
遺族年金の受給でスイス男性は不利 欧州人権裁判所が判決

仏ストラスブールの欧州人権裁判所は11日、スイスの遺族年金の支給を巡り、伴侶を亡くした女性と男性の扱いが不公平であるというスイス人男性の訴えを認めた。
スイスでは末子が成人に達すると、伴侶を亡くした男性は遺族年金を受け取れなくなる。一方、この制限は女性には適用されない。スイスの法律で女性は稼ぎ主と見なされておらず、より手厚い経済的保護が保証されているためだ。
裁判所は、こういった男女の役割分担の考え方は、社会における偏見や固定観念を永続させることにつながると判断。11日の声明で「夫が妻を経済的に支えているとの推定(「男性稼ぎ主」モデル)は、男性に対する当局の不平等な扱いを正当化する理由にならない」と述べた。
これにより、スイス当局は今後、別のスイス人男性が請求した場合も遺族年金の支払い義務が生じる可能性がある。また、遺族年金制度の改革の引き金となる可能性もある。
英語からの翻訳:シュミット一恵
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