The Swiss voice in the world since 1935

スイスの家計、新型コロナで20万円節約

ロックダウン
2カ月続いたロックダウンは消費に大きな影響を及ぼした Keystone

新型コロナウイルス危機の間、スイスの1世帯当たりの消費額は通常時より平均2000フラン(約22万円)少なかったことが、銀行大手クレディ・スイスの調査で分かった。収入も全般的に減ったが、ロックダウン(都市封鎖)による商店・飲食店の休業で消費の機会が減った。

クレディ・スイスは11日公表した報告書で、家計の貯蓄率(収入から全ての支出を差し引いた後で貯蓄に回す割合。年金保険料などの強制貯蓄を除く)が現在22%と、コロナ危機前の約13%からほぼ倍増したと試算した。支出額の2000フラン減少に相当する。

これは、お金を使う機会が非常に限られているためだ。通常、消費の約3分の1は商品・サービスに回るが、スイスでは3月中旬からロックダウンによりスーパー・薬局・公共サービスを除くすべての店が休業していた。

おすすめの記事
ワクチン

おすすめの記事

スイスのコロナ情報 マスク義務再開はなし

このコンテンツが公開されたのは、 スイスは4月1日、新型コロナウイルス感染症に対する全国的な感染対策を全て撤廃した。秋冬の感染再拡大が懸念される中、スイス公衆衛生当局はマスク義務の再開は必要ないとしている。

もっと読む スイスのコロナ情報 マスク義務再開はなし

クレディ・スイスによると、休業中もオンラインショッピングは可能だったが、それでも消費の減少をカバーできなかった。小売業全体に占めるオンラインショッピングの割合は食品・非食品合わせて15%から微増にとどまった。

調査は、消費者の購買意欲が全体で危機前より約20%低いと見積もる。ロックダウンが実施された2カ月間では120億フランが「節約」された計算だ。

コロナ危機は貯蓄だけでなく収入にも影響を及ぼした。2カ月間のロックダウンに伴う収入損失は計約153億フランに上るという。操業短縮に伴う賃金減、失業、その他の労働制限等が理由として考えられる。

これらの損失の一部は、政府の緊急経済対策でカバーされる。クレディ・スイスはこの2カ月の政府による財政拠出が約116億フランになると予測している。

おすすめの記事
保育園

おすすめの記事

スイス新型コロナ臨時議会、決まったことは?

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦臨時議会は、政府が新型コロナウイルス対策のため講じた総額570億フラン(約6兆円)の緊急融資を承認した。特に補償対象から漏れていたセクターのため、数百万フランが追加された。

もっと読む スイス新型コロナ臨時議会、決まったことは?

収入の減少を埋めるため、120億フランの「節約」のうち貯蓄に回るのは80億フラン程度とクレディ・スイスは見積もる。ただこれがすべて貯蓄に残るわけではなく、ロックダウン解除後は55億フランが商品・サービスへの消費に回帰するとみる。

しかし正常化が長引くほど人々が慎重になり、V字回復できるかは正常化のペースと消費者の信頼感がカギになるという。

外部リンクへ移動
サブスクリプションを登録できませんでした。 再試行する。
仮登録をしました。 次に、メールアドレスの認証手続きを行ってください。 ご入力いただいたメールアドレスに自動配信メールを送信しました。自動配信メールに記載されているリンクをクリックして、ニュースレター配信手続きを完了させてください。
今週のトップ記事

各種テーマに関するswissinfo.chのベスト記事を受信箱に直接お届け。

毎週

SRG SSRのプライバシーポリシーでは、データ処理に関する追加情報を提供しています。 

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

UBS

おすすめの記事

スイス政府、金融規制改革の最終案を発表

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦内閣は6日、クレディ・スイス危機を踏まえた金融規制改革の最終案を発表した。自己資本規制を強化し、金融監督局の権限も強化する。

もっと読む スイス政府、金融規制改革の最終案を発表
ガザ

おすすめの記事

スイスの元外交官50人、ガザめぐる政府の「沈黙」を非難

このコンテンツが公開されたのは、 パレスチナ自治区ガザにおけるイスラエルの「戦争犯罪」に関して、スイスの元外交官55人がスイス外相に共同書簡を送り、スイスの「沈黙と消極性」を非難した。政府に対して直ちに措置を講じるよう求めた。

もっと読む スイスの元外交官50人、ガザめぐる政府の「沈黙」を非難
軍隊

おすすめの記事

スイスで放射能測定の合同演習 

このコンテンツが公開されたのは、 スイスでは2~6日、国際チームがヘリコプターで空中の放射能測定を行っている。緊急時に広い範囲の放射能を迅速にチェックする予行演習だ。

もっと読む スイスで放射能測定の合同演習 
サルコ

おすすめの記事

自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が死亡

このコンテンツが公開されたのは、 自殺カプセル「サルコ」を運営する自殺ほう助団体「ラストリゾート」共同設立者のフロリアン・ウィレ氏(47)が、先月5日にドイツで死去していたことが分かった。

もっと読む 自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が死亡
土砂崩れ

おすすめの記事

スイス南部で氷河が崩壊 土石流がふもとの村を飲み込む

このコンテンツが公開されたのは、 スイス南部レッチェンタール(ヴァレー州)で28日午後、大きな氷河が崩壊し、大規模な土砂崩れがふもとのブラッテン村を襲った。多数の家屋が倒壊し、1人が行方不明。

もっと読む スイス南部で氷河が崩壊 土石流がふもとの村を飲み込む
標準器

おすすめの記事

スイス、メートル法準拠から150年

このコンテンツが公開されたのは、 スイスは150年前にメートル条約に調印し、メートルやキログラムを導入した。それまでスイスの測定単位は地域や使途によって大きく異なっていた。

もっと読む スイス、メートル法準拠から150年
ハイヒール

おすすめの記事

中国の人身売買組織を摘発 スイス・ベルン州警察

このコンテンツが公開されたのは、 ベルン州警察は19日、大規模な人身取引事件を摘発したとい発表した。容疑者は中国籍の5人で、146人の中国人女性をスイスに誘い出し、性労働に就かせていた。

もっと読む 中国の人身売買組織を摘発 スイス・ベルン州警察
アイベックス

おすすめの記事

まるで曲芸師 ダムの絶壁を歩くアイベックスたち

このコンテンツが公開されたのは、 スイス南部ヴァレー州エヴィオナにあるダムでは今月中旬、約60頭のアイベックスが高さ50メートルの絶壁を伝い歩く姿が観察された。毎年この時期に天然塩を探し求める姿は、スリル満点の曲芸さながらだ。

もっと読む まるで曲芸師 ダムの絶壁を歩くアイベックスたち

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部