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スイス国際航空、チューリヒ・ジュネーブ便で気候中立を達成

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スイス・インターナショナル・エアラインズ(SWISS)のディーター・ヴランクスCEOは「中長期的にみて、航空券が安くなることはない」と語った © Keystone/ Valentin Flauraud

スイス・インターナショナル・エアラインズ(SWISS)は7日、チューリヒ=ジュネーブ便で気候中立を達成すると発表した。持続可能な航空燃料(SAF)と他のオフセット(相殺)手段を組み合わせる。航空料金の値上げは必至だ。

SAFを使用し同区間の飛行で発生する二酸化炭素(CO₂)排出量を2~5割削減する。残りの排出はMyclimate財団と共同の気候保護プロジェクトで相殺する。SWISSのディーター・ヴランクス最高経営責任者(CEO)は同日の記者会見で、航空料金を5~20%値上げする可能性が高いと述べた。

ヴランクス氏は「中長期的にみて、航空券が安くなることはない」との見通しも示した。同区間を利用する年間1万5000~2万人の乗客のうちどれくらいが鉄道利用に切り替えるかは分からないと述べた。

SWISSは2月以降、SAFを通じCO₂を2割削減し、気候保護プロジェクトで残りの8割を相殺する割増運賃「グリーン料金」を全便で設定した。だがSWISSによると、グリーン料金を選ぶ人は今のところ乗客の約3%にとどまる。

オフセットには疑問も

SWISSはCO₂排出量を2030年までに2019年比で半減、2050年までに実質ゼロにする目標を掲げている。グリーン料金の他に航空機や合成燃料の開発も進めている。

ヴランクス氏は電気やハイブリッド、水素を燃料とする航空機は「長距離飛行では私のキャリア・生涯のうちに実現しない」とみており、気候中立にはCO₂相殺プロジェクトが不可欠だと強調した。

ただ相殺プロジェクトの効果には疑問も出ている。連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)の調査によると、販売されたCO₂削減証書のうち削減量を実現したのは12%にとどまる。

英語からの翻訳・編集:ムートゥ朋子

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