スイスの視点を10言語で

温暖化の影響が最も深刻なのはスイス

スイスの雪は地球温暖化で年々減っている Keystone Archive

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のリポートによると、世界で最も地球温暖化の影響を強く受けているのはスイスだということが判明した。このまま行けば、スイスの観光産業と水力発電には悲惨な末路が待ち受けているかもしれないと、専門家らは警告する。

スイス環境局が19日公開したIPCCのリポートによると、1961年から90年の間のスイスの平均気温は1%上昇したのに対し、20世紀全体でのスイス以外の世界の国々の平均気温は0.6%上昇した。さらに、スイスの降雨量は12%増えたのに対し、世界平均の降雨量は5%から10%の間だった。スイス環境局は、スイスの氷河後退と集中豪雨の傾向は年々ひどくなっているという。

当局によると、すでに冬の観光産業は温暖化の深刻な影響を受けている。雪線(万年雪のある最低境界線)は1200mから1800mまで上がり、スキー・リゾートは雪不足に悩んでいる。一方、降雨量の増加は地下水面(地下の帯水層の表面)に影響を及すことが考えられるため、水力発電所の構造改革や水供給政策の見直しが必要となるだろう。

が、この悲惨な予測にも関わらず、地球温暖化は阻止できるとスイスの環境専門家らは言う。連邦工科大学(ETH)チューリッヒのエネルギー政策センター・ディレクター、エベルハルト・ヨセム教授は、将来環境に配翌オた車や建物など最新技術がエネルギー消費量を減らすのに成功すれば、二酸化炭素排出は減ると言う。また、IPCC作業部会の1つの副議長を務めるフォーチュナート・ヨース・ベルン大学教授は、「10年前から始まった炭酸ガス排出減少のための交渉プロセスは今後も続く。長期的には必ず有効な結果をもたらすと、私は楽観視している。地球温暖化は長期的な問題で、短期間に解決することはできない。」と語った。

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部