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年間74万人が武器で死亡

「武装暴力問題をもっと一般市民に広く認識してもらう方向で運動を展開したい」と、閣僚会議を前にトマス・グルミンガー氏は語った Keystone

武器による犠牲者削減を目指し作成された「武装による暴力と開発に関するジュネーブ宣言 」を見直し、今後の方針を立てる閣僚会議が9月12日ジュネーブで開かれる。

会議にはおよそ60カ国から、閣僚または閣僚レベルの代表が集まる。世界の年間犠牲者約74万人のうちおよそ7割は、戦争以外の暴力が原因だという。

グアテマラなど6カ国が具体的取り組み

 スイスと国連開発計画 ( UNDP ) は共同で、2006年に武装による暴力を削減する宣言「武装による暴力と開発に関するジュネーブ宣言 ( The Geneva Declaration on Armed violence and Dvelopment ) 」を立ち上げた。目的は、2015 年までに武装による暴力を削減することにある。

 そのため、小型兵器の流通機構を明らかにすること、武装による暴力の原因や背景などの分析、ジュネーブでの宣言の応用という、3つの柱で過去2年間の暴力削減のプロセスを進めてきた。

 第3の柱となる宣言の実践として、ケニア、ブルンジ、グアテマラなど6カ国が集中的に武装暴力の削減を目指す。具体的には、スイス、ノルウェー、フィンランドなど、ジュネーブ宣言のコアとなる計画委員会の構成メンバー国と、これら6カ国の政府がお互いに協力しながら計画を進めていく。

 ジュネーブ宣言には、過去2年間で初めの46カ国から94カ国が調印するまでになり、武装による暴力削減を目指す国は増加している。しかし世界の年間74万人の犠牲者のうち、約7割は内紛などによる戦争以外の暴力 ( ギャング団などによる殺害 ) で死亡しており、特に中南米、西アフリカ地域でのこうした原因での死者の数はおびただしいという。

 以上のような背景の中で開かれる9月12日の閣僚サミットは、過去2年間の見直しと、秋の国連総会へこの問題を持ち込むことを第1の課題にしている。
「2006年のスタート当時は国連を巻き込まなかったが、今その必要性を感じている。長期的には、国連のミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: MDGs )に組み込まれように考えている」
 と連邦外務省( EDA/DFAE )第4課局長、トマス・グルミンガー氏は語った。

 また、現在までは各国の政府レベルでの取り組みが中心だったが、今回の閣僚会議では問題をもっと一般市民に広く認識してもらう方向で運動を展開したいという。

swissinfo、里信邦子 ( さとのぶ くにこ ) 

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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