ロドリゲス暫定大統領、スイスの制裁対象
ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領の拘束後、最高裁判所から暫定大統領に任命されたデルシー・ロドリゲス氏は、2018年からスイスの制裁対象リストに載っている。
1月3日からベネズエラの暫定指導者を務めている弁護士、デルシー・アロイナ・ロドリゲス・ゴメス氏(56)は、2018年以来スイスから制裁を受けている大物政治家の1人だ。ロドリゲス氏のほか、ディオスダド・カベジョ内務相など68人の要人が、資産凍結とスイスへの渡航禁止の対象となっている。
スイス当局は2018年3月の声明外部リンクで、「大統領委員会や非合法な制憲議会の議長としてのロドリゲス氏の行動は、特に国民議会の権力を奪い、それを利用して野党を標的にし、政治プロセスへの参加を妨害するなど、ベネズエラの民主主義と法の支配を損なった」と述べた。
スイス政府は同日以降、抑圧目的で使用される可能性のある軍事装備・物資のベネズエラへの輸出も禁止している。
これらの制裁は、ニコラス・マドゥロ氏とデルシー・ロドリゲス氏が2017年に国民議会を転覆し、その後に起きたデモで100人以上が死亡したことを受けたものだ。欧州連合(EU)に追随する形で、スイスもベネズエラに制裁を加えた。
そしてスイス連邦内閣は5日、マドゥロ大統領と関係する36人がスイス国内に保有する資産を即時凍結することを決定した。
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スイスがマドゥロ氏の資産を凍結 なぜ?
非常事態
ベネズエラではここ数日、弾圧と人権侵害への懸念が高まっている。3日の米国による攻撃とマドゥロ大統領の拘束以来、ベネズエラ当局は国内を「外部不安状態」と宣言している。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のラヴィナ・シャムダサニ報道官は6日、「緊急事態は、人々の自由な移動の制限、国防に必要な資産の没収、集会やデモの権利の停止などを認めているため、懸念を引き起こしている」と警告外部リンクした。
ベネズエラ当局は3日、国、州、自治体の警察部隊に対し「アメリカがベネズエラの領土に対して行っている武力攻撃を促進・支援する人物を捜索し逮捕」するために直ちに出動するよう指示外部リンクした。
ベネズエラでは、人々が街頭で話すことは滅多になく、たとえ話すとしても、声をひそめ、細心の注意を払う。政権に反対すれば投獄されるのではないかという恐怖が高まっているからだ。匿名を希望するカラカス出身の若い女性は、「ここには法の支配などない。非常に深刻な権威主義が敷かれている」と語った。危機が悪化し、それに伴い弾圧もさらに厳しくなるとみている。
スイスは国民に警告
スイス外務省も、非常事態法がもたらす影響に警告を発している。4日のベネズエラへ渡航しないよう勧告外部リンクするなかで、「特に公的機関に公共サービスや戦略的施設の管理、国境や領空閉鎖の権限を与える」と喚起。ベネズエラには約800人のスイス人が居住している。
3日の軍事作戦後、国全体の安全が確保されるかどうかは不透明だ。スイス外務省は、状況は非常に緊迫しており、今後の展開は不透明だと述べている。デモによる暴力的な衝突が発生する可能性があり、政治的緊張にともなう暴動で死傷者が複数出ている。
慎重な仲介役候補
スイス当局は繰り返し仲介役を申し出てきたが、ベネズエラはこれまで拒否してきた。今の状況かでも申し出は有効だが、スイス政府は慎重さが何よりも重要であることを認識している。
一方、ペドロ・サンチェス氏率いるスペイン政府は、スイスよりもはるかに積極的に行動している。紛争の調停と解決に向けた条件を整えるための支援を公的に申し出た。
スイスは利益保護国としての評判を築き上げている。現在請け負っている8つの利益保護任務(エジプトとカナダにおけるイランの利益、イランにおける米国の利益、ジョージアにおけるロシアの利益とその逆、メキシコにおけるエクアドルの利益とその逆、ベネズエラにおけるエクアドルの利益)の保護のうち、3件は南米地域に関連する。
編集:Samuel Jaberg、英語からの翻訳:ムートゥ朋子、校正:宇田薫
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