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野放しの銃が自殺者を増やす

スイスには、200万丁の拳銃が出回っている

(Keystone)

スイスでは、毎日誰かが命を断っている。チューリヒ大学の研究者は、政府の銃規制が生ぬるいと批判している。

スイスでは軍の訓練後、軍隊用武器などを置いている家庭も多いが、頻繁に自殺の手段となるのは重装備の武器よりも、手軽な拳銃だ。

 「公共保健アメリカン・ジャーナル ( American Journal of Public Health ) 」による最近の調査によると、世界で最も銃を使った自殺が多かったのは、アメリカとスイスだった。

自動車事故や麻薬よりも

 自動車事故、麻薬、エイズ。これらを合わせた死者の5倍以上の人が、自ら命を絶っている。研究者は、「自殺や殺人は突発的なものであるため、拳銃が手に入りやすいということは、自殺や殺人の危険がそれだけ高くなるということだ」と警告している。

 スイスは伝統的に何百年も前から、武器は一般市民にとって身近なものだった。今でも軍役から帰った後でも、自宅に機関銃などをそのまま保管しておくことができる。また軍とは関係なくても、趣味で楽しむライフル・クラブのメンバーが15万人以上もいる。

 チューリヒ大学心理学クリニックがこのたび、「武器が身近なところにある生活と自殺の関連性」を調査した。この調査に参加したルツェルン州立病院のアンドレアス・フライ氏は語る。

 「スイスの銃の数と自殺や殺人の数に比例関係があることがはっきりしました。これは数々の国際的な調査でも示されている事実です。特にスイスの犯罪学者、マルティン・キリアス氏の調査報告では、明確に自殺と銃の関連性が指摘されています」

効果は明白

 スイスとアメリカの法律は、他の国と比べて銃の保持にかなり寛容だ。この2つの国において銃で自殺する率が最も高いことは、偶然ではないだろう。銃規制が厳しい国では、当然銃を使った自殺率も低くなっている。

 例えば、カナダとオーストラリアの例では、1980年代に一般市民が自宅に銃を持つことに厳しい規制を設けた。この結果、自殺率はかなり下がったのだ。

 カナダでは、規制導入後、銃を保持する率が31%から19%に下がった。これに比例して銃を使った自殺率も32%から19%に低下した。オーストラリアでは家庭にあった銃が20%から半分の10%になるのと同時に、銃を使った自殺率は30%から19%に低下した。

 この同じ時期、スイスでは銃を使った自殺は23%から27%に増えた。研究者が警笛を鳴らすのも当然と言えるだろう。

政府はまだ規制に消極的

 「死に直結する薬品や化学品、機械などと同じように、銃を持つことに対しても規制するべきです」と言うのは調査の責任者、ヴラーデタ・グロス氏だ。規制の仕方は様々だ。武器の登録、特殊な武器の保持の禁止、購入の際の適正テスト、面接の導入や銃を購入するまである程度の日にちを要すること、などが考えられる。

 「また別の方法としては、弾薬を家に置くことを規制するという手もあります」と前出のフライ氏は付け足す。

 一方、政府は5月に緑の党から出された動議に対し、「スイス軍の兵士は、これまでと同じように軍役の間も、その後も武器を自宅に置くことを許可する」と発表した。事件の予防手段としては、「その兵士が自分や他者を傷つける可能性が証明できた場合に限り、武器を取り上げることができる」としている。

swissinfo外電、 遊佐弘美( ゆさ ひろみ )

補足情報

-今年4月にアルペンスキーのチャンピオン、コリーヌ・レイ・べレットさんが夫に銃で殺されてから銃保持者のデータベースを作る法案が討議されたが、24対8で否決された。

-各州から議員を選出する全州議会は、今年6月、銃の購入や保持に対して多少規制を導入するべきだという態度を示したが、現状を大きく変えるほどの規制は、まだ議会では取り上げられていない。

-より厳しい銃規制を要求しているのは、アムネスティ・インターナショナル、スイス平和カウンシル、被害者フォーラム、自殺防止連合、 スイス自殺防止イニシアチブ。

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人口740万人のスイスで、200万丁の拳銃が出回っている。
年間の自殺者は約1500人。

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