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高齢化社会に備え、障害者も職場に復帰せよ

障害者も勤労に励まなくてはならない

(Keystone)

「スイスの福祉は完璧」とお思いの方も多いだろうが、そんなスイスが経済協力開発機構 ( OECD ) から改善を求める勧告を受けた。

OECDはスイスの福祉政策に対し、「障害者保険の給付を減らして勤労意欲を高めるべきだ」と主張している。現在、スイスの「障害者保険制度」は5回目の改定を行っている最中だ。

 OECDの報告書は、ポーランドとノルウェー、スイスの3カ国の障害者保険制度を比較したものだ。近いうちにさらに9カ国を対象にして同じように調査する予定だ。

共通の問題

 今回報告された3カ国とも、問題は共通している。障害者に充分な保険を適用することで、人材を職場から福祉を受けるだけの場所に移動させているのだ。

 「失業率は下がっていますが、同時に障害者保険の適用を受ける人の数も増加しています」とベルンに支部を持つOECDのアナリスト、クリストファー・プリンツ氏は語る。

 これまで福祉といえば、与えるばかりで、保険の適用を減らして障害者を働かせようなどということは、まったく考えられてこなかった。

 このOECDの専門家は「これまでスイスの福祉政策は、部分的にしか成功していません」と言う。今回、障害者保険制度が改定されたことで、適用を受ける人々の数は、過去2年間で減少したものの、福祉全体の規模を縮小させるほどには至っていない。

長期戦に備えよ

 OECDは、スイスの現在の状況は、長期的に見て非常に問題だとしている。OECDによると、高齢化が進んでも社会福祉制度を充分に支えていけるだけの人材を確保しておかなくてはならない。政府は健康上に何らかの問題があっても、働ける人は働かせるようにする政策を進めるべきだというのだ。

 スイスでは、障害者保険の適用を受けている人の約半分が失業中だ。しかし、これはOECD諸国の中ではかなりいい線をいっている方だ。

 それに、障害があって苦しんでいる人々に対して、保険の適用を減らすことが良いことなのかどうか、これは今後も議論が分かれるところだろう。

 貧困ライン以下の暮らしをしている障害者の数の増加と共に、過去数年間で給付金自体の額も増加している。

4割が精神的障害

 スイスの障害者保険制度が赤字に転落したのは、精神病患者が増加したことが原因だ。なんと新しく障害者保険を受ける人の4割が、精神的に問題があるとみなされた患者なのだ。

 OECDは、これは政府が障害者保険制度を、社会問題や失業問題対策として使っているのだと指摘している。

 OECDの報告書によると、このような状況になってしまったのは、「障害者」の定義があいまいで、評価やリハビリ制度も不十分であるということが背景にある。一方、専門家はスイスが現在行っている障害者保険制度の改定で、この状況が改善されうることも指摘している。

 しかし、OECDの専門家たちは、障害を持つ人々が早く職場に戻れば戻るほど、問題も起きるだろうということも懸念している。このため政府は、スムーズに障害者が職場復帰できるよう、保険会社や雇用者側に対して何らかの方策を取らせる必要があるかもしれない。

 例えば、長期的に障害に苦しんでいる従業員の場合、雇用者が彼のための特別な職場復帰プログラムを設ける義務が課せられることも考えられる。このようなプログラムは、いくつかのOECD諸国ではすでに見られるものだ。健康に問題が起きた場合の経費も、雇用者だけが負担するのではなく、保険会社や政府と分担することも考えられる。

 一方OECDは、企業が障害者受け入れの割合を義務化することについては勧めていない。

swissinfo、外電 遊佐弘美 ( ゆさ ひろみ )

Disability insurance

The mandatory insurance pays out benefits to policyholders who cannot finance their livelihood because of a disability. The insurance also helps ...

キーワード

スイスの障害者保険制度は1959年に導入された。
同制度の資金には、政府からの補助と、国民の給与の1.4%が当てられている。
障害者福祉保護を受けている割合は国民全体の5.2% ( 2004年 )。
1992年には同3.2%だった。

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障害者保険制度の改正

スイスの障害者保険制度は1990年始めに赤字に転落した。最近発表された赤字は、17億フラン ( 約1600億円 )、累積にすると78億フラン ( 約7400億円 ) にもなっている。

この慢性的な赤字を解消するため、政府は制度の改定に乗り出している。それによると、これから障害者保険が適用される候補者を20%削減し、審査もより厳しくするという。

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