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国連調査委、イスラエルによるガザでのジェノサイドを認定

報告書について会見する国連調査委員会のナビ・ピレイ氏(右)とクリス・シドティ氏
報告書について会見する国連調査委員会のナビ・ピレイ氏(右)とクリス・シドティ氏 Keystone / Martial Trezzini

国連人権理事会の独立調査委員会は、パレスチナ自治区ガザ地区でイスラエルがジェノサイド(集団殺害)を行ったと結論づけた。

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調査委員会は16日、ジュネーブで会見し、2年間にわたる調査をまとめた報告書を発表した。元国連人権高等弁務官で委員長のナヴィ・ピレイ氏は「委員会は、イスラエルがガザ地区のパレスチナ人に対してジェノサイド(集団殺害)を行い、そのジェノサイドを継続していると結論づけた」と語った。

専門家3人からなる調査委員会は「イスラエル当局および同国の治安部隊」が、ガザ地区に住むパレスチナ人に対し、1948年のジェノサイド条約で定義されている5つの種類のジェノサイド行為のうち4つを行い、現在もそれを継続していると指摘した。これは①集団の構成員を殺害すること②深刻な身体的・精神的損害を与えること③意図的に(完全または部分的な)破壊につながる生活条件に置くこと④集団内での出生を妨げる措置を課すこと——を指す。

「重要な報告書」

「これは重要な報告書だ」と、ジュネーブ国際・開発研究大学院のヴァンサン・シェテール教授(国際法)は強調する。「アムネスティ・インターナショナルやヒューマン・ライツ・ウォッチなどのNGOによるこれまでの報告書とは異なり、国連人権理事会から委任を受けた公式委員会による、徹底的かつ事実に基づく調査だ」

調査委のメンバーであるナビ・ピレイ氏、法律家のミルーン・コタリ氏、クリス・シドティ氏は、パレスチナ自治区における人道に対する罪や戦争犯罪については過去に報告していた。しかし、ジェノサイドの犯罪についてはこれまで調査したことはなかった。

ここ数カ月、国連独立専門家、特に占領下パレスチナ地域担当特別報告者のフランチェスカ・アルバネーゼ氏も、ガザでジェノサイドが進行中だと結論づけた。カタール、ブラジル、ナミビアなど、いくつかの国もこれについて言及している。

ジェノサイド犯罪の重要な要素であり、立証が最も難しい「意図」について、ピレイ氏は、委員会はイスラエル当局による「声明」や同国軍による「繰り返される行動」から結論を導いたと説明した。

イスラエルは、ジェノサイドの糾弾をすべて否定。2023年10月7日のハマスによる攻撃への正当防衛だと主張している。

国連が伝えた数字によると、戦争開始以来、6万2000人以上のパレスチナ人(うち1万8000人は子ども)が死亡し、200万人近くが避難民となっている。飢饉宣言が出されたガザ地区北部では依然として人道物資支援が不足している。

イスラエルの最高指導者が標的に

調査官たちは報告書の中で、イスラエルのイツハク・ヘルツォグ大統領、ベンヤミン・ネタニヤフ首相、ヨアヴ・ガラント前国防相が「ジェノサイドを扇動した」と非難した。ガラント氏はパレスチナ人を「人間の動物」と発言している。

また、国際刑事裁判所(ICC)は、戦争犯罪および人道に対する罪でネタニヤフ氏とガラント氏に逮捕状を出した。国連の調査委は、ICCが報告書に記載されたジェノサイド行為についても調査を行うよう求めた。

国家の責任

「法律が適用され、各国がこの報告書に基づいて行動するならば、さまざまな措置が取られるべきだ。そこには武器供給の禁輸措置や虐殺を阻止するための外交的行動などが含まれる」とシェテール氏は話す。しかし、法の遵守と政治的利益との間には隔たりもあると指摘する。

報告書発表の翌日、欧州各国政府から目立った反応はなかった。しかし、スイス、ベルギー、フランスなど一部政府は、ガザにおけるイスラエル軍の攻撃激化を非難した。

イスラエルによるガザ地区への攻撃が激しさを増し、パレスチナ自治区の北部から南部への大規模な避難が発生している
イスラエルによるガザ地区への攻撃が激しさを増し、パレスチナ自治区の北部から南部への大規模な避難が発生している Copyright 2025 The Associated Press. All Rights Reserved.

南アフリカが国際司法裁判所(ICJ、国連の主要司法機関)に提起したイスラエルによるジェノサイド訴訟について、ICJはまだ判断を下していない。しかし、欧州諸国は国際司法が結論を出すまで、ガザでの行為を「ジェノサイド」だと非難することには特に消極的だ。ICJが判断を出すのは何年も先になるとみられる。

国際刑事裁判書判事、ルワンダ国際刑事裁判所長も歴任したピレイ氏は「各国は、ICJがジェノサイド認定するまで待つべきではない」と強調。各国に対し、イスラエルへの武器供給を停止するよう強く訴えている。

「ジェノサイド条約の締約国、例えばグローバル・サウスの国々が、西側諸国の共犯関係を問うために国際司法裁判所に提訴し、結果として西側諸国が賠償金を支払うことになる可能性も十分考えられる」とシェテール氏は話す。

調査委は、この報告書をきっかけに、アントニオ・グテーレス事務総長やフォルカー・トゥルク人権高等弁務官をはじめとする国連高官たちがガザでの行為に対して「ジェノサイド」という言葉を使うようになればと期待する。まだそれは現実のものにはなっていない。

イスラエルの反応

ジュネーブの国連イスラエル大使ダニエル・メロン氏は16日会見し、この報告書を「スキャンダラス」で「欺瞞的」だと非難。「反ユダヤ主義」で知られる調査官たちが作成したものだと語った。

調査委側は事実に当たらないと反論。イスラエル当局が「報告書の内容について回答することを望むが、彼らがそうすることは決してない」と付け加えた。

調査委のメンバー3人は最近、辞任の意思を発表した。しかし、占領下パレスチナ地域に関する特別報告者を制裁したイスラエルと米国の圧力とは無関係であると強調した。

編集:Virginie Mangin/livm、仏語からの翻訳:宇田薫、校正:上原亜紀子

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