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国境警察 危険に身をさらしながらの職務

フランスとの国境、アニエール(ジュネーブ近郊) swissinfo.ch

スイス国境の警備にあたる仕事がますます危険にさらされるようになっている。武器を使ったり暴力を振るったりする人が多くなった。

このコンテンツは 2003/10/06 16:20

延長1万9千Km線上に、105カ所の国境警備署があり、24時間の警備体制を敷いている。廻りをEU諸国で囲まれ、西ヨーロッパで国境があるのはスイスくらいなもの。難民を偽って入国しようとする外国人や密輸を組織的に行う犯罪グループの取締りなど、国境警察の仕事は多様化し、危険度も増している。

国境警察の人数が絶対的に不足している。初任給の手取りが3千フランから4千(およそ25万5千円から34万円)フランと安いため、新たな希望者が少ない。2000年の平均の月給は5220フラン(およそ44万4千円)。管理職の平均は7174フラン(およそ61万円)。国境警察の給料は平均4167フラン(およそ35万5千円)のブルーカラーを下回り、州警察より1千500フラン(およそ12万6千円)は安いという。しかも、ヘロインやコカインなどの麻薬の密輸や人身売買など組織犯罪の増加により国境警察の負担は重くなる一方で、国境警察の家族も巻き添えになるような危険にもさらされている。

以下、国境警察の職務をレポートした。

危険にさらされる職務

3年前には、ジュネーブの国境警察が、越境しようとした車をとめようとして、車に惹かれて死亡するという事故があった。昨年はティチーノの国境で、ルーマニアとスイスの二重国籍の男と国境警察がつかみ合いの格闘となり、鼻の骨を折ったことを恨みに思い、国境警察の家に乗り込んだ。あいにく当人は留守で、妊娠中の夫人が殺されたという事件も起こった。昨年だけで見ても国境警察が関連した事件が46件起きているため、今年に入って国境の監視役の増強が図られた。

フランスと国境を接するジュネーブ郊外のアニエールは、ハーヴェイ・フィンドアイゼン警官は毎日越境する5千台から1万台の車を検査している。スイスの国境の中でも、人の行き来がもっとも多く、任務中にはあらゆる事態に備えなければならない。

ハイテクを使った検査

昨今の国境監視は、ハイテクの力を借り、より効果的でより迅速に事務処理を進めることができるようになっている。越境者のパスポート番号やその他の特徴などのデータはコンピュータで処理される。国境では指名手配の有無や車の登録番号もチェックする。

「たとえば、ビンラディンが通ったとすると、インターポールからの詳しい情報が手に入るようになっている」
とフィンドアイゼン警官は説明する。

偽造パスポートで通ろうとした2人を先日、逮捕したばかりだ。犯人は、国境警察にある小さな監獄で身柄を拘束された後、警察に引き渡された。難民の検査も国境警察の仕事のひとつ。必要書類を持たず、身分を証明できない難民には指紋を登録してもらう。電子データーとして処理されベルンの連邦警察へ送られる。ベルンでは、難民の申請をすでにしたことがある人なのかが調べられる。初めての場合は入国を許され、審査の手続きとなる。国境の向こうのフランスで難民の申請をした人であれば、基本的にはフランス国境まで送り返すのが国境警察の役割である。

密輸は雰囲気で分かる

フィンドアイゼン警官は持ち入れが禁止されている武器にも目を光らせている。刃渡り5cm以上のナイフ、スタンガン、足かせを持ち込むことはできない。もし発見されれば、没収された上、所持者には罰金が科せられる。その他、高速道路使用料金を支払ったという証明のラベルを売ったり、物価の安いフランスで買い物する人たちの個人輸の検査もある。特に食料品はフランスが安い。精肉は5kg以上、アルコールは3リットル以上になると課税される。輸入関税の徴収も仕事のひとつだ。

密輸などを発見するのは難しいかという質問に対してフィンドアイゼン警官は、
「経験を積んでゆくと、密輸しようとする人の顔を見ただけで分かるようになる。警官の目を見ないで話をする人が多い」
とベテランの誇りを語った。
「越境する車を止めるまで、車に乗っている人のことは分からない。家族だと見えても、運転手が犯罪者で、同乗者とは何の関係もない人だということもある。常に真剣勝負だ」
と、国境警察の仕事はいろいろなことが起こり、好きだという。

検査は慎重に

インタビューを中断しフィンドアイゼン警官は、フランス国籍の車を調べ始めた。麻薬がないか、武器は所持していないか、その他密輸していないだろうか。車のシートが取り除かれ、トランクもきめ細かく検査する。バックからすべての物が取り出され、携帯はコンピュータで盗品ではないことをチェックする。

丹念に取調べを受けたにもかかわらず、フランスからの入国者は笑顔で車でこの場を去っていった。フィンドアイゼン警官は、越境者をあまり怒らせることなく、暴力を振るわれることなく検査し終えたと、ほっと一息。しかし、いつまでこの平和が続くのだろうか。

スイス国際放送 エティエン・シュトレーベル (佐藤夕美 (さとうゆうみ)意訳)

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本年上半期までの統計

7人の国境警察に暴力が振るわれる。
1万7千人が通関関連で逮捕。
4千人の偽造難民の入国を拒否。拒否件数は昨年同期より25%増加。
密輸件数は6720件で、前年同期より5.5%増加した。

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