アイガー北壁「日本直登ルート」開拓の日本人登山家 思い出の地で再集結

隊長の加藤滝男さん(写真中央)はジュネーブから、今井通子さん(写真左)と天野博文さん(写真右)は日本からアイガー山麓の村グリンデルワルトに集まり、日本直登ルート開拓50周年をともに祝った Mari Eto/swissinfo.ch

スイス・ベルン州グリンデルワルトの郷土資料館で1日、アイガー北壁の日本直登ルート開拓50周年を記念する式典が開かれた。同ルートの開拓グループからは加藤滝男さん、今井通子さん、天野博文さんが出席した。会場には日本直登ルートに深い関わりを持つスイス人登山家ら約50人が集い、半世紀前の偉業を改めて称えるとともに、節目を祝った。

このコンテンツは 2019/06/13 10:00
江藤真理, swissinfo.ch

アイガー北壁の日本直登ルートは1969年8月、加藤滝男さんを隊長に、今井通子さん、天野博文さん、久保進さん、根岸知さん、加藤保男さんの6人の日本人登山家が開拓した。ドイツ語で「Japaner Direttissima」と呼ばれる同ルートは、高さ1800メートルの直立する岩壁に、頂上までほぼ真っ直ぐに伸びるのが特徴的だ。

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新ルート開拓から50年。節目を記念した特別展に先駆けて行われた式典には、ジュネーブから加藤さん、日本から今井さんと天野さんが出席した。また、1970年に同ルートの冬期登攀に初めて成功したハンス・ペーター・トラハゼルさんら4人のスイス人登山家、ドイツのフリークライマーで登山家のローベルト・ヤスパーさんなど著名な登山家も多く駆けつけた。ヤスパーさんは2009年、ロジャー・シェリさんとともに、同ルートをフリークライミングで初完登している。

ヤスパーさん(写真右)から贈られた写真集を手に語り合う天野さん(左) Mari Eto/swissinfo.ch

特別展を企画した郷土資料館の館長マルコ・ボーミオさんは式典で、新ルートが開拓された1969年当時は「日本直登ルート上にある高さ300メートルの『赤い壁(Rote Fluh)』は、登攀不可能と考えられていた」と振り返った。

その後、登山技術と装備は劇的に進化。50年前にハーケンやボルト、岩壁や氷壁を登るための短い縄梯子「あぶみ」を駆使して登ったその壁を、今ではフリークライミングで登る登山家がいることに触れ、「登山家にいつの時代も新しい挑戦を提示するアイガー北壁は本当に特別だ」と話した。

式典に参加した日本人登山家の3人は「50年もの月日が経っているにもかかわらず、日本直登ルートが忘れられていないことに感激した」(今井さん)、「特別展と盛大な式典を開いてもらって、日本から来た甲斐があった」(天野さん)、「生きていて良かった」(加藤さん)と、それぞれ喜びを語った。

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前代未聞の挑戦から半世紀。今井さんと天野さんは数十年前から、森林と林業の大切さを訴え、森を舞台に「走り、遊び、学ぶ」森林マラソンに携わってきた。また今井さんは医学博士として日本の林野庁が推進する森林セラピー(科学的に保健効果が実証された森林浴)の普及にも尽力。登山家らのパイオニア精神は健在だ。

特別展は2019年10月13日まで。

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