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教材としてのボーデン湖

ボーデン湖畔、ドイツのリンダウ ( Lindau ) から眺めるスイスアルプス

ボーデン湖の再生事業は40年間続き、60億フランを超える費用が投入された。ボーデン湖は今日、高品質の飲料水を3カ国500万人に提供している。

このコンテンツは 2008/07/30 15:26

「ボーデン湖モデル」を学びたいという人は後を絶たない。中央ヨーロッパで3番目に広い、そして2番目に水量の多いこの湖に、今では世界各地から専門視察団が訪れるようになった。

現地調査

ドイツのラドルフツェル ( Radolfzell ) を拠点に活動している国際環境基金「世界自然基金 ( Global Nature Fund / GNF ) 」は、ボーデン湖を広大な水域の再生に成功した代表的な例だと考えている。この「ボーデン湖モデル」を基に、これからエストニアとロシアの間に広がるペイプシ湖の救済活動が始まる。この湖の生態系は富栄養化のために破壊寸前の状態なのだ。

「栄養素の流入を減らし、湖周辺に自生しているヨシをバイオガスの生産に利用することで、高品質の飲料水を調達する。そういう点で、ボーデン湖はペイプシ湖のすばらしい見本となるはず」
と、世界自然基金の経営者ウド・ガッテンレーナー氏は確信している。ペイプシ湖の面積は3555平方キロメートルでボーデン湖のおよそ7倍、ヨーロッパで5番目に大きい湖だ。

同基金は湖のネットワークの中で、ヨーロッパ、アフリカ、アジアの50以上に及ぶ湖の再生プロジェクト「リビング・レイクス ( Living Lakes ) 」を進めている。ラドルフツェルに招く専門視察団の数は増えるばかりだ。専門会議を開催し、「ボーデン湖モデル」を現地で研究できるようにしている。

日本からは早くも20年前に陸水学者や水文学者が訪問した。崩壊に直面していた日本最大の湖、琵琶湖を再生させるため、その解決策を探しにきたのだ。今日、エコマネジメントを学びにきているのは中国人。しかし、南ヨーロッパや東ヨーロッパからの関心も依然として高い。ボーデン湖の「エコ奇跡」は、現在スペインのサラゴサ万博でも紹介されている。

模範的な協力

トゥールガウ州建築環境局のマルコ・サケッティ事務総長は、長年「ボーデン湖国際水域保護委員会 ( IGKB ) 」の代表も務めている。そのサケッティ氏は、スイス、ドイツ、オーストリアの隣接3国の円滑な協力体制の重要性を強調する。ボーデン湖は、高度な技術を持ち集中的に利用されているヨーロッパの人口密集地域に500万人分の飲料水を供給している。ボーデン湖の今日の姿は、何よりもこの協力体制のたまものなのだ。

スイス、ドイツ、オーストリアは、研究や対策の実施に同等に関わっている。ボーデン湖には歴史的に国境が定められておらず、これによってより協力しやすい環境が生まれることになった。

ドイツのランゲンアルゲン ( Langenargen ) にある湖研究所 ( ISF ) の生物学者ヘルベルエト・レフラー氏によると、1960年代から1970年代にかけてボーデン湖は富栄養化が進み、破壊的な状態に陥った。戦争が終わり、ドイツが奇跡的な経済復興を果たすと、湖の燐分が急激に増加したのだ。

同研究所の創立は1920年にさかのぼる。運営はバーデン・ヴュルテンベルク ( Baden-Württemberg ) 州立環境・計測・自然保護研究所が行っている。
「約40年の間、栄養素の状況がずっと問題になっていました。この問題が認識されてから状況が好転するまでにおよそ20年かかりました。そしてその後、栄養素の含有率が1950年代の水準に戻るまでさらに20年が過ぎました」

新たな危険

ボーデン湖国際水域保護委員会によると、ボーデン湖周辺と河口域には220以上の汚水処理場がある。この浄化設備のネットワークにこれまで60億フラン ( 約6255億円 ) が投入されてきた。

しかし、ボーデン湖には現在進行中の気候の変動や湖岸の多様な利用によって、新たな危険が生まれつつあるとレフラー氏は警告する。湖岸や浅瀬水域の約半分はもはや自然に近い状態ではなくなっている。そして、再自然化には数十年を要する。

さらに、排水に残留する医薬品など、危険要素として軽視できない新しい物質もいくつか発見されている。だが、総合的に見た現在のボーデン湖の健康状態は申し分ないということだ。

swissinfo、ハリー・ローゼンバウム、AP 小山千早 ( こやま ちはや ) 訳

ボーデン湖

ボーデン湖はスイスの北東、ドイツとオーストリアの国境地域に位置する。

ドイツでは「シュヴァーベンの海」とも称されている。

大きな上湖 ( Obersee ) と小さな下湖 ( Untersee ) から成り、両方を合わせると536平方キロメートルの広さになる。

面積では中央ヨーロッパで3番目に大きく、ハンガリーのプラッテン湖 ( 592平方キロメートル ) 、スイスとフランスにまたがるレマン湖 ( 582平方キロメートル ) よりわずかに小さい。

エストニアとロシアの間に横たわるペイプシ湖の面積はボーデン湖のおよそ6.6倍。

貯水量では、ボーデン湖 ( 48立方キロメートル ) はレマン湖 ( 88.9立方キロメートル ) に次いで中央ヨーロッパで2番目に多い。

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