連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)は16日、センサーで生き埋めになった人を見つけ出す電子装置を開発したと発表した。人間のにおいを感知する極小のセンサーで、従来のガスセンサーに比べてコストが安いのが特徴。地震や雪崩が起こった際の捜索・救助活動に役立つという。
このコンテンツが公開されたのは、
同校の発表外部リンクによると、装置はアセトン、アンモニア、イソプレン、二酸化炭素、湿度といった人間の吐く息や肌を介し低濃度で排出される成分を感知する複数のセンサーで構成。「人の存在を知らせるインジケーターとしては信用のおけるもの」という。
実際の現場で検証へ
オーストリア、キプロスの研究者と合同で研究室環境での実験を行い、効果は実証済み。今後、実際の捜索・救助活動における適性を確かめるという。
研究を率いる連邦工科大学チューリヒ校のソティリス・プラツィニス教授(プロセス工学)は「訓練を積んだ救助犬が最も優秀なことに変わりはないが、すぐに出動できない、あるいは救助チームの拠点が非常に遠いなどということは珍しくない」とし、装置の実用性に自信を込める。
>>土石流を早期に感知?新時代の警報システムとは
地震災害の捜索活動ではすでに電子機器が使われているが、がれきの下に埋まっている人の声が聞こえるなどの状態で、カメラやマイクで居場所を特定するのが限界だった。
ドローンやロボットにも装着可能
連邦工科大チューリヒ校の研究者たちは、新たに開発したセンサーで、捜索活動の成果を向上させたいとしている。ドローンやロボットに取り付ければ、人が入れない場所や遠く離れた地点の捜索も可能になるほか、密航者の摘発や人身売買、密売の防止にも活用できるという。
続きを読む
おすすめの記事
ゲレンデで雪崩 スイス南西部クラン・モンタナでスキー客直撃 死者も
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの山岳リゾート地クラン・モンタナのスキー場で19日、スキー客数人が雪崩に巻き込まれた。救出された負傷者4人の他にも生き埋めになっている人がいる可能性が懸念され、捜索活動が行われていた。地元警察は20日、捜索活動の中断を発表した。
もっと読む ゲレンデで雪崩 スイス南西部クラン・モンタナでスキー客直撃 死者も
おすすめの記事
スイスの人工知能ロボット、災害救助活動に向け進化
このコンテンツが公開されたのは、
人工知能(AI)は、人間や動物の手の届かない危険な場所を探索できるように、自律的に動くロボットや無人機の開発に応用されている。(SRF/swissinfo.ch)
もっと読む スイスの人工知能ロボット、災害救助活動に向け進化
おすすめの記事
創立60周年を迎えたレガ航空救助隊に新たな挑戦
このコンテンツが公開されたのは、
レガ航空救助隊は、負傷した大人と子どもを事故現場から病院までヘリコプターで搬送し、後日、全3機のジェット機でそのほかの子どもたちを帰国させた。今回の救助は、レガの創設以来60年間の歴史の中で最大級のものとなった。 人道…
もっと読む 創立60周年を迎えたレガ航空救助隊に新たな挑戦
おすすめの記事
スイスで男性8人が鍾乳洞内部に取り残される 洪水で
このコンテンツが公開されたのは、
スイス中部シュヴィーツ州にある欧州最大規模の鍾乳洞へールロッホ(Hülloch)で21日、ガイドを伴って探索中だった男性8人が洪水により経路をふさがれ、外に出られなくなった。8人は24日現在も鍾乳洞内部で身動きが取れない状態になっている。地元警察などによると、大雨の影響で救出作業は早くても今週末になる見通し。けが人はいない。
もっと読む スイスで男性8人が鍾乳洞内部に取り残される 洪水で
おすすめの記事
緊急の負傷者支援や水の供給、さらに長期的な復興支援が必要
このコンテンツが公開されたのは、
ネパールの首都カトマンズで27日、スイスの災害救助隊が活動を開始した。「長期にわたる外国からの復興支援が必要だ」としながら、負傷者であふれかえる病院への支援や水の供給が、健康リスクを減らすための緊急課題だと主張する。
もっと読む 緊急の負傷者支援や水の供給、さらに長期的な復興支援が必要
おすすめの記事
ドクターヘリ「Rega(レガ航空救助隊)」
このコンテンツが公開されたのは、
スイスにはRega(レガ)という航空救助隊があります。彼らは山岳地帯の多いスイスでヘリを使って遭難の救助活動を行うほか、ヘリやジェット機で交通事故にあったけが人や急病人を病院へ搬送します。また必要によってスイス国外でも…
もっと読む ドクターヘリ「Rega(レガ航空救助隊)」
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。