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創設20年 苦境に立つ国連人権理事会

人権理事会の空席
第2次ドナルド・トランプ政権が始まって以来、アメリカ外交官用の席は空席のままだ Keystone / Salvatore Di Nolfi

世界中の人権擁護を担う国連の人権理事会の第61回会議がジュネーブで始まった。創設20年の節目ながら、財政、調査任務をめぐる加盟国間のすれ違いは埋まりそうにない。

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47の加盟国は2月23日~3月31日の会期中、最新テクノロジーから子どもの権利、気候変動に至るまで、幅広いテーマについて話し合う。スーダン、ウクライナ、イラン、そしてパレスチナ自治区といった、最悪の人道危機に直面する国々についても議論する。

ウクライナやガザの紛争、アメリカの関税政策などの地政学的緊張、そして国連自身が直面する財政危機という逆風のなかで議論が進むことになる。

中国代表、日本を名指しで批判

中国人民網外部リンクによると、中国代表は25日の理事会で、中国の人権状況に関して日本などが「偽情報を流布」していると批判した。また日本の慰安婦問題への対応を挙げ「日本が他国の人権状況についてあれこれ言っても、人権面で自国の問題を覆い隠すことはできない」などと強調した。

財政危機

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は1月下旬、加盟国の分担金支払いが滞れば国連に「差し迫った財政崩壊」の危機が押し寄せると訴えた。

加盟国193カ国のうち、現時点までに2026年分の支払いを済ませているのは69カ国にとどまる。2大拠出国のアメリカと中国は未払いだ。

加盟国自身の財政難や予算削減により、国連は組織改革と経費削減を余儀なくされている。人権高等弁務官事務所もその余波を受け、2026年予算は6億2430万ドル(約972億円)と16%削減された。これに伴い、人権理事会も会期を6週間から5週間半に減らすことになった。

「今会期は、人権理事会がその任務を忠実に守りつつ制約の下で活動する能力が試されることになるだろう」。理事会議長を務めるインドネシアのシッダルト・レザ・スリオディプロ対しは報道陣にこう語った。

近年、その後の調査を必要とする監視権限付きの決議が増えたため、理事会の議題は拡大し、会期も長期化している。安全保障理事会が停滞するなか、加盟国が設立20周年を迎える人権理事会への関心を高めていることを反映する。

会期短縮の影響

会期短縮にともない、各国の発言時間が短くなる。同時通訳などのサービスに支障が出る可能性があり、関係NGOは不安を募らせている。

ジュネーブとニューヨークに拠点を置くNGO「国際人権サービス(ISHR)」のプログラム・マネージャー、ラファエル・ビアナ・ダヴィッド氏は「人権理事会の会期短縮は、市民社会の参加を認め奨励する数少ない国連機関の一つにおいて、市民社会の発言機会を狭めることにつながる」と指摘する。

NGOらは、対面・オンライン会議のハイブリッド形式の廃止にも不満を唱える。オンライン会議は新型コロナ危機下でジュネーブに渡航できない組織が理事会に遠隔参加できるよう導入されたが、加盟国はハイブリッドには費用がかかりすぎるとみなしている。

危機に瀕する調査任務

さらに懸念されるのは、昨年、人権理事会が決定した任務の一部が予算不足により実施できなかったことだ。

その1つがコンゴ民主共和国(DRC)東部における残虐行為の記録を任務とする調査委員会だ。同国当局の要請により設置され、2025年2月に人権理事会の承認を得たものの、資金が足りずいまだ活動を開始できていない。アフガニスタンの調査メカニズムも同じ境遇にある。

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一部の権威主義国家はかねて、人権理事会の事実調査メカニズムを国家主権の原則に反するとして反対してきた。そして今、予算不足を口実に調査任務の新設や更新に消極的な姿勢を強めている。その急先鋒は中国、ロシア、キューバ、エジプトで、数百万ドルの費用がかかる同メカニズムを強く批判している。

今会期中、ウクライナ、シリア、南スーダン、ミャンマーに関する調査などいくつかの任務が期限を迎える。ある外交筋は、「予算制約は事実調査メカニズムに反対する国々にとって格好の口実となっているものの、現在の人権理事会の構成は、任務更新に有利だ」との見方を示した。

だが理事会メンバー国は3年の任期で選出されるため、中期的には状況が変わりうる。人権理事会の調査結果は裁判で利用可能な証拠になる。例えばドイツの裁判所がシリア・アサド政権の収容施設での拷問が「人道に対する罪」にあたるとした2022年の判決では、国連の調査委員会の報告書が重要な役割を果たした。ただ一部の国は、調査が政治的に偏向していると批判している。

アメリカの撤退から1年

トランプ氏は米大統領に復帰した2025年1月、アメリカが大きな影響力を持つ人権理事会からの脱退を決めた。

複数の外交筋は、アメリカが理事会の会議場からは姿を消したものの、特定の問題に関しては「舞台裏で動いている」と明かす。

ある観測筋は「アメリカの撤退には、強いイデオロギー的側面がある」と語る。ジェンダーと気候変動問題の議論がさらに難しくなったと嘆くこの人物は、「世界最大の影響力を持つ国がこれらの問題に関して反動的な姿勢を取っているという事実は、同じ見解を共有する他の国々を調子づかせる」と指摘する。

特別報告者を解任

フランスのジャン・ノエル・バロ外相は23日、人権理事会での演説で、パレスチナ占領地域に関する国連特別報告者、フランチェスカ・アルバネーゼ氏の解任を求めた。

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バロ氏は、イタリア出身でイスラエル政府に対する強硬な姿勢で知られるアルパネーゼ氏が「言語道断な発言」を繰り返し、「政治活動家」とみなされるに至ったと批判した。ドイツなど他の国々もこれに賛同した。

人権理事会議長は、あるジュネーブの代表部からアルパネーゼ氏に対する苦情書を受け取ったことを明らかにしたが、どの国の代表部かは明らかにしなかった。またこの書簡は独立専門家6人から成る特別手続き調整委員会に送付されており、同委員会は行動規範が遵守されたかどうかを検証すると説明した。

昨年も同様の苦情が出されたが、却下されている。調整委員会のメンバーは「偽情報に基づく悪質な攻撃」と非難した。

この問題は人権理事会で激しい議論を巻き起こす可能性が高い。グローバルサウスの多くの国々は、ガザにおける民間人への爆撃に対する西側諸国の非難が、ロシアのウクライナ侵攻に対してほど強くなく「ダブルスタンダード」だと批判している。

編集:Virginie Mangin/sj、独語からの翻訳:ムートゥ朋子、校正:宇田薫

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