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国連加盟支持率増加 3月3日国民投票直前調査

左の数字:月/年、グラフ下の数字:回答率、JA賛成/NEIN反対 swissinfo.ch

国連加盟の可否を問う3月3日の国民投票まで2週間を切った。直前調査の結果では、支持率が過半数まで増えて来た。

GFS研究所が先週、全国1271人の投票権を持つ国民を対象に実施した世論調査の結果、国連加盟支持54%、反対37%、まだ決めていないが9%で、スイス公共放送独語TV、SF DRSの依頼で同研究所が先月実施した調査時より支持が4%増えた。仏語州では加盟支持が明らかに多数派だが、独語州では僅差で過半数を上回った程度、またイタリア語州ティチーノでは反対が多かった。

調査結果から見てGFSは、3月3日の国民投票では国連加盟が承認されるだろうと予測する。が、賛成・反対両派とも、投票直前まで最後の得票動員に全力を尽すのは必至だ。86年に行われた前回の国連加盟をかけた国民投票では、国民・州別とも過半数が否決した。国連加盟反対勢力の中心スイス人民党のウルリッヒ・シュラー連邦議会議員は、世論調査の結果には信頼を置いていないという。シュラー議員は「世論調査は国民投票の行方を左右するような重要なものではないと思う。私の情報によると、世論調査が実施されたのは支持者・反対者が出席した国連加盟問題テレビ討論会の前だった。テレビ討論会の結果、我々反対派に同意する国民が増えたと私は確信している。」と述べ、最後まで反対キャンペーンを続け特に反対派が多い地域に力を入れると語った。

国連加盟反対派が論拠としてきたのは、国連に加盟するとスイスの永世中立政策が侵害され、外交政策の独立性が損なわれるという点だ。連邦政府、政党多数派の加盟支持勢力は、国連加盟は国際社会でのスイスの信頼性を高めることになるが、中立政策を侵害するものではないと主張する。これに対し、右派スイス人民党と孤立主義グループ「独立・中立スイスのためのキャンペーン」率いる反対勢力は、国連加盟は中立政策を侵害するという主張を貫き、また、正式に国連加盟国となったら年間拠出金を7500万スイスフラン増額しなければならないと、国民に財政的負担を訴える。

現在、世界で国連に加盟していないのはスイスとバチカンだけだ。国連諸機関にはほとんど加盟しており、年間5億スイスフランを国連に拠出しているが、正式加盟国ではないので国連総会ではオブザーバーにすぎず発言権がない。ジュネーブには国連欧州本部がある。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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