ベネズエラの国営石油会社PDVSA前に立つ彫刻。油井(ゆせい)を乗せた手をモチーフにしている
Copyright 2020 The Associated Press. All Rights Reserved
スイス連邦金融市場監督局(FINMA)は、2009~2018年にマネーロンダリング(資金洗浄)対策基準を遵守しなかったとして、大手プライベートバンクのジュリアス・ベアに対し、大規模な買収を一時的に禁止する制裁処分を下した。
このコンテンツが公開されたのは、
FINMAは、同行が「金融市場法の重大な侵害を犯した」とし、「法律を完全に順守するまで、大規模かつ複雑な買収」を禁止すると述べた外部リンク。
FINMAはまた同銀行に対し、顧客アドバイザーの雇用管理や報酬・罰則システムの見直しといった改善措置を講じるよう命じた。
マネーロンダリング対策基準を守らなかったとFINMAが指摘したのは、2009~2018年のベネズエラの国営石油会社(PDVSA)と国際サッカー連盟(FIFA)運営組織に関連する取引。
FINMAは、同銀行が顧客の身辺調査を怠り「報酬システムは、ほぼ財務目標だけに焦点が当てられ、コンプライアンスとリスク管理目標に関してはほとんど考慮されていなかった」と述べた。
FINMAは「2014年、ベネズエラの大規模クライアントに対して7千万フラン(約77億円)の取引が行われたが、銀行側は同年にこのクライアントが汚職で訴追されていた事実を知ったにも関わらず、必要な調査を怠った」とした。
FINMAは独立した監査人を立て、同銀行の事業改革をチェックする。
ジュリアス・ベアは声明外部リンクで「南米事業におけるマネーロンダリングとの闘いにおいて、不十分な点があったという(FINMAの)結論を原則として認める」とコメントした。
同行は新しい管理職の起用や過去2年間のグローバルリスク管理システムを強化するなど、すでに是正措置に着手したと述べた。今後は「持続可能な成長へのシフト」に注力していくという。
おすすめの記事
知日スイス人作家のアドルフ・ムシュクさん、欧州政治文化賞を受賞
このコンテンツが公開されたのは、
ハンス・リンギエ財団は9日チューリヒ在住の作家アドルフ・ムシュグさん(91)に欧州政治文化賞と賞金5万ユーロ(約860万円)を授与した。同賞がスイス人に授与されるのは初めて。
もっと読む 知日スイス人作家のアドルフ・ムシュクさん、欧州政治文化賞を受賞
おすすめの記事
スイス政府、相互関税で米国との協議継続を表明
このコンテンツが公開されたのは、
米国がスイスに課す39%の「相互関税」をめぐり、スイス政府は4日、米国との協議を続け「より魅力的な提案をする」と表明した。
もっと読む スイス政府、相互関税で米国との協議継続を表明
おすすめの記事
トランプ政権、スイスに39%の相互関税を発表
このコンテンツが公開されたのは、
米国はスイスに課す相互関税率を39%と発表。スイス政府は「大変遺憾に思う」と表明した。
もっと読む トランプ政権、スイスに39%の相互関税を発表
おすすめの記事
スイス銀行の顧客を騙した英国人留学生に有罪判決
このコンテンツが公開されたのは、
スイス銀行を狙った口座乗っ取り事件で、英国で刑事告訴されていた英国人学生(21)に禁固7年の有罪判決が言い渡された。スイス連邦検察庁によると、学生はスイスの銀行顧客から約240万フラン(約4億4000万円)を騙し取った。
もっと読む スイス銀行の顧客を騙した英国人留学生に有罪判決
おすすめの記事
温暖化でスイスがオリーブの名産地に?
このコンテンツが公開されたのは、
スイス西部のフランス語圏は温暖化によりオリーブの木を育てやすくなっている。生産者らは2026年には栽培本数が2万本に倍増し、南部のイタリア語圏ティチーノ州を追い抜くと見込む。
もっと読む 温暖化でスイスがオリーブの名産地に?
