アルプスの豊かな自然が広がるブレガリア谷を生涯見つめ続けてきた写真家アンドレア・ガルバルド(1877~1958)。建築、風景、ポートレート写真の先駆者とされる彼の作品を集めた特別展示が、スイス東部クールのグラウビュンデン州立美術館で開催されている(5月11日まで)。
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ガルバルドが撮影した1枚の写真が世界の注目を浴びた。それは、同じくブレガリアに暮らしていた芸術一家ジャコメッティ家の家族全員を写した集合写真だ。画家ジョヴァンニ・ジャコメッティやその息子で彫刻家のアルベルトが本や記事で取り上げられる際、この写真を見かけないことはほとんどない。
チューリヒで写真家の見習いをした後、ドイツの著名建築家ゴットフリート・ゼンパーがブレガリアのカスタゼニャに設計した両親の家で暮らした。写真はすべて自分の生活範囲で撮影。ポートレートや風景写真を中心に撮影する中で、独自の美学を構築していった。しかし、周囲からは理解されず、晩年は孤独だった。死後、彼の写真は人々の記憶から消えていった。
写真は現在、グラウビュンデン州立美術館で保管されている。ガルバルド家が暮らした家が今年建設150周年を迎えたことを記念し、同館ではガルバルドの写真の特別展示を開催。同時に彼についての本がスイスのシャイデッガー&シュピース出版から刊行された。
(写真:© 2014 Fondazione Garbald, Castasegna、文:アンドレアス・カイザー)
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