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ダボス会議閉幕 新しいグローバル化に対立する意見

WEF反対デモでは、エジプトやチュニジアのエリートをダボス会議の出席者と同一視 Keystone

1月30日、スイスの山岳保養地ダボス ( Davos ) で開催されていた世界経済フォーラム ( WEF ) の第41回年次総会 ( ダボス会議 ) が閉幕した。

このコンテンツは 2011/01/31 15:00
マシュー・アレン、エヴェリン・コブラー, swissinfo.ch

現在北アフリカを支配している混乱はダボスでも議論の的となった。観測筋の意見は、エジプトやチュニジアの独裁政権に代わって民主主義が安定するという希望的観測と中東の混乱を恐れる見方の二つに分かれた。

新しい経済秩序

ダボス会議の直前にはロシアでもモスクワ近郊の空港で自爆テロが発生し、死者35人を出した。しかしドミトリー・メドベージェフ大統領は、「テロ行為も予定を変更させられはしない」とダボス入りした。これと同時に、カフカス地方に巨額の資金を投じてウインタースポーツリゾートを建設し、観光の力を借りてテロを封じ込めるつもりだと発表した。

このような新しい経済秩序は果たして世界的な動きを阻むのか、あるいは助長するのかをめぐり、政界、経済界、文民、メディア、宗教界、科学界の代表者たちは意見を対立させている。しかし、2009年に見られた大きな不安や2010年の先行きの不透明感はなく、慎重ながらも楽観視する見方が大半。ダボスでの議論は、新興工業国や途上国の一部に見られる急激な経済成長に集中した。このような成長で、保護主義的な反応が新たに引き起こされる恐れがある。

不均衡な成長

ダボスではまた、中国、インド、ブラジルなどで続く高成長が世界経済を景気後退から守っているという声が何度となく聞かれた。参加者の多くは、投資と革新はこの先も西側から東や南へ移動していくものとみている。

意見が異なるのは、このような包括的な変化が経済大国、ひいては政治大国に与える影響だ。アメリカの経済学者ヌリエル・ルービニ氏は、経済の現状を「半分満たされた、しかしすでに半分空になったグラス」と表現した。

「例えば中国とアメリカに見られる経済発展の不均衡について、中国の10%台に上る成長率はアメリカの失業率に等しい」

フランスのニコラ・サルコジ大統領は、ユーロはどんなことがあっても崩壊させないと断言。ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、欧州連合 ( EU ) の重債務国を支援する新しい対策について公言した。

一方、中国の代表団は2001年の3人から今年は66人と大幅増員。新興工業国の経済は大きく飛躍した。スイスもその恩恵にあずかろうとしているところで、ヨハン・シュナイダー・アマン経済相と中国の陳徳銘 ( チャン・ドゥミン ) 商務相はダボスで、自由貿易協定の交渉開始に合意した。

不名誉な「パブリック・アイ賞」は金鉱会社とエネルギー会社へ

ダボスでは、スイスのNGO 「ベルン宣言 ( EvB ) 」とスイス・グリンピース ( Greenpeace Schweiz ) が環境破壊など無責任な行為を行なった企業などに贈る「パブリック・アイ賞」も例年通り発表された。

「パブリック・アイ審査員賞」はガーナで金を採掘し、環境や住民に悪影響を与えているアングロ・ゴールド・アシャンティ ( Anglo Gold Ashanti ) 社に贈られた。ガーナでは国民の8割近くが1日2ドル以下の生活を送っていると推測されている。

同社は毎日30キログラムの金を採掘するために6000トンの岩石を搬出。金を得るために有毒性のシアン化物を使用し、その排水が湖や河川、村の住民の飲み水となる井戸水を汚染している。さらには、「疑わしき人物」を地雷の埋まった場所に呼び出して闘犬にかみ殺させたり、同社が所有する拘禁所で拷問にかけたりしているという報告もある。

インターネットで受賞者を決める「パブリック・アイ・ピープル賞」の投票には、5万3000人と昨年の倍以上の人々が参加した。受賞したのは、バイオディーゼル燃料製造で世界最大のフィンランドのネステ・オイル ( Neste Oil ) 社。だが、原料の大半はインドネシアやマレーシアの熱帯雨林を伐採して得たものだ。これらの森林には絶滅が危惧されているオランウータンが棲んでいる。

「ベルン宣言」によるとネステ・オイル社のディーゼル燃料は持続可能でないばかりか、従来のディーゼル燃料より気候に与える悪影響が大きい。にもかかわらず、同社は複数のエコラベルを受け取っているという。

世界経済フォーラム ( WEF / World Economic Forum )

1971年に「ヨーロッパ経営フォーラム ( European Management Forum ) 」として発足。 

ヨーロッパとアメリカの経済・産業界の指導者をつなぎ、問題解決と関係強化を目的としてドイツ生まれのスイス人大学教授クラウス・シュワブ氏が創設。 

ジュネーブに本部を置く非営利組織で、会員が納める年会費によって運営されている。 

より良い世界情勢の実現を目的とし、世界の経済、および社会問題について論議する国際会議。毎年年初にダボスで年次総会 ( ダボス会議 ) を主催し、世界の経済に関連するさまざまな研究を行う。世界全体に関するレポートや国別のレポートなど詳細な報告書を発行するほか、会員のための特別調査も行う。最重要とされるダボス会議のほかにも、多数の年次総会を開催している。 

現在の名称に変更されたのは1987年。活動の幅を広げ国際紛争の解決法を探るための場を提供。トルコとギリシャ、北朝鮮と韓国、旧東西ドイツ、アパルトヘイト時代の南アフリカなどの世界紛争の解決に寄与したと主張している。近年は、結核の撲滅、貧困の撲滅、環境保護などのプロジェクトを行ってきた。 

年次総会 ( ダボス会議 ) は毎年1月下旬にスイスのリゾート地ダボス市で開催されているが、2002年は前年に起きた9.11米同時多発テロを考慮し、ニューヨーク市をサポートする目的で例外的にニューヨークで開催した。 

会議の参加者は、ネルソン・マンデラ元南ア大統領、ビル・クリントン元米大統領、トニー・ブレア元英首相、ロックグループ「U2」のボノ、ドイツのアンゲラ・メルケル現首相、ビル・ゲイツ、女優のシャロン・ストーンなど各国首脳、企業や経済組織の代表者、NGOの代表者、ジャーナリスト、経済界、政界、学会、芸能界の著名人。

1990年代に規模が拡大され知名度が上がるにつれ、エリート主義や参加者による内輪の利益のみを追求する閉ざされた集団といったグローバル化に反対する団体からの批判が高まった。

2011年のダボス会議は1月26日から30日まで開催される。90カ国から約2500人が参加。

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パブリック・アイ賞

グローバル化を批判するために贈られる賞。

ダボス会議と平行して、毎年ダボスで開催されるオープン・フォーラムの催し物の一つ。

開発援助に関わる政治組織「ベルン宣言 (EvB ) 」とスイス・グリーンピースの共同プロジェクト。 

「パブリック・アイ」は世界社会フォーラム ( WSF ) と密接な関係がある。

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