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「スイス人にしておくのはもったいない」

「結構なお点前でした」 茶人として日本を語るニーゼル氏 Neeser Philippe

「スイス人にしておくのはもったいない」フィリップ・ニーゼルさん(57歳)を指して、彼を知るある老師が評したという。スイスの精密化学会社の常勤監査役として働くビジネスマンでありながら、茶の道を極めることを自分の人生とした。京都の町屋に住み、日吉町には茅葺の農家を改造した「拙鶴庵(せっかくあん)」を構える。

このコンテンツは 2005/03/19 12:36

古本屋めぐりが好きだった14歳の頃、フランスの小説に出てきた日本に魅せられた。すでにその頃から、日本の文化に漂う「無常観」に共鳴した。『古事記』、『源氏物語』などを英語やフランス語で読んだが、「原語で読んだらもっと美しいものに接することができるだろう」と日本語を学び、来日した。

その後、「日本の歴代の紳士の多くがたしなんだ茶道。自分も紳士になりたくて」、また「日本の文化を知る王道だ」と思い茶の道に入っていった。 テーブルの上に無造作に置いてあった利休の茶杓を手にとり、「4世紀前に生きた利休を身近に感じさせる」と語る。しかし、日本の経済界の大物には「おまえにわびさびが分かってたまるか」と大声で言われたという。「日本のビジネスマンは茶の湯より、ゴルフがお似合い」とニーゼルさんは、これをさらりとかわす。

拙鶴庵はもとより、これまで収集してきた日本の伝統的な美術品を後世に残すことにいま、ニーゼルさんは心を砕いている。いまの日本の税制度の下では、文化遺産を残すのは難しいと何度も訴えるニーゼルさん。「日本の文化は日本人だけのものではなくなっている。日本文化は世界の文化の一つの花です。日本人がその文化から離れるなら、それを後世に伝えるのは必ずしも日本人でなくとも良いのではないでしょうか」と語るニーゼルさんの、自由な発想を持つスイス人らしさと、茶人としての気概をうかがわせる言葉である。

swissinfo 聞き手 佐藤夕美(さとうゆうみ)

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