半分がテント生活を送っている。さらにコレラは1年以上猛威を振るい続けている」

リーダーシップの欠如

 実際のところ、(2年経過した今でも)復興に総合的なプランは見えていない。国際社会にもハイチ政府にもリーダーシップが欠けているからだ。2011年5月14日に就任した新大統領ミッシェル・マルテリ氏は、最初の6カ月間、新政府が議会からの支持が得られることにのみ腐心し、その結果復興に向けたプロジェクトのリストはまだ発表できずにいる。

 ハイチの日刊紙「ヌベリスト(Nouvelliste)」の編集長フランツ・デュヴァル氏は、「つまり、新政府はまだうまく機能していないということだ。しかしそれは仕方がない面もある。マルテリ氏は政治家ではない。その上、(政府が機能するようになるまでの)プロセスは複雑だ。ただ、一つ良いのは、これらが軍隊を使わずに行われていることだ」

 コーディネーションに欠け、混沌とした状況で、地震後の復興は主に外国のNGOや個人によって始められた。しかし今でも首都ポルトープランスの北部、カナーン(Canaan)がそうであるように、何万ものかろうじて建っているような家が貧民街のように広がる状況が続く。

 ただ、デュヴァル氏はいくつかの期待できそうな兆候も見出している。例えば、新大統領は前任者の意志を継ぎ、外国の投資家を引き付けるプロジェクトを継続する予定だ。

コレラの脅威

 一方、社会学者のリドレ氏は「ハイチの政治家、国際社会の政策決定者、多国籍企業の3者間に存在する、ある種の共謀」に厳しい批判の目を向ける。地震後にかえって裕福になった人たちがいる一方で、一般市民の生活は改善されなかったからだ。リドレ氏はさらに、現大統領の新軍隊編成プロジェクトに対しても危惧の念を隠さない。

 ところで、「一つの禍からもう一つの禍へと、息つく暇もない市民たち」とリドレ氏が嘆息しながら表現するのは、コレラの蔓延のことだ。2010年11月に発生して以来、現在すでに50万人に感染し、7000人の犠牲者を生んでいる。

 「コレラに対する十分な援助金も立役者もすべて揃っているというのに、効果は十分に現れず、対策にまったく統制がとれていない」と言うのは、前出のベドック医師だ。

 今までに現場でスタッフと共に全患者の三分の一を治療してきて、「我々『国境なき医師団』は近代社会が抱える最悪の伝染病の一つに対し、前線に立って戦っている。できる限りのことをやっているが、なにしろ統制が取れてないがために、治療が不平等に行われている」と困難さを語る。

 雨季の終わりにコレラは一度収まる見込みだ。「しかし、その後ぶり返したときが心配だ」というベドック医師の懸念には理由がある。今日すでにいくつかの医療NGOが財政的問題でハイチを去り、緊急医療をあきらめようとしているからだ。健康問題は、「国境なき医師団」のような外国の大型NGOにのみ頼るこの国で、こうしたNGOの撤去は、さらにひどいコレラ感染を引き起こしかねない。 

NGOに頼る

 「だが、NGOの撤去は援助方法のまさにパラドックスにつながる。確かにNGOの撤去を支持はできない。しかし、だからといってNGOに頼ってばかりもいられないからだ。この国では、過去2年間、外国からの援助抜きでコレラに対処する方法を模索してこなかったのだ」とデュヴァル氏は分析する。

 リドレ氏は78歳になる姉の例を挙げる。修道会のメンバーであるこの姉は、つい最近、突如、孤児院の経営を委託された。今までアメリカのNGOが行っていた孤児院だが、財政的に苦しくなり自国に引き上げることになったからだ。

 そしてベドック医師はこう結論する。「外国からの援助に対しハイチ政府の態度はあいまいだ。地方政府は我々が撤退すれば、国の厚生省が担当すようになるのを恐れている。なぜなら治療の質も保障されない上、無料かどうかも分からないからだ。しかし一方で、ハイチ政府がNGOを(根本問題を解決する代わりとしての)スケープゴートとして、うまく利用していることも知っている。そしてその態度に立腹している」

ハイチ人の証言

ソレイ・ルヴェさん: 「地震後から今日まで何も変わっていない。人々はまだテント生活をしている。世界中から驚くほどの数の人道援助関係者がやってきた。しかし目に見える変化は何もない。いつも被災地での復興には民衆扇動策が取られる」

ルレさん: 「ハイチの政治家は、国民のみじめな運命を救うことよりも、自分のための政治t策動に力を入ている。たくさんの人道援助が行われているにもかかわらず、多くの人が、コレラ、そのほかの病気、子どもを学校に通わせられない、食糧不足など、さまざまな問題を抱えている」

ルカさん: 「僕はそれまでもかなり危険な状況に遭遇してきた。しかし2010年1月12日に起こったことをもう一度見なくてはならないならとしたら、死んだ方がましだと思う。それは、大虐殺の光景。まるで核爆弾が落とされたようなものだった」

ジョス・ジョゼフ・サンシーさん: 「よく人は、希望が人を生かしてくれるという。しかし、地震後はただ生活が続いているだけだ。深い傷は癒えていない。しかし神の加護のお蔭で、どうにか生きる力を得ている」

インフォボックス終わり


(仏語からの翻訳・編集、里信邦子), swissinfo.ch


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