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スイス観光大打撃

9月11日の米同時多発テロ以来、株価暴落、航空機利用者激減など世界経済も大きな打撃を受けている。スイスへの観光客も激減した。

スイス・ホテル協会のハンス=ルエディ・フーバー氏によると、9月のチューリッヒのホテル宿泊客は通常のー20%だった。挽回を図る政府観光局「スイス・ツーリズム」は、欧州近隣諸国からの観光客誘致のためのウィンターキャンペーンに500万スイスフランを投入する計画だ。

実は今年のスイスの観光業は、同時多発テロ以前から冷え込んでいた。連邦統計局が先週発表した数字によると、今年6月から8月までのスイスのホテル宿泊者数は180万人で昨年同時期比2.1%減、1996年以来最低だった。連邦統計局では減少の原因を世界経済の減速、6月から7月にかけての低温多雨の悪天候、スイスフラン高を上げている。

そこへ9月11日に米同時多発テロが起き、スイス航空の破たんが追い討ちをかけた。スイス・ツーリズムのエヴァ・ブレットブールさんは、テロ後人々は航空機利用を自粛し、旅行を計画していた人もほとんどが中止した。さらに、米国務省が米国民に航空機利用自粛を勧告したことから、米国から欧州への航空便はさらに減便されたという。

その状況下で、スイスが世界に誇っていた(と国民が思っていた)スイス航空が、拡大政策の失敗とテロ後の航空機業界大打撃から破たんした。ホテル協会のフーバー氏は、スイス航空を失うことはグローバル・コミュニケーション・マーケティングネットワークと航空輸送手段を失うということで、スイス観光にとって中長期的な打撃となるという。

現在のアフガニスタンを取り巻く状況と予測できない世界情勢から、近い将来の海外旅行者は30%から50%減るとアナリスト等は見ている。ということは、アジア、米大陸からの観光客は激減が予測される。そこで、スイス・ツーリズムは国内および欧州の観光客誘致作戦に乗り出した。実際のところ、スイスを訪れる外国人観光客のうち、空路(航空機)で来るのは35%で残り65%は陸路でやって来る。外国からの観光客で最大なのはドイツ人、ついでスカンジナビア諸国、ベルギー、フランス、イタリアなどだ。「人々が航空機を利用しなければならない温暖な地域への旅行をためらう今がチャンスだ。鉄道や車で旅行できるスイス国内や近隣諸国からの観光客誘致のために、スイス・ツーリズムでは11月末から大々的なウィンターキャンペーンを始める予定だ。」とブレットブールさんは語った。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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