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スイスの金融界、発想の転換を強いられる

どこまで、スイスの金融界は改革されなければならないのか。そのカギを握るのは連邦金融監督局だ。オイゲン・ハルティナー局長 ( 左 ) とウルス・ツラウフ副局長 EQ Images

諸外国からの圧力で、スイスの金融界はますます危機に立たされている。

このコンテンツは 2010/03/29 17:30

深刻な状況に陥る前に「持続可能な解決策を講じる必要がある」と連邦金融監督局 ( FINMA ) は警鐘を鳴らす。危機に立たされているのは銀行ばかりではなく、スイスの政治制度も同じだ。

守秘義務に風穴

「嘆かわしいと思う一方で、これはチャンスだ」と語るのは、金融監督局のウルス・ツラウフ氏だ。
「金融監督局の監督者としては外圧を認め、それに対応しなければならないと思う」
と言う。その真意は、外国の個人顧客に関してスイスの銀行に対する新しい規制が必要だということだ。唯一これが、外国の税務署や検察からの圧力への対応策だという。こうした外圧は銀行にとってリスクとなっている。

スイスの銀行が現在抱えるリスクとは、世界的な金融危機とそれがもたらした多くの国の巨額負債に由来するものだが、数年前と比べた場合、そのリスク度合いは比べられないほど高くなっているとツラウフ氏は言う。これは、UBS銀行アメリカ法人だけではなく、スイスの全銀行に当てはまるという。

昨年2月、金融監督局はUBSが米司法省に対し、アメリカ人顧客約300人分の口座情報を提供することを認めた。金融監督庁はアメリカで起こったUBSの存続を脅かすような訴訟に、最後の最後になって対応した。しかし今年1月になり、連邦行政裁判所は金融監督局の決定を違法と判決した。金融監督局は連邦裁判所に控訴したが現在、未決のままだ。

アメリカにおける高いリスク

今後、連邦議会は昨年8月にスイスがアメリカと交わした条約の合法性について審議することになっている。条約では、UBSの4500人分の顧客情報を米政府に渡すことが約束されている。今年1月には、連邦行政裁判所がこの条約は違法だと最終判決を下した。
「もし、合意に達しなければ、UBSだけではなくほかの銀行の存在を危うくするような新たな訴訟が起こる危険がある」
とツラウフ氏は訴えている。

これまでにおよそ1万5000人のアメリカ人の脱税犯罪者は自ら申し出、全員が当局と何らかの合意に至っている。こういった人たちの中に、スイスのUBS以外の銀行の顧客がいて、銀行からアメリカの法律を犯すような脱税の助言を受けたと明かす人が出る危険は大きいとみられている。

脱税ほう助のリスク

「外国政府に対し、脱税ほう助を働いたとしても、スイスでは違法にならない」
とツラウフ氏は確言する。しかし銀行に対しては「リスク管理をするように」と言っているという。銀行はすべてのリスクを把握していなければならない。もし、その義務を怠れば金融監督局は規制手段を持って対応することになるという。

リスクの管理とは、各国の法律を尊重し、銀行やアドバイザーに対し外国当局に控訴させず、顧客に不安を与えないことだ。そのためには、外国人から、税申告をしていない資金を預からないことであり、今まで隠していた資金を顧客に申告させることでもある。

ブラックマネーに対し、こうした資金をホワイトマネーと呼び、リスク回避のためにはホワイトマネー戦略が必要だという。実践に移す方法や具体的な管理手段については現在、さまざまな意見がある。しかも、国ごとにその規制が異なり、スイスの対応を難しくさせている。

政治的解決が必要

「銀行にさらなる申告義務を負わせることには慎重だ。銀行を保護したいがためではなく、さらに義務を課すことは、さらなるリスクを課すことにもなる」
とツラウフ氏。また、顧客に資産を当局に申告していることを証明する書類の提出を求めることは、法的な実行が難しいとみられている。
「義務は顧客が負うのでなければならない」とツラウフ氏は主張する。しかし、「脱税をするような人は、銀行に対してもごまかすだろう」

スイス政府は「金融機関、外国人顧客、税当局それぞれの利害を1本の傘の下に置くような」国家間の解決策を見出す必要があるとツラウフ氏は見ている。スイスの金融界の新しい戦略作りとそれに見合った諸外国との枠組み作りの作業は政治の責任だ。つまり「国境を超えた金融取引のリスク規制と権利の保護を再び取り戻すという二つの方法を考え出すこと」が連邦金融監督にとって重要だと考えるという。
「こうした方向に自分たちを持っていこうとしているが、われわれの機関は責任は持てない」
とツラウフ氏は語った。

アンドレアス・カイザー、swissinfo.ch
( 独語からの翻訳、佐藤夕美 )

スイスが抱える問題

「大きすぎて倒産させられない」という事態は、今後は避けられなければならないというのが連邦金融監督局 ( FINMA ) の方針。自己資金と流動性に条件を付けることは、銀行の構造と資金の流動性を管理することにつながると考えられる。
現在の大手銀行は、国家救済措置を必要とするような構造になっていると金融監督局のパトリック・ラウフラウブ課長は年次報告書の中で非難している。倒産を避けるためには、総括して誘導する市場の手段が必要となってくる。現在の枠組みは、こうした問題に対応していないため、新しい法整備が必要だ。
金融監督局はすでに、自己資本規制を敷いており、今後は流動性についての枠組みを作る方向にある。ラウフラウブ氏の意見では、銀行に対してはこうしたことを要請するだけでは不十分で、法的規制が必要だという。

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