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山への畏敬の念忘れず 「幻のアルプス」絵画展、開催中

イギリスの詩人バイロン卿(1788-1824)が描いたアルプス。「自然の宮殿」という題が付く。 Chablais Museum

スイス南西部ベー市で生まれ育ったルシエンヌ・フォンタナーズさんにとって、アルプスの山はいつも身近な存在だった。少女時代の記憶を辿っていくと、山のイメージは「怖い」。

このコンテンツは 2004/06/15 15:32

「作家ヴィクトル・ユーゴーもこう言っていたわ。山を描くことなんてできないって。美しすぎて、惨すぎるからって」とフォンターズさんは微笑む。山への畏敬の念を忘れず、フォンタナーズさんが描いた山の絵は100点以上に上る。

ベー市シャブレ美術館で「幻のアルプス」絵画展が9月26日まで開かれている。作品のほとんどは山岳画家フォンタナーズさんが描いたものだ。

山に魅せられて

フォンタナーズさんが描く山に近代的な写生の手法は見当たらない。

キャンバスに描かれている山々はおぼろげに重なり合い、大きな生き物に見える。近寄りがたく、神々しい感じさえする。そこを縦横に走る白くて薄い筋の空気が、登頂に挑む人間たちを吹き飛ばす強風に見える。吹き付ける風音は今にも聞こえてきそうだ。

「幼少の頃の記憶をたぐり寄せるのよ」とフォンタナーズさんは笑う。「山を真近に見て育ってきたでしょ。山が人間のように感じられたの。いつも自分のそばにいるという感覚を表現したくて山を描き始めたのよ」。

現在住んでいるオーストラリアのアトリエで、山を描くのに参考にした文学があった、とフォンタナーズさんは明かす。イギリスの詩人バイロン卿(1788-1824)の『チャイルド・ハロルドの巡礼』や、美術評論家ジョン・ラスキン(1819-1900)の『近代画家論』、ジュネーブ大学の科学者・登山家オラス・ソシュール(1740-1799)の『アルプスの旅』だ。

「こうした本との出会いが、表現の幅をひろげてくれたの」と話す。「自分の記憶と交錯し合って、最初に山を見たときの感じとか、山に抱く感嘆や畏れの念が蘇ってくるのよ」。

展示されている作品にはそれぞれ、18、19世紀の詩人や作家ら先人が残したアルプスへの驚嘆を表す一文が添えられている。


スイス国際放送 デイル・ベヒテル 安達聡子(あだちさとこ)意訳

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「幻のアルプス」絵画展

スイス南西部ベー市シャブレ美術館で9月26日まで開催中

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