覚醒剤タイ・ピルの脅威

「タイ・ピル」と呼ばれる覚醒剤が、スイスの薬物使用者の間で出回っている。タイ・ピルは、エクスタシーと同様な効果をもたらすが、その副作用はずっと恐ろしい。(写真:3月ベルン警察が摘発したタイ・ピル44、000錠)

このコンテンツは 2000/08/28 08:16

「タイ・ピル」と呼ばれる覚醒剤が、スイスの薬物使用者の間で出回っている。タイ・ピルは、エクスタシーと同様な効果をもたらすが、その副作用はずっと恐ろしい。(写真:3月ベルン警察が摘発したタイ・ピル44、000錠)

今年に入ってから、スイスでタイ・ピルと呼ばれるタイ製造の覚醒剤の摘発が続いている。その数は、欧州1多い。3月ベルン州警察は、たった1度の強制捜査で44、000錠のタイ・ピルを摘発した。タイ・ピルは、あらゆる手段でスイスに密輸入されているという。

覚醒剤自体は、新しいものではない。20世紀初めにドイツで開発され、第2次大戦中は独軍戦闘機搭乗員に興奮剤として与えられた。1960年代から70年代には、その食欲減退効果のためダイエット剤として用いられたこともあった。が、現在では、副作用の強さと中毒性の高さから、ほとんどの国では使用を禁止されている。

その覚醒剤のタイ・ピルが、最近スイスの薬物パーティーで売買されるようになった。原産国タイの例を見ても、常習者は暴力的になり他人を襲い、自殺をし、また薬物を手にいれる金を工面するため子供を誘拐したといった犯罪が後を絶たない。

タイ・ピルの最初の効果は、エクスタシーと同様、快感を感じるのだそうだ。が、その後、攻撃的に変貌する。快感を持続させたいため、量をどんどん増やし、すぐ中毒になる。また、タイ・ピルはエクスタシーよりも安いため、持ち金の少ない若者が気軽に手を出してしまう。

スイスとドイツの警察当局は、スイスがタイ・ピルの試験市場になっていると見ている。スイスは豊かな国だと思われており、豊かな国ではドラッグに注ぎ込む金が多いと見られているからだ。

では、スイスで、タイで起こっているようなタイ・ピルによる犯罪を予防するには、どうすればよいか。スイス当局は、自覚が一番大切だと考えている。チューリッヒのストリート・パレードでは、警察の協力を受け、テスト・ピルを配ったという。使用者が覚醒剤の症状を呈した時、「これがタイ・ピルと同じ症状だ。どんなに危険かわかるか?」というと、皆タイ・ピルには絶対手を出さないと決心したと言う。どのような薬物を用いたか、またその副作用は何かという事を自分自身で見極めることが、基本的人権だと思うと、テスト・ピルを配付したテクノ・カルチャー・グループのEve and Raveは語る。

「もちろんドラッグを全く用いないのが、1番良いのは言うまでも無い。が、それは現実的ではない。若者には、禁止をしても意味が無い。が、テスト・ピルを通して彼等と対話をする機会を作る事ができれば、何も服用しなくても一晩中踊ることができるという事を彼等と話し合う事ができるのではないか。」と、薬物常習者のためのカウンセリング・グループContactの主宰者ルス・ガビー・ヴェルモット連邦議会議員は語った。

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