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木星に生命は存在するか?

木星氷衛星探査機「JUICE(JUpiter ICy moons Explorer、ジュース)」が14日、落雷リスクを避け予定より1日遅れて打ち上げに成功した。8年がかりのミッションで注目されている地球外生命の探索や太陽系起源の解明に不可欠な観測装置の1つを、ベルン大学の研究チームが開発した。

欧州宇宙機関(ESA)が主導するJUICE外部リンクの探査ターゲットの1つは、木星の衛星エウロパだ。エウロパは2番目に木星に近い氷衛星。その表面を覆う氷殻の下には海が存在しているとみられ、宇宙空間に放出される地下海からの噴水が観測されている。

JUICEは今回、近傍通過(フライバイ)の際にこの噴水の中を飛び、水サンプルの直接採取に挑む。この中に含まれる物質や分子などの成分を調べ、生命が存在する可能性を探る。

Ingenieurin Martina Föhn
中性大気ガス・イオン質量分析計「NIM」の仕組みを解説するマルティナ・フェーン博士研究員

計測に不可欠な観測装置の1つはベルン大学の研究チーム外部リンクが開発した。木星の氷衛星ガニメデ、カリスト、エウロパを詳細に調べるために特別に設計された「NIM(Neutral Ion Mass spectrometer、ニム)」と呼ばれる中性大気ガス・イオン質量分析計だ。開発を担ったのは同大学のマルティナ・フェーン博士研究員(宇宙研究・惑星科学)。2018〜20年に博士課程の研究プロジェクトの一環として実施した。

今回の「宇宙科学の最前線」では、 3つの氷衛星の大気や、私たちの太陽系の中で唯一磁場を持つ衛星ガニメデの調査などにNIMがどのように役立つかについて、フェーン氏が解説する。

ドイツ語からの翻訳:佐藤寛子

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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