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春を知るお菓子〜復活祭のコロンバ

薄白かった日差しが明るさを増して、街行く人のコートも軽く薄くなってきました。まだ風は冷たいですが、季節は春へと変わったようです。今回は春の重要な祭日、復活祭のお菓子のご紹介です。

このコンテンツは 2016/03/17 09:00
寒い冬を越えていち早く咲き始める黄色いプリムラの花。土手や牧草地などいたるところに咲いています swissinfo.ch

 

近所の散歩道に水仙やプリムラの花が咲き始めました。つい先月、謝肉祭が終わったと思ったら、来週にはもう復活祭のお休みです。春があっという間にやってきました。日本では英語読みの「イースター」で知られる春の重要な祭日、復活祭は、キリストが死の3日後に復活したことを祝う日です。謝肉祭にたくさんごちそうを食べて騒ぎ、その後復活祭までの40日間は肉や酒などを断って節制の生活を過ごす—–謝肉祭と復活祭にはこんな関係があります(日曜日は断食をしないため、実際は46日間です)。現在は断食の習慣を守る人は少ないですが、大好きなチョコレートを控えるとか、禁酒をするとか、ちょっとした節制をする人たちは今もいます。

派手に飾られた大量の卵やうさぎのチョコレート。圧巻の眺めです swissinfo.ch

復活祭にちなんでこの時期のヨーロッパには、卵、そしてうさぎのチョコレートや人形があふれることをご存知の方も多いのではないでしょうか。卵は復活・新生のシンボル、そしてうさぎは生命・繁殖の象徴です。ピンクや黄色など華やかに彩られた卵やうさぎの商品が店頭に飾られると、春が来るのだなと感じます。そしてティチーノでは、ここに「コロンバ」というお菓子が加わります。

山積みのコロンバ。定番の砂糖漬けのオレンジの皮を練り込んだもののほか、チョコレートやマロングラッセ、レモンクリーム入りなどもあります swissinfo.ch

コロンバは正式にはコロンバ・パスクアーレ、「復活祭の鳩」という名前の鳩をかたどったパン菓子です。以前ご紹介したクリスマスのパン菓子パネットーネによく似ていて、やはりお隣の国イタリア、ミラノ発祥の食べ物です。もっとも一般的なのは、砂糖漬けのオレンジの皮を練りこんだバターたっぷりのブリオッシュ生地に、アーモンドと粒状の砂糖を飾ったもの。一番のお楽しみは上にかかったアイシング(砂糖衣)で、これが甘くさくさくとした口あたり。ふわふわ生地にほろ苦いオレンジ、さくさくトッピングのコンビネーションがたまらない美味しさで、毎年店頭に並ぶのを今か今かと待っています。

コロンバを上から見たところ。言われないと鳩には見えませんが・・・ swissinfo.ch

コロンバが鳩の形をしている理由には、さまざまな説があります。6世紀半ばにロンゴバルド(現在の北イタリア、ロンバルディア地方周辺)の王様が都市パヴィアを包囲した際に、平和の象徴として鳩を模したパン菓子を贈られたからだとか、肉料理を白い鳩に変えた聖人コロンバーノの奇跡にちなんでいるとか。これらの話を読んでとても起源の古い食べ物だと思っていたのですが、実は1930年代にすでにパネットーネで有名だったミラノの菓子メーカーモッタ社がクリスマスにしか使えなかったパネットーネ用の機械を有効利用するために考案したものなのだそうです。瞬く間にイタリア中を席巻したコロンバの有名な宣伝文句は、「il dolce che sa primavera」—–春を知るお菓子。私はまんまとお菓子業界の戦略にはまっているわけですが、こんな春の楽しみを考案してくれたモッタ社に感謝したいくらいです。

コロンバの切り口。パン屋や菓子店のものは各店独自の配合で作られていて、どのお店が美味しいという話も定番の話題です swissinfo.ch

復活祭は「春分の日のあとの最初の満月の次の日曜日」となんともややこしい決め方をされています。そしてその直前の金曜日、つまりキリストが息をひきとった日は、聖金曜日と言って肉は食べず魚を食べる習わしで、これを守る家庭はとても多いです。先日コロンバを持って遊びに来てくれた友人は、聖金曜日だというのに毎年子どもたちがこっそりハムを食べてしまうことを嘆いていました。だから金曜日は朝起きるなり「今日ハムを食べたらパソコンをとりあげるからね!」と言い渡すのだとか。日本とスイス、文化背景は違ってもお母さんが子どもを脅して言うことは同じなのねと思わず吹き出してしまいました。ティチーノの今年の復活祭の休暇は、学校の都合もあって12日間の大型連休です。みんなが穏やかで楽しい休暇を過ごせるといいなと思います。

奥山久美子

 プロフィール:奥山久美子

神奈川県生まれ、福岡県育ち。都内の大学を卒業後、料理や栄養学を扱う出版社に就職。雑誌、書籍の編集業務に携わる。夫の転職に伴い、2012年からイタリア語圏ティチーノ州に住む。日本人の夫、思春期の息子2人の4人家族(+日本から連れてきた猫1匹)。趣味は旅行、読書、美味しいものを見つけること。

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