スイスのシェルターはどのくらい安全なのか
ウクライナ戦争やイラン戦争と中東での戦争により、スイスで市民防衛への意識が高まっている。一体、スイスのシェルターはどれほど安全なのだろうか?ドイツ語圏のスイス公共ラジオ(SRF)が、スイス連邦市民防衛局のダニエル・ジョルディ副局長に話を聞いた。
連邦市民防衛局のダニエル・ジョルディ副局長(57)は戦争、災害、緊急事態への対応を担当する。大学で化学を学んだあと、核・生物・化学兵器による災害からの保護を研究するスイスのシュピーツ研究所の経営陣の一員となった。現在は市民防衛局として、スイスにおけるシェルターや公共の避難施設に関する建築規制やコンセプトの策定を率いる。
SRF:現在の世界情勢により、シェルターが再び注目を集めている。スイスの防空シェルターは嘲笑されることもあったのでは。
ダニエル・ジョルディ:その通り。ウクライナ侵攻までは、本局は嘲笑されていた。だが我々は常に「基本的に、戦争はいつでも起こりうる」と主張してきた。私たちが何十年にもわたって築き上げてきたインフラは、その有効性と簡素さにおいて他に類を見ない。死傷者数を大きく減らせる。スイスが成し遂げたことを非常に誇りに思っている。
-スイスのシェルター利用料金は1回につき平均1500フラン(約30万円)
-1人当たり1m²が割り当てられている
-スイスの住民の大部分はシェルター付き住居に住んでいる
-シェルター付きではない住居の住人には、州や自治体によりシェルターが割り振られる。どのシェルターに割り振られているかは、必要時に初めて知らされる。
-スイスのDAB+ラジオはFM受信機も搭載している。DAB+の受信ができない場合、自動でFMに切り替わる機種もあれば、手動操作が必要な機種もある。
-シェルターには携帯電話の電波は届かない。ただし電源コンセントがあり、電力供給が安定していれば、シェルター内で端末を充電することは可能。連邦市民防衛局は現在、停電や携帯通信網に障害が発生したときに充電や一部の通信(メッセージの送受信、当局からの緊急情報の受信など)ができるようにするための方策を検討中。
出典:連邦市民防衛局
爆弾や化学兵器、核攻撃を受けた際、シェルターに避難している人はどれほど安全なのか?
通常の空襲に対しては、優れた防御力を発揮する。化学兵器に対しても非常に効果的なフィルターシステムを備えており、市民防衛局の研究所で試験済みだ。また、核攻撃が発生した場合でも、広島に投下された原爆よりもはるかに大きな爆弾が1㎞離れたところから投下されても、生存できるように設計されている。
決して快適な場所ではない。
確かに快適ではないが、中の人は生き延びる。それが重要な点だ。
勤務地が指定シェルターから遠く離れている場合はどうすればよいか。
そういったケースに当てはまる人はごく一部だということを明言しなければならない。市民防衛局は現在の防衛建築戦略に基づき、武力紛争中に移動しなければならない人々を適切に保護するための解決策を作成中だ。
シェルター内では携帯電話やラジオの電波は届く?
携帯電話の電波は届かない。ラジオには緊急時用の増幅放送局がある。また、現地の緊急警報システムの近代化も進めている。
衛生に関する規制は?
それは非常に重要な質問だ。なぜなら、そのような状況では多くの人が伝染病で命を落すからだ。私たちはバケツ型トイレと呼ばれるものを使っている。基本的には、使用後に衛生的に廃棄できる袋状のトイレだ。
シェルターの中で料理をすることは許されている?
できない。シェルター内ではアルコールストーブやガスコンロを使った調理は許可されていない。規模の大きなシェルターには調理室があり、そこでは調理することができる。
急に医薬品が必要になった場合はどうすればよいのか。
必ず持参してほしい。これは緊急事態のために一人ひとりが用意すべき備品の1つだ。
シェルターにペットを連れて行くことはできる?
できない。これらのシェルターは人間の生存を目的として設計されており、換気システムもその1つだ。ペットは地上にいったん置いて、状況が許し次第すぐに世話をする、というのが基本だ。これは家畜にも当てはまる。
SRFラジオのリスナーから、「爆撃後、シェルターの上階が瓦礫で覆われている場合、どうやってシェルターから脱出すればいいですか?」という質問があった。
シェルターには必ず2つの設備が備わっている。1つ目は非常口、2つ目は「自力脱出装置」と呼ばれるジャッキのようなものだ。後者は数トンもの瓦礫でも押し退けて出口を確保でき、救助隊員の負担を軽減する上で非常に重要な役割を果たす。
シェルターの中ではどれくらい生き延びられるのか?
換気システムは非常に長時間稼働でき、必要に応じて手動で操作することも可能だ。
制約要因は水と食料だ。確かに楽しいことではない。しかし、「楽しくない」ことと「生き残れない」ことの間には雲泥の差がある。
独語からのGoogle翻訳:ムートゥ朋子
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