クレディ・スイス危機を受けて、ポストファイナンスの今後に注目が集まっている
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スイス連邦行政裁判所は13日、スイス金融市場監督機構(FINMA)によるポストファイナンスへの資本増強命令を支持する判決を下した。
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ポストファイナンスはスイス郵便グループの金融サービス部門。2015年に「Too big to fail(大きすぎて潰せない)」銀行の1つに認定された。厳しい監督基準が課され、損失が発生した時のために十分な資本金を積んでおかなければならない。
FINMAは2021年7月、ポストファイナンスに資本金の積み増しを命令。これに対しポストファイナンスは、FINMAによる金利リスクの評価に問題があるとして、行政裁判所に異議を申し立てていた。
行政裁がこの訴えを退けたため、ポストファイナンスは増資命令に従わなければならない。正確な金額は不明だが、裁判所への提出資料によると少なくとも2億7000万フラン(約400億円)になるとみられる。
クレディ・スイス危機で与信解禁案も
スイスの「大きすぎて潰せない」銀行はポストファイナンスの他、UBS、クレディ・スイス、ライファイゼン銀行、チューリヒ州立銀行の計5行。クレディ・スイスはUBSに買収されることが決まり、独立事業体としては年内に姿を消す。
FINMAは月内に5行の安全性に関する最新の年次報告書を発表する予定だ。ライファイゼンは今月6日、FINMAの審査に合格したと発表外部リンクした。
ポストファイナンスは株式の過半数を連邦政府が保有しているため、競争上の理由から住宅ローンや企業融資が禁じられている。連邦議会は昨年、これらを解禁する政府案を否決した。
だがクレディ・スイスの消滅を受けて、議会では解禁案が息を吹き返している。クレディ・スイスの国内リテール部門の一部をポストファイナンスに統合させることを提案する声もある。
英語からの翻訳:ムートゥ朋子
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