ポストバスの取締役会長は、信頼回復には経営陣の一新が必要だと強調した
Keystone
スイスのポストバス社による補助金不正受給問題をめぐり、信用を失墜させた責任を取って、同社の経営陣が全員罷免される。スイス連邦運輸省の調査報告によると、同社は過去10年間にわたって、不正会計によりおよそ8000万フラン(約92億円)の国や州からの補助金を不当に取得していた。
このコンテンツが公開されたのは、
≫ポストバス社の不正受給問題の経緯は?
ポストバス社の親会社・スイス郵便の取締役会のウルス・シュヴァラー会長は11日、会計の不正操作に費やされた労力の大きさに「ショックを受けた」と述べた。どの程度、人事上の責任を取るのか長く議論されたが、取締役会は「特に責任の大きい人物との協力関係を断ち切る」との結論を下した。
8日にはスイス郵便の最高経営責任者(CEO)のスザンヌ・ルオフ氏が辞任を表明した。シュヴァラー会長によると、ルオフ氏の辞任表明は取締役会が解雇を宣告した後のことだった。ポストバス社の社長と最高財務責任者(CFO)もすでに解雇されている。
シュヴァラー会長によると、免職の対象となったのは輸送システムの直接の関係者と、不正を示す多くの指摘を受けていたにも関わらず不正を防げなかったポストバス社の役員らだ。該当者を一掃し、新しい経営体制を敷く必要があると強調した。
また連邦運輸省は取締役会に対し、2016年と17年の会計監査を承認しないことを書面で通知した。
シュヴァラー会長は、「オープンで自己批判的なスイス郵便に生まれ変わり、再び信頼を築く必要がある」と語った。
不正問題は運輸省による定期的な会計監査で発覚。ポストバス社が07~15年の間に政府からより多くの補助金を受け取るため、意図的に収益を低く記載していた。以来、同社経営陣は調査の対象になっていた。
おすすめの記事
スイス議会、超富裕層への相続税案を否決 対案なく国民投票へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス上院は17日、超富裕層の相続に相続税を課し環境保護の財源にする案を否決した。
もっと読む スイス議会、超富裕層への相続税案を否決 対案なく国民投票へ
おすすめの記事
見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦鉄道(SBB)は17 日、目に見えない障がいを持つ乗客を対象としたヘルプマークの配布を試験的に開始した。外見からは分からなくても支援・配慮を必要としている人への理解を深めることを目的としている。
もっと読む 見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道
おすすめの記事
ユーロスター、スイスと英国結ぶ直通列車運行へ
このコンテンツが公開されたのは、
英国と大陸欧州をつなぐ高速鉄道ユーロスターは、スイス・ジュネーブとロンドンを結ぶ初の直通列車の運行を計画している。
もっと読む ユーロスター、スイスと英国結ぶ直通列車運行へ
おすすめの記事
スイス政府、金融規制改革の最終案を発表
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦内閣は6日、クレディ・スイス危機を踏まえた金融規制改革の最終案を発表した。自己資本規制を強化し、金融監督局の権限も強化する。
もっと読む スイス政府、金融規制改革の最終案を発表
おすすめの記事
スイスの元外交官50人、ガザめぐる政府の「沈黙」を非難
このコンテンツが公開されたのは、
パレスチナ自治区ガザにおけるイスラエルの「戦争犯罪」に関して、スイスの元外交官55人がスイス外相に共同書簡を送り、スイスの「沈黙と消極性」を非難した。政府に対して直ちに措置を講じるよう求めた。
もっと読む スイスの元外交官50人、ガザめぐる政府の「沈黙」を非難
おすすめの記事
スイスで放射能測定の合同演習
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは2~6日、国際チームがヘリコプターで空中の放射能測定を行っている。緊急時に広い範囲の放射能を迅速にチェックする予行演習だ。
もっと読む スイスで放射能測定の合同演習
おすすめの記事
自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が死亡
このコンテンツが公開されたのは、
自殺カプセル「サルコ」を運営する自殺ほう助団体「ラストリゾート」共同設立者のフロリアン・ウィレ氏(47)が、先月5日にドイツで死去していたことが分かった。
もっと読む 自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が死亡
おすすめの記事
スイス南部で氷河が崩壊 土石流がふもとの村を飲み込む
このコンテンツが公開されたのは、
スイス南部レッチェンタール(ヴァレー州)で28日午後、大きな氷河が崩壊し、大規模な土砂崩れがふもとのブラッテン村を襲った。多数の家屋が倒壊し、1人が行方不明。
もっと読む スイス南部で氷河が崩壊 土石流がふもとの村を飲み込む
おすすめの記事
クレディ・スイス株で大損した株主、政府への賠償請求認められず
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦最高裁判所は23日、スイス政府の「誤った情報」によりクレディ・スイス株で損失を被ったとして損害賠償を求めた夫婦の訴えを棄却した。
もっと読む クレディ・スイス株で大損した株主、政府への賠償請求認められず
おすすめの記事
移動式ホール「アーク・ノヴァ」がスイスに初帰国
このコンテンツが公開されたのは、
東日本大震災の被災者を勇気づけようと建設された移動式コンサートホール「アーク・ノヴァ」がこの秋、親元のスイスに初めて登場する。
もっと読む 移動式ホール「アーク・ノヴァ」がスイスに初帰国
続きを読む
おすすめの記事
スイス郵便取締役会、ルオフCEOの残留を決定
このコンテンツが公開されたのは、
スイス郵便は15日に開いた取締役会で、スザンヌ・ルオフ最高経営責任者(CEO)を引き続き信任し、子会社・ポストバスによる不正問題の解決に当たらせることを決めた。
もっと読む スイス郵便取締役会、ルオフCEOの残留を決定
おすすめの記事
スイス郵便CEO、ポストバス問題で責任を否定
このコンテンツが公開されたのは、
スイス郵便のスザンヌ・ルオフ最高経営責任者(CEO)が独語紙のインタビューで、子会社のポストバスが粉飾決算により補助金を不正に受け取っていた問題の責任を否定し、辞任はしないと発言した。ポストバスは連邦・州から約8千万フラン(約92億円)の補助金を不正に受領していた。
もっと読む スイス郵便CEO、ポストバス問題で責任を否定
おすすめの記事
スイス郵便の銀行部門、500人リストラ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス郵便の銀行部門・ポストファイナンスは5日、2020年末までにフルタイムの従業員500人を削減すると発表した。マイナス金利政策による収益減が背景にある。
もっと読む スイス郵便の銀行部門、500人リストラ
おすすめの記事
スイスで格安長距離路線バスが誕生へ 3月から、国内3路線
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦運輸省交通局は19日、ドーモ旅行社(Domo Reisen、本社チューリヒ州グラットブルック)に対し、国内初となる格安長距離路線バスの運行を認可したと発表した。国内3路線を走る。
もっと読む スイスで格安長距離路線バスが誕生へ 3月から、国内3路線
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。