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スイスの大手スーパーがクレジット・カードを発行

1枚のカードでポイントもためられるし、クレジットカードとしても使える Keystone

スイスでスーパー・マーケットといえばミグロかコープ。この2社で食品の小売市場の7割を占める。4月末、両社は先を争って、現在のポイント・カードをクレジット・カードとしても使えるようにすると発表した。

しかし、消費者保護団体は、個人情報がどれだけ守れるか疑問だとして、懸念を表明している。

 買い物をするたびにポイントがたまり、カタログを見て好きな商品と取り替えられるポイント・カード。これがクレジット・カードとしても使えるようになる。

個人の情報がどれだけ企業に渡るのか

 スイスの大手銀行でクレジット・カードを作ろうと思えば、年会費100フラン(約9200円)は覚悟しなければならない。これに比べれば、今回導入されるミグロやコープのクレジット・カードの年会費は約10フラン(約920円)で済む。両社は先を争って年会費の安いカードの発行を発表した。

 一方、消費者保護協会(Consumer Protection Association)は、「両社のクレジット・カード発行は、個人情報の保護に問題点がある」としている。同協会のジャクリーン・バッハマン氏がスイスインフォの取材に応えた。「ポイント・カードとクレジット・カードが一緒に使われることで、企業は個人の消費行動が手に取るように分かってしまいます。彼らは非常に多くの、貴重な情報を得ることになるのです。それが消費者自身の知らないところで行われる、ということが問題なのです」

 「今のままでは、例えば、消費者はただクレジット・カードを使って便利に買い物をし、ポイントを集めたら、気に入った商品を手に入れるだけだと思っています。ところが実際はその行動が分析されて、企業に情報として蓄積されていくわけです。消費者の知らないところでこのような事が行われるべきではありません。クレジット・カードの年会費が安いことは良いことですが、同時に消費者は、どのような種類の自分の情報がどれだけ企業に渡るのかということを知らされるべきです」

 「でも、コープの方がミグロよりまだましですね。現在、コープはミグロと違って、個人情報を分析して何かに使用したりしていません」。現在、同協会はこのような状況について、連邦情報保護委員によるデータ処理システムの厳しいチェックを要求している。

連邦政府も動き出す

 連邦情報保護委員のハンスペーター・トゥール氏に話を聞いた。「私たちにとって、ポイント・カードとクレジット・カードの兼用は新しい分野です」

 「それにしても、この大手スーパー・マーケットチェーンは、得た情報をどのように処理するかをしっかり世間に公表しなければいけません。第3者がどれだけこの個人情報を得ることができるのか、情報はどれだけの期間、保存されるのか、不明な点が多くあります。遅かれ早かれ、個人情報保護の問題が出てくるでしょう」

 「私たちは、クレジット・カード関係から得た個人情報を彼らがどのように処理するのか、両社の方針を聴取したいと思っています」

swissinfo、トーマス・シュテファン 遊佐弘美(ゆさひろみ)意訳

‐スイスでは、ビザ、マスターカード、アメリカンエキスプレスなど、推定340万枚のクレジット・カードが使われている。

‐2004年の統計では、クレジット・カードによる取引は8200万回、150億フラン(約1兆3800億円)にのぼった。

ミグロの2005年の純利益:6億9900万フラン(約641億円)。
コープの2005年の純利益:2億7000万フラン(約248億円)。

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