おすすめの記事
アルプスに新しい巨大地上絵が登場
このコンテンツが公開されたのは、
世界各地で巨大な地上絵を描くアーティストのSAYPE(セイプ)さんが、スイス南部ヴォー州のアルプス山頂に新作を完成させた。
もっと読む アルプスに新しい巨大地上絵が登場
おすすめの記事
スイス・ゲスゲン原発、定期検査後に稼働再開できず
このコンテンツが公開されたのは、
スイス北部デニケン(ソロトゥルン州)のゲスゲン原子力発電所が2カ月近く、発電を停止している。給水配管システムに過負荷がかかっている可能性があり、安全性が証明されるまで発電を再開できていない。
もっと読む スイス・ゲスゲン原発、定期検査後に稼働再開できず
おすすめの記事
欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」
このコンテンツが公開されたのは、
欧州人権裁判所(ECHR)大法廷は10日、スイスが女子陸上五輪金メダリストのキャスター・セメンヤさん(南アフリカ)の権利を侵害したとする2023年の判決を支持した。
もっと読む 欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」
おすすめの記事
スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
このコンテンツが公開されたのは、
抗生物質の開発に特化するスイスの新興バイオ企業ビオヴェルシス(BioVersys)は2日、日本の塩野義製薬と共同研究・独占ライセンス契約を結んだと発表した。
もっと読む スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
おすすめの記事
スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
このコンテンツが公開されたのは、
スイス放送協会(SRG SSR)は政府の予算削減を踏まえた組織再編計画を発表した。4言語圏の放送局のスポーツ、ドラマ、制作、配給、人事、財務、ITサービスなど各部門を縦割りで再編成する。
もっと読む スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
続きを読む
おすすめの記事
UBSのトップ辞任へ 後任は蘭INGのCEO
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの銀行最大手UBSは19日、セルジオ・エルモッティ最高経営責任者(CEO)が今年秋に辞任し、後任にオランダの総合金融機関INGグループのラルフ・ハマーズCEOを起用すると発表した。
もっと読む UBSのトップ辞任へ 後任は蘭INGのCEO
おすすめの記事
スイスのマイナス金利、経済コストへの懸念大きく
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中央銀行、SNB)のマイナス金利政策は、スイス経済全体にとっては利益よりコストの方が大きいと考えられている。個々の企業収支に与える影響は今のところ小さいが、大手金融機関が顧客にマイナス金利を転嫁する動きが広がり、今後はダメージが大きくなる可能性がある。
もっと読む スイスのマイナス金利、経済コストへの懸念大きく
おすすめの記事
クレディ・スイス、「スイス回帰」で名声回復か
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの銀行大手クレディ・スイス(CS)の取締役会は、多くの株主の期待に反してティージャン・ティアム最高経営責任者(CEO)の退任を決めた。後任はスイス国籍を持ち、現在CSの国内事業を率いるトマス・ゴットシュタイン氏だ。
もっと読む クレディ・スイス、「スイス回帰」で名声回復か
おすすめの記事
クレディ・スイスCEOが辞任 内偵スキャンダルで
このコンテンツが公開されたのは、
内偵スキャンダルに揺れる金融大手クレディ・スイス(CS)は7日、ティージャン・ティアム最高経営責任者(CEO)の辞任を発表した。
もっと読む クレディ・スイスCEOが辞任 内偵スキャンダルで
おすすめの記事
スイスのプライベートバンク大手、300人リストラ
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのプライベートバンク大手ジュリアス・ベア(本店・チューリヒ)のフィリップ・リッケンバッハー最高経営責任者(CEO)は3日、今年、300人を雇用削減すると発表した。昨年の2ケタ台の減益を受け、新たな事業戦略で利益率の改善を狙うという。
もっと読む スイスのプライベートバンク大手、300人リストラ
おすすめの記事
スイスの銀行、マイナス金利の負担は累積9千億円に
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中央銀行、SNB)がマイナス金利政策を導入した2015年以来、スイスの銀行がSNBに支払った金利は80億フラン(約9千億円)にのぼることが独民間調査会社の調べで分かった。2019年は最も多い20億フランを支払った。
もっと読む スイスの銀行、マイナス金利の負担は累積9千億円に
おすすめの記事
スイス中銀、巨額黒字で「大盤振る舞い」
このコンテンツが公開されたのは、
2019年、スイス国立銀行(スイス中央銀行、SNB)は490億フラン(約5兆6千億円)と、過去2番目に大きな黒字を叩き出した。潤沢な資金を背景に、SNBは連邦や州に「大盤振る舞い」する方針だ。
もっと読む スイス中銀、巨額黒字で「大盤振る舞い」
おすすめの記事
富裕国スイスに問われるモラル問題
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは2020年も好調が続きそうだ。安定した経済、低い失業率に加え、市場急落の可能性も低い。だがこれほど好調であれば、見返りも求められる。新たな年を迎えたスイスには、責任や透明性などモラルの問題が突きつけられるだろう。
もっと読む 富裕国スイスに問われるモラル問題
おすすめの記事
クレディ・スイスめぐる内偵スキャンダル
このコンテンツが公開されたのは、
銀行大手クレディ・スイスが、私立探偵を雇い、ライバル行UBSに移る社員を尾行させた疑惑が浮上した。取締役会はこの問題に関し調査を始めた。
もっと読む クレディ・スイスめぐる内偵スキャンダル
おすすめの記事
クレディ・スイスのスキャンダル、COOが引責辞任 関係者は自殺
このコンテンツが公開されたのは、
スイス第2のウェルスマネジメント事業を抱えるクレディ・スイス(CS)の内偵スキャンダルがスイスのプライベートバンク界を震撼させている。CSのウルス・ローナー会長は今回の事件がスイスの金融業界の名声を傷つけたと陳謝した。
もっと読む クレディ・スイスのスキャンダル、COOが引責辞任 関係者は自殺
おすすめの記事
世界初の仮想通貨銀行がスイスで営業開始
このコンテンツが公開されたのは、
世界初の仮想通貨銀行SEBAが12日、スイスのツーク州で開業した。年末までに3ケタの国内口座の開設を狙い、世界展開と1億フラン(約110億円)の資金調達を目標にする。
もっと読む 世界初の仮想通貨銀行がスイスで営業開始
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。