スイス7.3兆円のコロナ対策 財源はどこ?

一にも二にも、まずお金。新型コロナウイルス危機を受けた経済対策に、スイス連邦政府は600億フラン以上を投じている Keystone/Gaetan Bally

失業防止策、資金繰り難に陥った企業へのつなぎ融資、文化・スポーツ業界への助成、医療用マスクの購入――スイス政府が打ち出したコロナ経済対策の財源は、どこから出てくるのだろうか。

swissinfo.ch/urs

コロナ対策としての財政支出が増える一方で、税収は大きく落ち込みそうだ。連邦財務省は今年、特に日本の消費税に当たる付加価値税(VAT)、所得税に当たる源泉徴収税、直接連邦税が減少するとみている。

世界経済の先行きが見えない中、スイスは国内経済への打撃を抑えるのに比較的優位な立場にあると言える。

これまでに打ち出した経済対策は?

スイス財務省のまとめによると、各省が4月29日までに打ち出した新型コロナ関連の施策費用は総額655億フラン(約7兆3千億円)にのぼる。

対策には、銀行のつなぎ融資に対する政府保証も含まれる。

ウエリ・マウラー財務相は先週、連邦政府による財政支援は最終的に700億~800億フランに達するとの見通しを示した。

加えて、26州や基礎自治体も各自の支援策を設けている。 

スイス政府は2008年、世界金融危機を機に経営難に陥っていた銀行大手UBSを、6800億フランを投じて救済した。新型コロナ対策はこれに匹敵する金額だ。

2019年のスイスの国内総生産(GDP)は6986億フランだった。スイス連邦経済省経済管轄庁(SECO)は、2020年のGDPが前年比6.7%落ち込むと予想している。

スイス財政はそんなに余裕があるのか?

スイスには歳出に上限をかける「債務ブレーキ」制度があるが、必要な支援策を講じることは可能だ。

連邦財務省によると、スイスは比較的、公的債務比率が低く歳入も安定しているため、債務を増やす余裕がある。

経済対策の財源はどこから?

現時点で十分な財源があり、少なくとも流動性があると専門家は指摘する。政府は国債を発行して金融市場から調達することもできるが、債務という代償がつく。

正確な支出額は年末にならないと分からない。連邦財務省は、現時点で言えるのは「債務が膨らむ」ということだけだとしている。だが状況は極めて不安定で、詳細な見積もりを示すことはできないという。

マウラー財務相は、今年の連邦財政は300億~400億フランの赤字に転じる可能性があるとの予測を示している。過去数年分の黒字額が吹き飛ぶ額だ。

議会の役割は?スイス有権者にも発言権がある?

国家予算に関しては、連邦議会が最高権力を握る。追加の歳出には議会の承認が必要だ。有権者が最終的な決定権を持つのは、連邦憲法を改正する国民発議(イニシアチブ)や、法律の改正案に異議を唱えるレファレンダムだけだ。

住民、消費者、企業は納税者として、最終的に負担する必要がある?

連邦税務当局によると、現時点では増税の計画はない。

26州はそれぞれ独自の税率を課している。

なぜ政府は中央銀行に多くの紙幣を印刷するよう求めないのか?

スイス国立銀行(中央銀行、SNB)の役割は、政府に代わってお金を印刷することではない。SNBは政府から独立しており、法律で定義されている使命は物価の安定を確保することだ。

財務省との合意に基づき、SNBは剰余金の一部を連邦や州に分配する。




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