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外人人口規制法案、否決

居留外国人を全人口の18%に規制するという法改正案は、24日行われた国民投票で、63%の反対票で否決された。連邦政府および多国籍企業等は、歓迎の意を表明している。

居留外国人を全人口の18%に規制するという法改正案は、24日行われた国民投票で、63%の反対票で否決された。連邦政府および多国籍企業等は、歓迎の意を表明している。

国民投票の結果、反対63%、賛成36%で外国人人口18%規制法案は、却下された。ベルンで開かれた記者会見で、内閣を代表してルス・メツラー司法・警察相は、結果に満足していると表明した。と、同時に、この投票結果は、国際社会に対してスイスが公約を果たしているというメッセージだと語った。また、メツラー司法・警察相は、36%の賛成票について政府は深刻に受けとめていると語った。

今回の国民投票でも、また独語圏と仏語圏の差違が、浮き彫りになった。独語圏のいくつかの州では賛成が40%以上を占め、例えば中部のシュヴィーツ州では48%が賛成だった。それに対し、仏語州では反対が圧倒的多数で、ヌーシャテル州では75%、ジュネーブ州では76%が反対だった。

政財界では、投票結果に対し大歓迎を表明している。急進民主党のフランツ・シュタイネガー党首と、キリスト教民主人民党のアダルベルト.デュラー党首は、理性が感情に打ち勝ったと述べた。また、雇用者連合のペーター・ハスラー会長は、スイス国民は海外におけるスイスのイメージおよび国の人権問題を脅かさない道を選んだと発言した。右派人民党のウエリ・マウラー党首は、投票結果には歓迎を表明したが、人民党は移民禍に対しては闘い続けると言明した。

18%規制案を提出したアールガウ州のフィリップ・ミュラー州議(急進民主党)は、賛成票の数は政府に外国人政策の再考を余儀無くさせるだろうと、独語ラジオで語った。

事前調査では、大多数は反対を唱えていた。連邦政府、大企業、主要政党は軒並み反対だったが、人民党だけは、意見が分かれていた。

現在スイスには130万人の居留外国人がおり、国民総人口の約20%にあたる。これを18%に減らそうというのが、改正案だった。反対派は、規制案はスイス経済、スイスの対外イメージを損ない、スイス・EU相互通商協定に反する事になると訴えていた。支持派は、外国人の流入(特にある特定の地域からの外人)を抑制し、人口過多になるのを予防し、技術・資格の無い労働人口を減らす事を目的とする議案だと主張した。

スイスは欧州1の外国人人口を抱えている。が、国籍取得は、欧州で最も難しい国の1つだ。1970年以来、同様の外国人規制法案は6回国民投票にかけられ、全部否決されている。


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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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