UBSの元会長が死去
スイスの銀行最大手UBSの元会長マルセル・オスペル氏が26日、がんのため死去した。70歳だった。オスペル氏は2008年の米サブプライムローン危機で会長職を引責辞任していた。
オスペル氏は1950年、バーゼル生まれ。1977年に投資銀行スイス銀行コーポレーションに入社。1998年には同行とUBSの合併を担当した。
2001年にUBS会長に就任。就任当初はスイス航空(現スイスインターナショナルエアラインズ)をめぐる問題で、批判の矢面に立たされた。UBSは当時、スイス航空への信用枠拡大を拒否し、それが同航空の経営破綻につながったと批判された。ただ2007年の調査で、銀行の責任は免除された。
辞任はそれよりもはるかに大きな危機がきっかけだった。2007年の米サブプライム住宅ローン市場の崩壊により、UBSに約200億フラン(約2兆円)の莫大な損失が明らかになった。
その結果、UBSは約100億フランの新規資本調達を余儀なくされ、株主はシンガポール政府ファンドに10%の株式保有率を認めることを承認した。UBSはスイス政府にも支援を求め、390億フランの不良資産をスイス国立銀行(スイス中銀、SNB)が救済することになった。
この問題の責任を取り、オスペル氏は会長職を辞任。08年4月、後任としてペーター・クレール氏が会長に就任した。
オスペル氏の天文学的な報酬額もたびたび話題に上った。2006年の報酬は、一般的なUBS社員の平均給与の300倍超にあたる約2400万フランだった。オスペル氏が生まれ故郷のバーゼルから税率の低いシュヴィーツ州に住居を移したことも、イメージ悪化につながった。
オスペル氏には妻と2人の子供がいる。現在の妻は3人目で、元配偶者2人との間に2人の子供がいる。
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